"そしてわたしは、ここではあなたの人形妻だったのです。ちょうど実家ではパパの人形っ子だったように。"近代演劇の父として知られる著者の代表作とされる本書は、英国黄金期であるヴィクトリアニズムの「理想と現実」の時代を背景に一人の女性として、人間として古い道徳や世間に対する”小さくて大いなる革命”のラストが痛快。
個人的には、とは言え。あとがきで補足される様に無駄な表現の重複が避けられる「身振り言語」に関しては読みやすく注目すべきだと思ったものの、そもそもが実際に自分の所に持ち込まれた女性からの相談事から着想を得て(!)書かれた本書からは著者のあくまで男性目線での「女性賛美と蔑視」といった矛盾も同居している様に作中から感じられて、いささか落ち着かない気分でもあった。(そういった意味では、少し後のヴァージニア・ウルフの方の著作の方がやはり自然に感じられる)
演劇関係の方はもちろん、1800年〜1900年のヴィクトリア朝において不道徳的で非常識「スキャンダラス」とされた約100年前の時代の空気を感じたい誰かにオススメ。
- 文庫: 198ページ
- 出版社: 岩波書店 (1996/5/16)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4003275012
- ISBN-13: 978-4003275016
- 発売日: 1996/5/16
- 梱包サイズ: 14.6 x 10.6 x 1 cm
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