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世界史の考え方 (岩波新書 シリーズ歴史総合を学ぶ 1) 新書 – 2022/3/18

3.9 5つ星のうち3.9 65個の評価

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近現代の日本史・世界史を総合し、近代化、大衆化、グローバル化の歴史像を考える高校の必修科目が始まる。シリーズ第一巻は中国史、イギリス史、アメリカ史、アフリカ史、中東史の歴史家とともに、近現代史の名著を題材に、歴史研究の最前線や歴史像の形成過程、概念に基づく比較、問いや対話による歴史総合の実践を示す。

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商品の説明

著者について

小川幸司(おがわ こうじ)
1966年生まれ.長野県蘇南高等学校校長.世界史教育.著書に『世界史との対話――70 時間の歴史批評』全3巻(地歴社,2011―12 年)『岩波講座 世界歴史』(岩波書店,2021―)編集委員.『世界歴史01 世界史とは何か』責任編集.

成田龍一(なりた りゅういち)
1951年生まれ.日本女子大学名誉教授.近現代日本史.著書に『近現代日本史との対話』全2巻(集英社新書),『近現代日本史と歴史学』(中公新書),『シリーズ 日本近現代史4 大正デモクラシー』(岩波新書),『歴史論集』全3巻(岩波現代文庫)他多数.

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2022/3/18)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/3/18
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 378ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 400431917X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4004319177
  • 寸法 ‏ : ‎ 1.5 x 10.7 x 17.3 cm
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 65個の評価

著者について

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成田龍一
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年3月4日に日本でレビュー済み
戦後の歴史教育内容の総決算をしていくかのような骨太な一冊である。
幾度も従来視点への批判と新機軸の打ち立て(例えばウォーラーステインのシステム論等)がなされた。
それらを十分に吟味し、未来への一歩を踏み出そうということなので教育界もなかなか大変である。

ただ、大塚久雄や丸山真男から振り返っていくのだから、大人でもけっこう知的体力を要する内容だ。
生徒にプロセスまで見せる必要はないものの、受信可能レベルの完成品に落とし込むのも容易ではない。
「歴史総合」なる新科目、現場の教師がうまく回していけるのか少々不安になった。
2022年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どなたかのレビューにありましたが、読んでいると飽きてくる、、、というもの。
これが自分にとっても一番の感想かなと思います。

真面目に、バランスよく、総花的に、未来志向でまとめようと必死な雰囲気が伝わります。

鼻をついたのは「射程」とか「作法」という言葉の多さ。本当に多い。自分は上から目線感を感じましたが、他の読者の方はいかがでしょうか。

ゲストの先生方のお話は、自分の研究やそこからの意見を述べるので、すっと入ってきました。つまり、背骨がある。

しかし、それらを強引にまとめようとしている必死さに、、、飽きてくるのでしょう。

力作であるのはわかりますが、これを高校生が理解できるとは思えない、高校生に教える先生なら理解できるのだろうか。本当に?

侵略や差別のフラクタルは以前から知っていましたし、事実だと思う。それは、帝国主義の被害者である国々のなかでも入れ子のようなものだったと思う。

ドイツ系ユダヤ人が、ホロコーストを紐帯とするような国家の求心力化ではだめだと嘆いていた部分。
あれには感じ入りました。確かにネガティブな過去の現実でしょうが、国家成立のこころの基盤がネガティブな歴史を最大の拠り所としているのとしたらとても不幸なことだと思いました。本書を読んで初めて気が付いたことでした。こういうユダヤ人もいるのだなと。

全体として非常に不消化感の残る本でした。すでに、②を出版されているようですが、申し訳ありませんが、読まないですね。別の本を探します。
11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本の世界史教育は明治時代の支那史と万国史(ヨーロッパ史)の二本立てに始まる長い歴史を持っているのだが、世界史学の理論を説いた書物は意外に少ない。その意味でも本書の出版は非常に意義深い。

それにしても岩波新書にしてはめずらしく350頁を超えるぶ厚さで、編者の小川・成田両氏にゲストも加えての対話形式とあって議論も多岐にわたる。本書の内容を簡潔にまとめる力は評者にはないが、先行レビューとの重複もいとわず、まずは本書で取り上げられている課題テキストの紹介と、主となる論点を取り上げたい。(★印は本書に登場するゲスト)

