切手収集の世界では今、様々な問題を抱えています。ひとつには収集家の減少と高齢化があげられます。趣味の多様化している現在、切手収集がそれこそ無数にある選択肢 のなかに埋もれてしまっているのです。かつての切手ブームの時代とは違って、投機性の失われた切手収集は、もはや多くの人を引きつけるものではなくなっています。もう
1つには収集の専門分化に走りすぎる傾向です。切手収集とは言ってもあまりにもその領域は広く、独りの力で世界中の切手を集め尽くすことは現実的ではありません。そこ
で切手収集家は、自分の専門分野を持って収集を行なうのが普通です。こうした専門分化は中・上級の切手収集家たちに顕著で、ある1種類の切手についても消印、紙質、ギザギザの間隔、郵便物の種類(書留、速達、等々)などを分けていきます。こうした専門研究は、郵便や交通の歴史や印刷技術の歴史を表わすものとしても、あるいは当時の
世相を反映する史料としても、興味深いものがあります。しかし切手収集の専門用語で記述されることが多く、なかなか一般的に理解されるものではありません。どんなに優 れた研究であっても、一般社会との接点を失い、その活動の面白さを広く認知されることが無くなっては意味が半減してしまいます。
そんな接点を作りだすための試みの1つとして、誰にでもおすすめのできる切手収集の入門書として、大学のレポートのネタ集として、博識な著者によってまとめられた各 国郵便史のダイジェストを紹介したいと思います。切手という1枚の小さな紙片のうえには、戦争、革命、分裂、併合などでめまぐるしく動く近現代史が如実に現われてきま
す。この長年にわたって「スタンプマガジン」誌に連載された「切手国めぐり」には、まさにこの切手収集の醍醐味をあますところなく伝えています。こうした切手収集の現 状のなかで、本書は様々な示唆を与えていると言えるでしょう。
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