本はたくさん読んできたつもりでしたが、こういう小説があるとは、知りませんでした。
読み終えてしばらく、作品の世界から離れられませんでした。そろそろ抜け出そうかと、直木賞を取った小説が原作となった映画のDVDを見始めたのですが、作り物のようで薄っぺらに感じて15分でやめました。
信仰によって人間が変わっていくのは不思議で美しい。一方、理想や役割、名誉に生きる人たちがいる。それぞれが「使命」(calling)のもとに動いているが、その「使命」はまったく違っている。
意見の違いで争うことと、個人的な憎しみで戦うこと。罪と救い、政治と策略、性と生、理想と行動、障がい者と尊厳。最後には人は皆死んでしまうのですが、登場人物一人ひとりにとって、生きていることの意味とは何か、いろいろに考えさせられました。レオンの最期は、忘れられません。
構成は、映画で言えば「ゴッドファーザーpartⅡ」と似ていて、作品の味わいを深め、混乱を混乱のまま表現していると感じます。読んでよかったです。
世界終末戦争 (日本語) ハードカバー – 2010/12/1
マリオ バルガス=リョサ
(著)
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本の長さ712ページ
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言語日本語
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出版社新潮社
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発売日2010/12/1
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ISBN-10410514507X
-
ISBN-13978-4105145071
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
19世紀末、大旱魃に苦しむブラジル北部の辺境を遍歴する説教者と、彼を聖者と仰ぐ者たち。やがて遍歴の終着地に世界の終りを迎えるための安住の楽園を築いた彼らに、叛逆者の烙印を押した中央政府が陸続と送り込む軍隊。かくて徹底的に繰返された過酷で不寛容な死闘の果てに、人々が見たものは…。’81年発表、円熟の巨篇。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2010/12/1)
- 発売日 : 2010/12/1
- 言語 : 日本語
- ハードカバー : 712ページ
- ISBN-10 : 410514507X
- ISBN-13 : 978-4105145071
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 166,912位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 58位スペイン文学
- - 79位スペイン・ポルトガル文学研究
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2018年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
19世紀末、現実に起きたブラジルの辺境での宗教戦争を題材とした上下組で700頁近い大作。
救いを説くコンセリュイロに人々が集まり、奥地カヌードスに腰を据える。その頃に共和制へと政治体制が移行した
ブラジルは国家として彼らを殲滅するために軍隊を送り込む。
山賊から帰依し最前線に立つジョアン・アバージ。たたき上げの軍人で国家に忠誠を誓うモレイラ・セザル大佐。
築き上げた財産を焼き払われたカナブラーヴァ男爵、現地に向かう記者。
多くの人々が話に彩りを添え結末へと導く。ひとりひとりの行動と背景が丁寧に描写され100年以上前の地球の裏側の出来事が目の前に迫ってくる。
願わくば登場人物の一覧を付けて欲しかった。
救いを説くコンセリュイロに人々が集まり、奥地カヌードスに腰を据える。その頃に共和制へと政治体制が移行した
ブラジルは国家として彼らを殲滅するために軍隊を送り込む。
山賊から帰依し最前線に立つジョアン・アバージ。たたき上げの軍人で国家に忠誠を誓うモレイラ・セザル大佐。
築き上げた財産を焼き払われたカナブラーヴァ男爵、現地に向かう記者。
多くの人々が話に彩りを添え結末へと導く。ひとりひとりの行動と背景が丁寧に描写され100年以上前の地球の裏側の出来事が目の前に迫ってくる。
願わくば登場人物の一覧を付けて欲しかった。
2019年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
