大学や公的研究機関関係者が近年溜め込んでいた苦悩と怒りを、分かりやすく代弁してくれた名著だと思います。
ただ、それなりの予備知識がないと読むに苦しい部分も。
序章で分かりやすくキャッチするも、1章と2章は小難しい理屈が並びわかりにくくちょっと引き(説明上必要なんでしょうが)、3章、4章と進むにつれ納得し、終章は分かりやすく結論と思いを論じています。そして痛烈な批判も忘れずに。
生物学、生態学の視点では本書のような結論は当然。本書ではアホと表現されていますが、緩さと遊びと多様性なくして安定も進化も有りません。
今までこのような視点で論じられる事があまりなかった?のは、当該分野の研究者がタコつぼ研究に終始してたから? 物理学、化学、工学系関係者が大学では幅を利かせていたから?
タコつぼの周りをフラフラしていて諸々のしがらみもなく、俯瞰できた教養学部だったからこそ書けた本なのかもしれません。
経済界の論理に沿った政府の科学行政は年々悪化し日本の研究力は衰退していますが、本書はその理解の一助に好適かと。
未来を担う学生と、真のアホである選択と集中論者は必読です。
京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略 (集英社新書) (日本語) 新書 – 2019/3/15
酒井 敏
(著)
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本の長さ256ページ
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言語日本語
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出版社集英社
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発売日2019/3/15
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寸法10.6 x 1.2 x 17.3 cm
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ISBN-104087210707
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ISBN-13978-4087210705
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
知の根幹が揺らいでいる。背景には、学問に対する社会の無理解・誤解・偏見があるのではないか…。現代人は何でも予測できると思いたがる。しかしながら、自然界は予定調和ではなく、予測不可能なカオスであり、生き延びるには「非常識なアホ=変人」が必要なのだ。「変人講座」が大反響を呼んだ「もっとも京大らしい」京大教授が、カオス理論やスケールフリーネットワークといった最先端の理論から導き出した驚きの哲学と「アホ」の存在意義、育て方を披瀝する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
酒井/敏
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。1957年、静岡県生まれ。専門は地球流体力学。「京大変人講座」を開講し、自身も「カオスの闇の八百万の神―無計画という最適解」をテーマに登壇して学内外に大きな反響を呼んだ。「フラクタル日除け」などのユニークな発明で、京大の自由な学風を地でいく「もっとも京大らしい」京大教授。92年、日本海洋学会岡田賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
京都大学大学院人間・環境学研究科教授。1957年、静岡県生まれ。専門は地球流体力学。「京大変人講座」を開講し、自身も「カオスの闇の八百万の神―無計画という最適解」をテーマに登壇して学内外に大きな反響を呼んだ。「フラクタル日除け」などのユニークな発明で、京大の自由な学風を地でいく「もっとも京大らしい」京大教授。92年、日本海洋学会岡田賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2019年4月14日に日本でレビュー済み
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21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2019年7月6日に日本でレビュー済み
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書名を見ると、内容にあまり期待できない気がしたのだけど、読んでみると、読みやすいが、なかなか、内容は深い。第2章のネットワークの議論は本書の科学的基礎として読みごたえがある。そして、そこから大学や国家の科学行政のあり方に展開される提案には説得力がある。敢えて難を言えば書名の最初「京大的」は要らない気もする。MITでもスタンフォードでもオックスブリッジでも、その名声を維持しているのは著者が言う「アホ」の許容であると思う。
殿堂入りNo1レビュアーベスト50レビュアー
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「アホ」は多分に感覚的な表現ですが、役に立たなくても、世に認められなくても、何かオモロイものを残せる、というような意味なのでしょう。著者は「選択と集中」という生産効率第一主義に対する懸念を繰り返し表明していますが、此の言葉にはとても深い闇が感じられますね。
本書ではサイエンス(数理科学)の話と、2000年の「行革」に始まった学術研究の経済政策化による基礎研究の崩壊に対する危機感(ノーベル賞受賞者が異口同音に訴えています)が交互に出てきます。数理科学や統計の事、研究現場のことを少し知って居ないと読みづらいので、一般向けでは無い様に思いますが、重要な問題提起であることには違いありません。著者は嘆き節っぽい論調の中で近代的合理主義の限界やポリコレの弊害という本質を突いた指摘をしており、Human factor(心理)としての「因果論」と数学的な予測のギャップについても注意を促して居ます。
本書ではサイエンス(数理科学)の話と、2000年の「行革」に始まった学術研究の経済政策化による基礎研究の崩壊に対する危機感(ノーベル賞受賞者が異口同音に訴えています)が交互に出てきます。数理科学や統計の事、研究現場のことを少し知って居ないと読みづらいので、一般向けでは無い様に思いますが、重要な問題提起であることには違いありません。著者は嘆き節っぽい論調の中で近代的合理主義の限界やポリコレの弊害という本質を突いた指摘をしており、Human factor(心理)としての「因果論」と数学的な予測のギャップについても注意を促して居ます。
2019年4月7日に日本でレビュー済み
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真面目な不真面目さんが世の中に新しい風を吹かせてくれる!