この本は90年代から盛んになってきた進化心理学における現代の古典とも目されるものです。殺人行動とは「人が自らの遺伝的な利益」を追求する結果として起こるものである、という進化論的なテーマで一貫してデータを分析、未検証の仮説を提示しています。
人類学や犯罪社会学などに今もはびこる文化万能論をしきりと論駁しているのは、1988年という原著の時代を考えれば自然ですが、さすがに記述の古さがあります。現在はあまりに多くの進化心理学者がネオ・ダーウィニズムからの演繹的な方法を当然視・実践しているのですから。
しかし本書の思索は、犯罪学に携わる人のすべてが知るべき内容であるのは、まちがいないと思います。残念なのは、日本人研究者ではこのような理論を駆使できる学者が未だに皆無なことです。
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