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人は見た目が9割 (新潮新書) (日本語) 新書 – 2005/10/16

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

喋りはうまいのに信用できない人と、無口でも説得力にあふれた人の差はどこにあるのか。女性の嘘を見破りにくい理由とは何か。すべてを左右しているのは「見た目」だった!顔つき、仕草、目つき、匂い、色、温度、距離等々、私たちを取り巻く言葉以外の膨大な情報が持つ意味を考える。心理学、社会学からマンガ、演劇まであらゆるジャンルの知識を駆使した日本人のための「非言語コミュニケーション」入門。

抜粋

 はじめに

 私は「さいふうめい」のペンネームで、劇作、マンガ原作を仕事としている。また、舞台の演出や俳優教育を長年やってきている。
 自分が書いた同じ戯曲でも、俳優や演出の違いで、天と地ほど水準が異なることがある。同じマンガ原作が、マンガ家の力量により、名作にも駄作にも変わる。
 その開きに愕然とするのである。舞台・マンガともに、私が書いた言葉を〈台本〉にしているのだから、伝えたい内容は変わらない。だが、演出家やマンガ家の力量次第で、〈受け手〉への伝達力が全く異なったものになってしまうのである。
 最近では、活字の本よりマンガの方が圧倒的に売れている。その理由は様々だが、私見では「文字だけ」より「文字と絵の組み合わせ」の方が、受け手に理解されやすいからだ。伝達力が高いと言ってもよい。
 この現象は、こう言い換えることができるだろう。「バーバル・コミュニケーション(言葉による伝達)」より、「ノンバーバル・コミュニケーション(言葉以外の伝達)」の方が、伝達力が高いのだ、と。
 実際、交渉ごとなどで、初対面の相手であっても、見た瞬間に「この案件は上手くいくな」「これは駄目かも」など、直感的に分かることが多い。挨拶をして名刺交換をした頃には結果が見えている、ということも珍しくない。
 第1話で詳述するが、心理学では、実は人間が伝達する情報の中で話す言葉の内容そのものが占める比率は、七%に過ぎない、という研究結果が出ている。
 我々は言葉では、七%の情報しか、受け取っていないのである。
 男が美人に、女が二枚目の男に一目惚れをする。相手の性格やその他の要素は一切関係ない恋は存在する。恋のただ中にいる人間にとっては、白も黒になるのである。正邪の判断が狂うことも珍しくはない。
 端的にいって「外見の威力」はそれほどまでに強力なのである。
 日常生活でいえば、しゃべる内容以前に、声やテンポなど「話のフィーリング」ともいうべき部分が、合っているかどうかも大きい。
 たとえば声。通販会社「ジャパネットたかた」の社長の声を解析すると、人を惹きつける要素が多く含まれているという。商品知識や流暢な弁舌なら高田社長より優れている人は多い。高田社長はちょっと訛りが残っているし、いわゆる「いい声」でもない。
 しかし、彼の声は伝達する内容にマッチしている。だから効果的なのだ。
 たとえはまばたき。アメリカ大統領選挙の公開討論では、「まばたきが多いほうが、討論後の勝敗の印象を尋ねる世論調査では負ける」という法則がある。二〇〇四年のアメリカ大統領選挙を例に見てみよう。ブッシュ大統領とケリー候補の公開討論会。第一回目では、ブッシュはやたらとまばたきが多かった。議論の中身もさることながら、このせいで彼はケリーに水をあけられた。当然、参謀が入れ知恵したのだろう。二回目以降はまばたきが減った。その後は初回ほどの差はつかなかった。まばたきが全てとはいわないが、大きく影響しているだろうことは、間違いない。
 たとえば「場の支配力」。深夜の討論番組を観る。言葉の中身だけが重要ならば、討論番組なのだから、本来、より客観性の高い主張を、より論理的に語る人物が、場を制するはずである。ところが、そうはならない。つまり、言語(論理)より、それ以外の要素の方が強いのである。
