2020年初の中国武漢に始まるコロナ禍、そして、その後のグローバル危機と自由落下していく経済。本書は、翌年のバイデン政権誕生までのコロナ経済危機について、混迷する政局模様、台頭する中国等の国際情勢も交え、詳細に述べている。
まず、現時点で世界経済は崩壊していない。ここが重要だ。確かに各国で供給ショックが起き、消費も落ち込み、国債のメルトダウンに直面し、金融システム全体が危機に瀕した。このため、FRBをはじめとした各国中央銀行が空前の量的緩和で応じた様子が描かれている。このあたりに各国が過去に学んでいたことが見てとれる。
一方で、本書が描く政治の混乱ぶりは教訓じみている。そもそも「パンデミックは繰り返すが、政治は決断できず準備もなかった」ともする。それでも、殆どの国で緊縮政策を拭い去り、財政出動で低迷する経済を支えたと言える。この間の各国の政治模様には不満が残るのだが、人々の動きを封じつつの財政政策が綱渡りの連続で必死だったことが窺える。
そんな中で台頭する中国の動きに本書は注目する。中国はいち早くコロナ禍を抜け出し、マスク外交を展開し、香港も掌握してしまった。民主主義の悪い面が出てしまったトランプ騒動と対比すると、その強かさが際立つ。「西洋の失敗と中国共産党の勝利」が印象づけられてしまった感さえある。これからの世界にどんな副作用を及ぼすかも気になるところだ。
未だコロナ禍は終わらないが、歴史は変わり目にあるのだと感じた。足下には、成長しない経済と膨れ上がるバランスシートがもたらす過剰流動性という問題もある。しかも、ウクライナ戦争も始まり、経済はスタグフレーションの様相を呈しつつある。これからもコロナとの闘いは続き、様々な困難が起こることを暗示する本でもあった。
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世界はコロナとどう闘ったのか?: パンデミック経済危機 単行本 – 2022/1/21
購入を強化する
『朝日新聞』2022年4月2日読書面で紹介(評者:藤原辰史氏)
『日本経済新聞』2022年4月9日「この1冊」で紹介(評者:地主敏樹氏)
『公明新聞』2022年4月18日読書面で紹介(評者:福島清彦氏)
『週刊エコノミスト』2022年5月17日号「Book Review」で紹介(評者:服部茂幸氏)
『聖教新聞』2022年5月10日読書欄で紹介
2020年、コロナ・ウイルスは世界経済、国際関係、そして地球上のほぼすべての人の日常生活を破壊し、何億人もの人々が職を失い、死の恐怖におびえた。
かつて世界経済全体が数週間のうちに20%も縮小したことはなく、世界経済の95%が同時に苦境に立たされたことはなかった。
ウイルスは私たちの健康だけでなく、経済をも猛烈な勢いで攻撃し、今や世界中のいかなる国も、ビジネスや金融のグローバルな網目から逃れることはできないのだ。
政治家や中央銀行、製薬会社など、さまざまな個人や組織の思惑や利害関係と、中国や欧州、イギリス、アメリカといった世界各国がとった政策とその帰結を克明に追いつつ、中国の台頭やトランプの暴走、ワクチンの開発競争や中央銀行の施策、政府による巨額の財政出動、世界銀行などの国際機関の動きまで、コロナ危機に見舞われた世界を俯瞰する。
2008年の経済危機を描いた『暴落』で高い評価を得た歴史家が、金融、政治、ビジネス、そして人間模様の物語を巧みに織り交ぜながら、すべてが変わってしまった2020年を克明に描き、グローバル化した経済や金融の世界を読み解く、現代世界を理解するための必読書。
『日本経済新聞』2022年4月9日「この1冊」で紹介(評者:地主敏樹氏)
『公明新聞』2022年4月18日読書面で紹介(評者:福島清彦氏)
『週刊エコノミスト』2022年5月17日号「Book Review」で紹介(評者:服部茂幸氏)
『聖教新聞』2022年5月10日読書欄で紹介
2020年、コロナ・ウイルスは世界経済、国際関係、そして地球上のほぼすべての人の日常生活を破壊し、何億人もの人々が職を失い、死の恐怖におびえた。
