【医療ジャーナリストの願い】
巷には、がんに関する書籍が氾濫しているが、『二人に一人がガンになる――知っておきたい正しい知識と最新治療』(村上和巳著、中山祐次郎・発信する医師団監修、マイナビ新書)は、類書とは異なる特徴を備えている。
その特徴は、3つにまとめることができる。
①がんに関する最新知識と、最新治療が分かり易く説明されている。これには、長年、医療ジャーナリストとして第一線で活動してきた著者の体験が存分に生かされている。
②読者、あるいは読者にとって大切な人ががんと診断されたとき、どうすればよいかが具体的に示されている。ここでは、著者が参加している勉強会が役に立っている。
③がん専門医が行う「標準治療」が、現在考え得る最高・最良の治療法であることが強調されている。「標準治療」から逸脱した、不確かな情報に右往左往して、金や時間を無駄にする人を少しでも減らしたいというのが、著者の本書執筆の動機となっているからだ。「診療ガイドラインに規定されている治療は一般的に『標準治療』と呼ばれます。科学的に見ると、現時点で最も正当な治療です。ただ、この『標準』という言葉が一部で、『<標準>があるなら、それより上の治療があるのだろう』という誤解を招いているようです」。
【がん検診は無駄なのか】
「がんの診断にかかわる検査を大学の授業に例えるならば、(市区町村が行う)対策型検診はいわば必要最低限の『必修科目』に過ぎません。逆に言えばより厳密に自分にがんがあるかどうかを検査するならば、より検査手法が多い人間ドックなどの任意型検診を受けることを選択する必要があります。これらはいわば大学の科目でいう『選択科目』に当たるものです」。
「一部には、こうした(かなり進行の速い質の悪いがんを見つけられなかったり、画像診断を行う医師の)見逃しがあることや、対策型検診の受診者でがんが実際に見つかるのが300~500人に1人と言われていることなどを理由に『がん検死など受ける意味はない』と言い放つ人もいますが、これはあまりに極論です。・・・そもそも宝くじを買わない人は当たる可能性が皆無です。がん検診もこれと同じで、たとえごくわずかな見逃しがあったとしても受けない人は早期に見つかることすらありません。自覚症状が出てからでは手遅れになる場合が少なくないのです」。
【がんの病期分類とは】
「一般に、臓器にできる固形がんの病期分類で多く用いられるのがTNM分類というものです。これはT=腫瘍、N=所属リンパ節転移、M=遠隔転移という3要素を総合して考えるというものです。・・・これらを組み合わせた結果として進行度分類があり、多くの場合、ステージ1~4の4段階に分けられます」。数字が大きくなるほど、がんが進行していることを意味している。
【最新の抗がん剤治療】
最新治療として、分子標的治療薬(現在では30種類超が使用可)、免疫チェックポイント阻害薬(現在では6種類が使用可)が分かり易く解説されている。個々の患者に応じて、抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬を使い分ける治療法は、近年、「プレシジョン・メディスン(個別化医療)」と呼ばれ、急速に注目を浴びている。
【第4の治療法、免疫療法】
「手術」、「放射線」、「抗がん剤(化学療法)」が、がんの3大療法と呼ばれてきたが、第4の治療法として登場してきた「免疫療法」について、その代表的薬剤であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)の詳しい説明にかなりのページが割かれている。「現状でのオプジーボを始めとする免疫チェックポイント阻害薬の評価は概して言えば、『保険適応となっているがんの種類は限定的で、効果のある患者も一部だが、効果のあった患者の一部では、これまでの薬では考えられないほど効果が持続することがある』というものです」。
「オプジーボのような免疫チェックポント阻害薬は、点滴で静脈から注射する注射薬で、血流を通じて全身にいきわたらせるという意味では全身療法の抗がん剤の一種と言えるかもしれません。しかし、これまで抗がん剤に分類されている細胞障害性抗がん剤、分子標的治療薬はともにがんそのものを攻撃します。これに対し、免疫チェックポイント阻害薬はあくまで免疫細胞の働きを助けるだけでがんそのものを攻撃はしません。その意味では抗がん剤とは別に分類されます。また、手術、放射線治療もがんに対する直接的な治療です。免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法が第4の治療と呼ばれるようになっている背景には、こうした特徴の違いがあります」。
【あなたが、がんと診断されたら】
●先ず、国立がん研究センターが開設している「がん情報サービス」のページを開き、自分の知りたい基礎知識を身に付ける。
●さらに詳しい情報を手に入れたいときは、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する「Mindsガイドラインライブラリ」で知識を深める。
●「Mindsガイドラインライブラリ」で見つからない情報は、インターネットの検査エンジンで、「(自分が罹っているがんの名前)」スペース「ガイドライン」のAND検索を行う。
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二人に一人がガンになる ~知っておきたい正しい知識と最新治療~ (マイナビ新書) 新書 – 2019/10/28
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ガンにかかってあわてないために、正しい知識と治療法を知っておこう!