 討論番組で、一番駄目なのが、坊ちゃん顔の若手代議士である。自民党にも民主党にもいる。高学歴で、知識は豊富。主張は常識的。論理は平明。本来なら、それほど劣勢になる理由は少ないのである。ところが、討論開始後一時間も経つと、段々影が薄くなっていく。彼らは、選挙のために「市民に愛される顔」を作っているから、迫力がないのである。場の支配力に欠ける。
 討論番組の代表格、『朝まで生テレビ!』で興味深い人物は、姜尚中東京大学教授である。この人は場の支配力がある。該博な知識を背景にしているが、主張は基本的に常識的である。学者としては穏当な意見で、坊ちゃん顔の若手代議士に重なる部分も多い。
 発言だけを丁寧に追ってみると、聞かれたことに答えていないことも多い。
 ところが、場を支配できる。何故か――。彼は、猛禽のような鋭い眼で、討論相手を見据える。低くドスの効いた声でゆっくりしゃべる。加えて、学者らしく丁寧にしゃべるから、貫禄が加わり、迫力に深みが増すのである。
 本書では、こうした「言葉以外の情報」すべてをひっくるめて、「見た目」と捉えてみた。
 同じ指示でも、Aさんが言えば従うが、Bさんが言っても従いたくない、ということは多い。内容より「誰が言ったか」の方が重要なのである。「伝達力」には能力や人格が問われるのである。ところが、その能力や人格は困ったことに「見た目」に表れるものなのだ。
 このように社会を強く支配し続けているのは「ノンバーバル・コミュニケーション」である。ところが、それを記したいい書物が日本にないというのが私の長年の不満であった。マジョリー・F・ヴァーガスの『非言語コミュニケーション』(石丸正訳・新潮選書)という古典が一冊あるのみである。それも、二十年ほど前のアメリカの書物だから、今の日本の実情に即していない。名著ではあるものの、大学で教えるときには、ちょっと使いづらいという感もあった。私は、今の日本に合った「ノンバーバル・コミュニケーション」の本の必要性を感じていた。それが、本書を書いた動機である。
 日本では「コミュニケーション教育」は基本的に、国語という教科が負う部分が大きい。言語は伝達の手段だから、「言語教育」が「コミュニケーション教育」を担うのはむしろ自然ではある。
 しかし、「言語以外の伝達」にももっと目を向けるべきである。何故なら、七%より九三%の方が、大きいからである。
 最近は、話し方についての入門書やカルチャー・スクールのお陰で、そつなく知的に話す人が増えてきた。ところが、顔や風体などの見栄えと、その人の口から出てくる言葉が合っていないから、かえって奇妙な感じなのである。
 見栄えと言葉、我々はどちらを信じればよいのか――。マルチ商法や新興宗教などで、ぼろ儲けをした人が逮捕されて、マスコミに顔が出てくる。その人のインチキ臭さは、
顔や風体に如実に表れている。だがどの事件の場合でも、弁舌がたくみだったからつい信じてしまった、と被害者はいうのである。私は言葉より見栄えの方が、よりその人の本質を表していると考えている。
 私が行きつけの飲み屋の女将は、「お客さんがどういう人かは、一目見れば大体判りますよ」という。こういう人は言葉にされない。というより、たくさんされて、人を見る目を養ったのである。
 私は、結局、鍍金が剥がれる「話し方」を勉強するより、一生使える「見栄え」を身につけた方が得だとも思う。
 そんな「ノンバーバル・コミュニケーションの力」を皆さんが少しでも知って、身に付けていただければ幸いである

登録情報

  • 出版社 : 新潮社; 第18版 (2005/10/16)
  • 発売日 : 2005/10/16
  • 言語 : 日本語
  • 新書 : 191ページ
  • ISBN-10 : 4106101378
  • ISBN-13 : 978-4106101373
  • 寸法 : 10.8 x 0.9 x 17.3 cm
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち3.5 295個の評価

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