傷一つない美本でした。この本を大切に扱って頂いた出品者に感謝します。
ブラジル北東部(Nordeste)にはブラジル駐在時代に家族旅行しました。リオの観光化したカーニバルでなく、
キリスト教と土着信仰風土が融合した土の香が濃い田舎のカーニバルに感動しました。
本の内容については、この本は難解と言われていますが、実際に北東部内陸に足を運んだ者や
多少なりと文化人類学分野に関心のある者には、あ~そうそう、とのイメージが蘇り
懐かしさを覚えると思います。
更に、ブラジル・ポルトガル語を学んだ者には、豊富な土着語にも親近感が持てるでしょう。
以上
ブラジル北東部(Nordeste)にはブラジル駐在時代に家族旅行しました。リオの観光化したカーニバルでなく、
キリスト教と土着信仰風土が融合した土の香が濃い田舎のカーニバルに感動しました。
本の内容については、この本は難解と言われていますが、実際に北東部内陸に足を運んだ者や
多少なりと文化人類学分野に関心のある者には、あ~そうそう、とのイメージが蘇り
懐かしさを覚えると思います。
更に、ブラジル・ポルトガル語を学んだ者には、豊富な土着語にも親近感が持てるでしょう。
以上
2021年3月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大長編ながら、明快な物語があり、ほぼ時系列に沿って進む(回想ははっきり回想と分かる)。登場人物もよく背景が描き込まれて感情移入できる。会話もちゃんと「」で括られて喋ってるのが誰かが明確。衒学的要素もほぼない。なので、とても読みやすい。難点はその登場人物がものすごく多く、名前も日本人には馴染みないものばかりであること。私は新たな人物が出てくるごとに、その名前とページ数をメモして、この難点をクリアしました。内容は他の皆さんが書かれているとおり、すさまじい。そして最終版の本筋とは外れたところで起きる衝撃的出来事にはただただ愕然…
2010年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「世界終末戦争」は十九世紀末に実際に起こったカヌードスの叛乱が元となっており、原始キリスト教的コミューンと産声をあげたばかりの共和制国家ブラジルとの戦争を描く。聖者コンセリェイロの遍歴や信者達の挿話など社会や政治を絡めて話は進んでいく。二段組み七百頁という大書であるが、読者を厭きさせることなく物語はドラマチックに展開する。争いの中で葛藤する人間の営み愛憎に塗れた人間模様が、丹念かつ臨場感たっぷりに描かれ歴史小説の面白さを堪能できる。たくさんの要素が込められた本書は、近代国家への歩みを進める中で共同体のあり方や人の生き様を考えさせられる。遠く離れた南米の歴史は決してわれわれにとって無縁のモノではない。賢者は歴史を通して学ぶという。本書を通して読者ひとりひとりが意味を見出せればいいのだろう。
本書は長年絶版状態にあった。作者の国際的評価の高まりと共に出版社が復刊を決めたとのこと。多くの人に本書が読まれる機会が出来たことを嬉しく思う。そして浩瀚な書物を読みやすく翻訳した旦氏の功績は忘れてはならない。これを機にラテンアメリカ文学が花開き、埋もれた作家・作品が世に羽ばたくことを願いたい。
本書「世界終末戦争」はリョサの渾身の作品であると共に20世紀を代表する文学として時を超え伝えられるべき書物だと思っている。
実に多くのことを考え感じさせられる本。
文学の重みが身体じゅうに伝わり心のどこまでもに響きわたる。
本書は長年絶版状態にあった。作者の国際的評価の高まりと共に出版社が復刊を決めたとのこと。多くの人に本書が読まれる機会が出来たことを嬉しく思う。そして浩瀚な書物を読みやすく翻訳した旦氏の功績は忘れてはならない。これを機にラテンアメリカ文学が花開き、埋もれた作家・作品が世に羽ばたくことを願いたい。
本書「世界終末戦争」はリョサの渾身の作品であると共に20世紀を代表する文学として時を超え伝えられるべき書物だと思っている。
実に多くのことを考え感じさせられる本。
文学の重みが身体じゅうに伝わり心のどこまでもに響きわたる。
2015年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中々、書店では見かけない本ですが……。
ブラジルのカヌードス戦争(日本で言うと天草の乱のような感じ??)を描いた作品です。
冒頭から痺れました!
領主の白人、犯罪者の黒人、将軍のインディオ、そして救世主。
歴史の教科書では、白人の南米侵略の箇所ばかりが目立ちますが、多人種国家ならではの複雑さ。
それを体現するような登場人物、対立の図が生きるように描かれています。
久々のヒット作でした!
(但し衝撃的でグロテスクな描写もあるので、苦手な人は注意してね!)