第1章 近世から近代への移行
大塚久雄『社会科学の方法』(岩波新書)
川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)
★岸本美緒『東アジアの近世』(山川世界史リブレット)
大塚久雄はゲルマン的共同体からの資本主義の発生過程を説き、それが長らく世界の「近代化」の基準とされてきた。それに対し、ウォーラーステインは世界システム論を展開して資本主義の重層的な性格を明らかにし、その理論を砂糖という商品に即して示したのが川北の著作である。さらに岸本は世界的な銀流通に注目して、日本や東アジアから見た「近世」を描き出す。日本の伝統社会が集団性の高い「固い」タイプであるのに対し、中国は流動性の高い「柔らかい」タイプであり、それが両国における商業文化に及んでいるとところがポイントである。

第2章 近代の構造・近代の展開
遅塚忠躬『フランス革命』(岩波ジュニア新書)
★長谷川貴彦『産業革命』(山川世界史リブレット)
良知力『向こう岸からの世界史』(ちくま学芸文庫)
遅塚はフランス革命の理想に共鳴しつつ、旧体制の急激な破壊を「劇薬」に例え、恐怖政治はその副作用であったとする。しかし編者や長谷川は、イギリスの産業革命について、それが「革命」という呼び名とはうらはらに長期的かつ緩慢な変化であったこと、主体となった労働力の構成(例えば女性や児童の労働など)についても再検討を要することを説く。良知の著作は多民族国家であったハプスブルク帝国を題材に、国民国家による近代化という図式に疑問を投げかける。

第3章 帝国主義の展開
江口朴郎『帝国主義と民族』(東京大学出版会)
橋川文三『黄禍物語』(岩波現代文庫)
★貴堂嘉之『移民国家アメリカの歴史』(岩波新書)
江口はマルクス主義の立場に立ちつつも、近代において資本主義と国民国家の形成・帝国主義の同時展開があったことに注目する。橋川の著作は「黄禍論」の古典的著作である。これに対し貴堂は、19世紀を境にアメリカが「奴隷国家」から「移民国家」に移行したと説き、さらに同じ移民でもヨーロッパ系とアジア系のあいだで「選別」が行われていたことを強調する。

第4章 20世紀と二つの世界大戦
丸山真男『日本の思想』(岩波新書)
荒井真一『空爆の歴史』(岩波新書)
内海愛子『朝鮮人BC級戦犯』(岩波現代文庫)
★ゲストはアフリカ史研究者の永原陽子
丸山の著作は日本の「特殊近代性」を欧米と対比しつつ説いたものである。それに対し、荒井は第一次世界大戦からイラク戦争までの空爆の歴史を振り返り、「戦力における非対称性」「死傷者における非対称性」に注目し、日本も欧米諸国の植民地戦争と同じ道をたどってきたことを明らかにする。そして編者と永原は、内海の著作を題材に「植民地責任論」について議論する。

第5章 現代世界と私たち
中村政則『戦後史』(岩波新書)
★臼杵陽『イスラエル』(岩波新書)
峯陽一『2100年の世界地図 アフラシアの時代』(岩波新書)
中村は「貫戦史」という観点から、戦前と戦後の日本社会の連続性を説く。臼杵は世界の様々な地域を出自とする「ユダヤ人」とアラブ系のパレスチナ人によって構成されるイスラエル国家の複雑性を描き出す。そして峯は、今後100年の世界がアフリカ大陸と東南アジアからなる「アフラシア」を軸として展開すると予測する。