何かと話題になる機会の多いがん治療ですが、がんの治療自体が、日々情報が更新され、難解かつ専門的な記事も多く、現状でどこまで治療法が進んでいるのかわかりません。
なかには「がんはもうすぐ不治の病でなくなる」といった声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか<? br> また、画期的な最新医療が生れても富裕層しか治療を受けられないのではないか?という「がん治療格差」なども不安視されています。
そもそも、がん治療とはどういうもので、どういった種類があり、どこまで進んでいるのか、「二人に一人がガンになる」と言われる今、話題になる最先端治療はどこまでが現実になっていて、がんは本当に撲滅されるのでしょうか<? br> 本書では、医療ジャーナリストによる俯瞰した目と専門医の監修により、がんとその治療法について知っておくべき知識について解説します。
何かと話題になる機会の多いがん治療ですが、がんの治療自体が、日々情報が更新され、難解かつ専門的な記事も多く、現状でどこまで治療法が進んでいるのかわかりません。
なかには「がんはもうすぐ不治の病でなくなる」といった声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか<? br> また、画期的な最新医療が生れても富裕層しか治療を受けられないのではないか?という「がん治療格差」なども不安視されています。
そもそも、がん治療とはどういうもので、どういった種類があり、どこまで進んでいるのか、「二人に一人がガンになる」と言われる今、話題になる最先端治療はどこまでが現実になっていて、がんは本当に撲滅されるのでしょうか<? br> 本書では、医療ジャーナリストによる俯瞰した目と専門医の監修により、がんとその治療法について知っておくべき知識について解説します。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社マイナビ出版
- 発売日2019/10/28
- ISBN-10483996971X
- ISBN-13978-4839969714
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出版社より
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教養として学んでおきたい仏教 | 教養として学んでおきたい哲学 | 教養として学んでおきたい落語 | 教養として学んでおきたい5大宗教 | |
内容紹介 | 仏教が宗教の一つとしてどういった特徴を持っているのか、理解しておかなければならないことは何か、そこから解説します。 | 難解な印象になりがちな哲学についてやさしく詳しく解き明かし、その概念、歴史、代表的な哲学者たち、主な議論など、教養として学んでおくべき主な事柄について、解説します。 | 伝統的な古典芸能だと思われがちな一方、「いま」を語るのが落語。江戸時代から続く落語の歴史。古くからある笑い噺から、泣かせる人情話、新作落語まで。落語家とはどんな職業なのか、寄席とはどういう場所なのか、ちょっとしたマナー、時代とともに変わる落語の聞かれ方などについて解説。 | 世界中の主な大宗教として、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教の五つを取り上げます。さまざまな宗教を比較して考え、本質に切り込んだ宗教論を解説しています。 |
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
何かと話題になる機会の多いがん治療ですが、日々情報が更新され、難解かつ専門的な記事も多く、現状でどこまで治療法が進んでいるのか、よくわかりません。なかには「がんはもうすぐ不治の病でなくなる」といった声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか?本書では、医療ジャーナリストによる俯瞰した目と専門医の監修により、がんとその治療について知っておくべき知識について、やさしく、くわしく解説します。
著者について
●執筆
村上和巳(むらかみ・かずみ)
1969 年宮城県生まれ。中央大学理工学部卒業後、薬業時報社(現・じほう)に入社し、学術、医薬産業担当記者に。