ブラジルのカヌードス戦争(日本で言うと天草の乱のような感じ??)を描いた作品です。
冒頭から痺れました!
領主の白人、犯罪者の黒人、将軍のインディオ、そして救世主。
歴史の教科書では、白人の南米侵略の箇所ばかりが目立ちますが、多人種国家ならではの複雑さ。
それを体現するような登場人物、対立の図が生きるように描かれています。
久々のヒット作でした!
(但し衝撃的でグロテスクな描写もあるので、苦手な人は注意してね!)
2011年3月6日に日本でレビュー済み
19世紀末のブラジルの辺境の地で実際に起こった内乱を元にして、ペルーのノーベル賞作家が築き上げた魅惑的な形而上の世界です。そこでは希望と絶望、現実と幻想がないまぜになり、密林の内部で異常な増殖を遂げながら、仰ぎ見るような巨大で荘厳なゴシック様式の教会がそそり立つのです。
物語は、内陸部を遍歴する狂人のような聖人の草の根運動から始まります。教会と国家の権威を拒否し、私有財産や結婚制度、階級格差に反対する清貧の放浪者コンセリェイロ。そして彼を慕う無数の社会的弱者、奴隷、ごろつきや犯罪者たちは、辺境の奥地カヌードスに根を下ろし、地下人どもの「愛と平和の理想郷」を構築することに成功します。
富や権力闘争にまみれた共和国ときっぱり絶縁し、ひたすら心の平安を目指す「精神の共和国」に生きる人々を描く著者の筆致は温かく、地上に天国をもたらそうとする不可能に挑んだ、名も無き人々への共感にみちあふれたものです。
日本と同じような西欧化・近代化を目指すブラジル共和国の政治家と軍部は、そのような過激な共同体を国家とカトリックへの反逆とみなし、山にそびえる砦に向かって最強の暴力装置である第七連隊を差し向けるのですが、英雄セザル大佐は無惨な最期を遂げます。
権力対反権力の武力衝突というこの構図は、期せずして本邦の天草の乱や西南の役の英雄的な戦いを連想させてまことに興味深いものがありますが、再三にわたる攻撃を退けたコンセリェイロ軍も、ブラジル国軍八千名の総攻撃の前に全滅し、都市対山村、冨者対貧者、白人対混血、近代対前近代の一代決戦は、前者の最終勝利で決着したように見えます。
けれども、その後のブラジルでは第二、第三のコンセリェイロが間歇的に登場し、依然として世界最終戦の最終ラウンドが終わっていないことを雄弁に物語っているのです。
物語は、内陸部を遍歴する狂人のような聖人の草の根運動から始まります。教会と国家の権威を拒否し、私有財産や結婚制度、階級格差に反対する清貧の放浪者コンセリェイロ。そして彼を慕う無数の社会的弱者、奴隷、ごろつきや犯罪者たちは、辺境の奥地カヌードスに根を下ろし、地下人どもの「愛と平和の理想郷」を構築することに成功します。
富や権力闘争にまみれた共和国ときっぱり絶縁し、ひたすら心の平安を目指す「精神の共和国」に生きる人々を描く著者の筆致は温かく、地上に天国をもたらそうとする不可能に挑んだ、名も無き人々への共感にみちあふれたものです。
日本と同じような西欧化・近代化を目指すブラジル共和国の政治家と軍部は、そのような過激な共同体を国家とカトリックへの反逆とみなし、山にそびえる砦に向かって最強の暴力装置である第七連隊を差し向けるのですが、英雄セザル大佐は無惨な最期を遂げます。
権力対反権力の武力衝突というこの構図は、期せずして本邦の天草の乱や西南の役の英雄的な戦いを連想させてまことに興味深いものがありますが、再三にわたる攻撃を退けたコンセリェイロ軍も、ブラジル国軍八千名の総攻撃の前に全滅し、都市対山村、冨者対貧者、白人対混血、近代対前近代の一代決戦は、前者の最終勝利で決着したように見えます。
けれども、その後のブラジルでは第二、第三のコンセリェイロが間歇的に登場し、依然として世界最終戦の最終ラウンドが終わっていないことを雄弁に物語っているのです。