以上、評者の拙い文章で本書の内容をたどってみたが、他にもここには書ききれない重要な論点がいくつも含まれており、これらを1冊の新書に収めた編集力には感服せざるを得ない。ただ、各章においてそれぞれの課題テキストを史学史上に位置付けるところから議論を始めているために、本書の理解がいささか複雑なものとなり、かつ分量も余計に多くなっている。評価の☆を4つとしたのはこのためである。例えば、大塚久雄も丸山真男も、確かに学生の頃読んだり読まされたりした。しかし、歴史総合の授業が明日にも始まろうというこの時に、(本書の第一の目的が歴史総合という科目の理解にあるのならば)大塚や丸山から現代の歴史教育を説き起こそうというのは正直迂遠ではあるまいか?否、そうした「戦後史」も歴史教員に必須の「教養」であると言われればぐうの音も出ないが...その意味では、同じ岩波新書の羽田正『新しい世界史へー地球市民のための構想』(2011年)のほうが余程スリムで分かりやすかった(ただ残念ながら、こちらの方には参考文献が1冊も示されていないのだが)。

いわゆる「主体的で対話的な深い学び」(アクティブラーニング)と知識学習との関係も気になるところだが、まずは本書の第2巻・第3巻の刊行を待つこととしたい。
26人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年3月11日に日本でレビュー済み
これは、2022年4月から日本の高校教育に「歴史総合」という科目が加わり、日本史・世界史という区分けをせずに18世紀以降の近現代史を総合的に学ぶ~という流れを受けて企画された著作。編者の成田龍一氏は近現代日本史を専門とするこの国を代表する歴史学者の一人で、現在は日本女子大学名葉教授。小川幸司氏は長年世界史教育に携わってきた教諭で「岩波講座:世界歴史」の編集委員でもある。現在は長野県蘇南高校校長。この二人に計5人の各分野歴史研究者が加わり、対談・鼎談形式でこれまでの著名な歴史学テキストを読み解き、今後の「歴史総合」教育の展望を語る。これはレベルの高い重厚な論考の多い岩波新書の中でも、屈指の密度を持った非常に有意義な著作だと私は思う。現代までの歴史研究の変遷も大いに議論される対話は、学校教育に関わりのない人にも学ぶところが多いだろう(私も教職者でも研究者でもない一般人である)。歴史を学ぶことは「過去を知ることで、これからどう生きるかを考え未来を見通すこと」であり、またこの中で小川氏が言うように「他者を通して自分を相対化するまなざしこそが、人類の幸せを展望できる」ことだから。以下、各章ごとに簡潔に要点を記しておく。

<第1章:近世から近代への移行>
(課題テキスト)
・大塚久雄「社会科学の方法」(岩波新書1966年)
・川北稔「砂糖の歴史」(岩波ジュニア新書1996年)
・岸本美緒「東アジアの『近世』」(山川出版社1998年)

大塚久雄がマルクスとウェーバーを対置するのではなく、言わば「接続」することで「近代」を解明しようとした足跡と、大きな「理論」によって近代資本主義を解明しようとすることの限界と。
川北稔はI・ウォーラーステイン「世界システム論」の紹介者としても著名だが、その理論に依拠しながら「国家や国民の単位を超えた」中核による周辺からの収奪を描く「砂糖の歴史」は、モノの流れを通して巨視的に世界を見る好著として紹介される。
そこに中国明清史が専門の岸本奈緒氏が加わり、大塚史学や世界システム論があくまで西欧中心の世界観に基づいており、中国やインドから見た歴史はまた違ったパースペクティヴがあることが提示される。これはデヴィッド・グレーバーなどが近年指摘してきた「パラダイムシフトの必要性」とも繋がるお話。また、中国の「社会的流動性の高さ」と西欧との「自由の在り方」の違い~歴史を複眼で見ることの重要性。

<第2章:近代の構造・近代の展開>
(課題テキスト)
・遅塚忠躬「フランス革命」(岩波ジュニア新書1997年)
・長谷川貴彦「産業革命」(山川出版社2012年)
・良知力「向う岸からの世界史」(ちくま学芸文庫1993年)

遅塚忠躬「フランス革命」が、この社会革命の光と影を描いて秀逸なこと~特に「光そのものが影を内包していたこと」、ロベスピエールらの恐怖政治の悲惨と必然と。また、フランス革命を英国と比べて「相対的後発国でのブルジョワ革命」と規定し、日本の明治維新との対比で日本の近代化が基本的人権を置き去りにしてきた問題の指摘。日本の「産業革命」の後発性と特殊性。
長谷川貴彦氏も加わり、新しい民衆史の必要性~従来の「普遍史」からの脱構築の必要性を説く。これは近年隆盛な社会史~個人の体験・記録を通じて社会の動きを読み解く流れにも繋がるお話。