2001 年からフリージャーナリストとして医療、災害・防災、国際紛争の3 領域を柱とし、週刊エコノミスト、講談社web 現代ビジネス、毎日新聞「医療プレミア」、Forbes JAPAN、旬刊医薬経済、QLife、m3.com など一般誌・専門誌の双方で執筆活動を行う。07 ~ 08 年、オーマイニュース日本版デスク。一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会運営委員(ボランティア)。著書に『化学兵器の全貌』(三修社)、『ポツダム看護婦(電子書籍)』(アドレナライズ)など、共著は『がんは薬で治る』(毎日新聞出版)、『震災以降』(三一書房)など。
●監修
中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)
1980 年生まれ、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師として計10 年勤務。2017 年2 月から福島県高野病院院長を経て、現在福島県郡山市の総合南東北病院外科医長。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医( 大腸)、外科専門医、がん治療認定医、臨床研修指導医など。医療情報の発信も専門とし、著書は小説『泣くな研修医』(幻冬舎)、『医者の本音』『がん外科医の本音』(共にSB クリエイティブ)。
発信する医師団
発信する医師が集まって形成された、医療情報発信のプロ集団。主宰は医師の中山祐次郎。メンバーには現役医師・医学生のほか、テレビ・新聞・ウェブメディアのメンバーも含まれる。今回の監修メンバーは山本健人、西智弘、大野洋平、横山太郎、福田芽森(順不同)。
村上和巳(むらかみ・かずみ)
1969 年宮城県生まれ。中央大学理工学部卒業後、薬業時報社(現・じほう)に入社し、学術、医薬産業担当記者に。
2001 年からフリージャーナリストとして医療、災害・防災、国際紛争の3 領域を柱とし、週刊エコノミスト、講談社web 現代ビジネス、毎日新聞「医療プレミア」、Forbes JAPAN、旬刊医薬経済、QLife、m3.com など一般誌・専門誌の双方で執筆活動を行う。07 ~ 08 年、オーマイニュース日本版デスク。一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会運営委員(ボランティア)。著書に『化学兵器の全貌』(三修社)、『ポツダム看護婦(電子書籍)』(アドレナライズ)など、共著は『がんは薬で治る』(毎日新聞出版)、『震災以降』(三一書房)など。
●監修
中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)
1980 年生まれ、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師として計10 年勤務。2017 年2 月から福島県高野病院院長を経て、現在福島県郡山市の総合南東北病院外科医長。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医( 大腸)、外科専門医、がん治療認定医、臨床研修指導医など。医療情報の発信も専門とし、著書は小説『泣くな研修医』(幻冬舎)、『医者の本音』『がん外科医の本音』(共にSB クリエイティブ)。
発信する医師団
発信する医師が集まって形成された、医療情報発信のプロ集団。主宰は医師の中山祐次郎。メンバーには現役医師・医学生のほか、テレビ・新聞・ウェブメディアのメンバーも含まれる。今回の監修メンバーは山本健人、西智弘、大野洋平、横山太郎、福田芽森(順不同)。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村上/和巳
1969年宮城県生まれ。中央大学理工学部卒業後、薬業時報社(現・じほう)に入社し、学術、医薬産業担当記者に。2001年からフリージャーナリストとして医療、災害・防災、国際紛争の3領域を柱とし、週刊エコノミスト、講談社web現代ビジネス、毎日新聞「医療プレミア」、Forbes JAPAN、旬刊医薬経済、QLife、m3.comなど一般誌・専門誌の双方で執筆活動を行う。07~08年、オーマイニュース日本版デスク。一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会運営委員(ボランティア)
中山/祐次郎