<第3章:帝国主義の展開>
(課題テキスト)
・江口朴郎「帝国主義と民族」(東京大学出版会:新版2013年)
・橋川文三「黄禍物語」(岩波現代文庫2000年)
・貴堂嘉之「移民国家アメリカの歴史」(岩波新書2018年)

民族・人種・ナショナリズム~資本主義発展と国民国家形成、その帝国主義的膨張の同時展開。先進帝国主義国に「もみ手」をしながら、アジア諸民族を蔑視する白人に自らを重ね「アジアの盟主」たらんとする日本。そこで生まれる「国体」という特殊な概念。
貴堂嘉之氏も加わり帝国アメリカの形成について、ピルグリムファーザーズが「最初の入植者」であるとする、史実とは違う「建国神話」の流布~「十四か条の平和原則」で有名なウッドロウ・ウィルソン大統領が実は筋金入りのレイシストだったこと~「奴隷国家」としての起源、「移民国家」でありながら欧州からの移民とアジアからの移民の扱いの余りの格差、ナチスドイツでホロコーストを裏打ちした「優生学」が実はアメリカ発祥だったこと。「長い奴隷解放期としての19世紀」「理念国家としての明るいアメリカ像の修正」~「近代」がもたらした様々な課題を見つめ直す視点の提示。

<第4章:20世紀と二つの大戦>
(課題テキスト)
・丸山真男「日本の思想」(岩波新書1961年)
・荒井信一「空爆の歴史」(岩波新書2008年)
・内海愛子「朝鮮人BC級戦犯の記録」(岩波現代文庫2015年)

丸山が指摘する「主体としての個人・個人の自立」を生み出せなかった日本で、近代天皇制を中心とした「国体」概念が支配する「無限責任」~という名の「巨大な無責任への転落」~そこに横溢する「持ちつ持たれつ」の曖昧な行動様式。そして「空爆」という戦争責任の問題~それは敗戦国だけでなく戦勝国にも問われる厳しい課題。
ここでアフリカ史が専門の永原陽子氏も加わり、植民地責任について~特に「朝鮮人BC級戦犯の記録」を巡り、植民地支配によって「日本国民」として利用・使役され、戦後は「日本国民でない」として切り捨てられ放置された者たちのオーラルヒストリーが持つ意味と、歴史学が果たすべき「事実認定」と植民地支配責任の課題。ここで永原氏が「『謝罪』するかどうかにばかり焦点が当たるが、国家として何を事実として認定するか~まさに『歴史認識』の問題」としているのは私も全面同意。

<第5章:現代世界と私たち>
(課題テキスト)
・中村政則「戦後史」(岩波新書2005年)
・臼杵陽「イスラエル」(岩波新書2009年)
・峯陽一「2100年の世界地図:アフラシアの時代」(岩波新書2019年)

「戦後史」を考える時、それが戦前戦中と断絶したものではなく、その連続性の中に多くの問題が「積み残されてきた」意味。GHQの戦後改革や「戦後デモクラシー」を過大評価しないという指摘。そして世界が同時に「戦後」を迎えたのではない(多くの東南アジア諸国が植民地支配から脱するのはもっと後)こと。ナショナルヒストリーを超えて「戦後」を見ること。
中東現代史が専門の臼杵陽氏も交えて、イスラエル・中東地域が抱える問題とイスラエル国内でのシオニズム以外の多様な価値観の存在について。
「2100年の世界地図:アフラシアの時代」でのアフラシア(アフリカ+アジア)という概念。100年後には欧米ではなくアフリカ・アジアの人口が大多数になり勢力変化が起こるという予測。アフラシアがその時「分裂と対立」に陥らないためには、「増大・成長・成功を基準としたパラダイム」から「安定した持続するパラダイム」へのシフトチェンジが必要。工業化・都市化を至上価値とした世界から、新しい文明観への飛翔。歴史を語ることは、実は未来を語ることでもあった。
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