1980年生まれ、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師として計10年勤務。2017年2月から福島県高野病院院長を経て、現在福島県郡山市の総合南東北病院外科医長。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医、がん治療認定医、臨床研修指導医など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1969年宮城県生まれ。中央大学理工学部卒業後、薬業時報社(現・じほう)に入社し、学術、医薬産業担当記者に。2001年からフリージャーナリストとして医療、災害・防災、国際紛争の3領域を柱とし、週刊エコノミスト、講談社web現代ビジネス、毎日新聞「医療プレミア」、Forbes JAPAN、旬刊医薬経済、QLife、m3.comなど一般誌・専門誌の双方で執筆活動を行う。07~08年、オーマイニュース日本版デスク。一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会運営委員(ボランティア)
中山/祐次郎
1980年生まれ、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師として計10年勤務。2017年2月から福島県高野病院院長を経て、現在福島県郡山市の総合南東北病院外科医長。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医、がん治療認定医、臨床研修指導医など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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役に立った
2020年1月5日に日本でレビュー済み
この表題の通り、「ガン」に関しては現在の日本では2人に1人が罹患し、そして死因のトップを長年の間占めています。それゆえに多くの方々が予防や治療に関する情報を収集しようとしますが、中には適切でないばかりか有害さえにもなりうる内容のものも少なくはありません。「ガン」という疾患がまだまだ未解明の部分が多く、絶対大丈夫と言い切れる治療法が少ないのも事実ですが、やはり長年の研究や臨床経験に基づいた知見がもっとも最適であるのは論を待たないところでしょう。
本書の著者は、多くの医師はじめ医療関係者との交流があり、また事象を科学的論理的に把握して記事を書かれる方です。またとても正直で義理堅い方でもいらっしゃいます。
そのため、本書は「ガン」について基本的かつ適切な知識を習得するのに最も教科書的な存在とも言えます。しかも最新のガン治療法についても記されています。
特にお気に入りの文章が(著者の私見と断ったうえで)「がん治療の専門性が高く、なおかつ経験値のある医師ほど「セカンドオピニオンを受けたい」との患者の申し出に嫌な顔をするといった評判はほとんど聞きません。(中略)がんと診断された患者が様々な迷いや反応を示すことを十分経験しているからです。(中略)患者さんに納得して治療を受けて欲しいという気持ちからだと考えられます」の部分です。
そして「もしセカンドオピニオンを受診したいという希望を伝えた時に露骨に不快感を示したり、怒る医師ならば、私であれば主治医を変えます。自分の命を重みを理解してくれる医師とともに治療に臨みたいからです」大いに同感です!
ガンに関心を持たれる方が、本書をもとにして、より適切な対応を心がけていただけるよう望むばかりです。
本書の著者は、多くの医師はじめ医療関係者との交流があり、また事象を科学的論理的に把握して記事を書かれる方です。またとても正直で義理堅い方でもいらっしゃいます。
そのため、本書は「ガン」について基本的かつ適切な知識を習得するのに最も教科書的な存在とも言えます。しかも最新のガン治療法についても記されています。
特にお気に入りの文章が(著者の私見と断ったうえで)「がん治療の専門性が高く、なおかつ経験値のある医師ほど「セカンドオピニオンを受けたい」との患者の申し出に嫌な顔をするといった評判はほとんど聞きません。(中略)がんと診断された患者が様々な迷いや反応を示すことを十分経験しているからです。(中略)患者さんに納得して治療を受けて欲しいという気持ちからだと考えられます」の部分です。
そして「もしセカンドオピニオンを受診したいという希望を伝えた時に露骨に不快感を示したり、怒る医師ならば、私であれば主治医を変えます。自分の命を重みを理解してくれる医師とともに治療に臨みたいからです」大いに同感です!
ガンに関心を持たれる方が、本書をもとにして、より適切な対応を心がけていただけるよう望むばかりです。