かつて世界経済全体が数週間のうちに20%も縮小したことはなく、世界経済の95%が同時に苦境に立たされたことはなかった。
ウイルスは私たちの健康だけでなく、経済をも猛烈な勢いで攻撃し、今や世界中のいかなる国も、ビジネスや金融のグローバルな網目から逃れることはできないのだ。
政治家や中央銀行、製薬会社など、さまざまな個人や組織の思惑や利害関係と、中国や欧州、イギリス、アメリカといった世界各国がとった政策とその帰結を克明に追いつつ、中国の台頭やトランプの暴走、ワクチンの開発競争や中央銀行の施策、政府による巨額の財政出動、世界銀行などの国際機関の動きまで、コロナ危機に見舞われた世界を俯瞰する。
2008年の経済危機を描いた『暴落』で高い評価を得た歴史家が、金融、政治、ビジネス、そして人間模様の物語を巧みに織り交ぜながら、すべてが変わってしまった2020年を克明に描き、グローバル化した経済や金融の世界を読み解く、現代世界を理解するための必読書。
- 本の長さ422ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2022/1/21
- 寸法13.9 x 4 x 19.5 cm
- ISBN-104492396659
- ISBN-13978-4492396650
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商品の説明
出版社からのコメント
【目次情報】
はじめに
第I部 疫病と現代世界
第1章 組織化された無責任
第2章 武漢における感染爆発
第3章 グローバル化した世界の悪夢
第4章 ロックダウン
第II部 類を見ないグローバル危機
第5章 自由落下する経済
第6章 金融恐慌を回避せよ
第7章 生活を守れ
第8章 新興市場国の新たなツールキット
第III部 混乱と安定
第9章 EUの復興基金
第10章 勢いを増す中国
第11章 アメリカ国内の危機
第IV部 政治の役割
第12章 ワクチンの開発競争
第13章 債務救済
第14章 蛇口が開いたままの先進経済国
結論
謝辞
原注
索引
はじめに
第I部 疫病と現代世界
第1章 組織化された無責任
第2章 武漢における感染爆発
第3章 グローバル化した世界の悪夢
第4章 ロックダウン
第II部 類を見ないグローバル危機
第5章 自由落下する経済
第6章 金融恐慌を回避せよ
第7章 生活を守れ
第8章 新興市場国の新たなツールキット
第III部 混乱と安定
第9章 EUの復興基金
第10章 勢いを増す中国
第11章 アメリカ国内の危機
第IV部 政治の役割
第12章 ワクチンの開発競争
第13章 債務救済
第14章 蛇口が開いたままの先進経済国
結論
謝辞
原注
索引
著者について
アダム・トゥーズ
1967年ロンドン生まれ。コロンビア大学歴史学部教授。ケンブリッジ大学キングス・カレッジで経済学の学士号を、ロンドン・スクール・オブ ・エコノミクスで博士号を取得。ケンブリッジ大学で教鞭をとったのち、イェール大学のバートン・M・ビッグス教授。2015年から現職。著書に『ナチス 破壊の経済』『暴落』など。
1967年ロンドン生まれ。コロンビア大学歴史学部教授。ケンブリッジ大学キングス・カレッジで経済学の学士号を、ロンドン・スクール・オブ ・エコノミクスで博士号を取得。ケンブリッジ大学で教鞭をとったのち、イェール大学のバートン・M・ビッグス教授。2015年から現職。著書に『ナチス 破壊の経済』『暴落』など。
登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2022/1/21)
- 発売日 : 2022/1/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 422ページ
- ISBN-10 : 4492396659
- ISBN-13 : 978-4492396650
- 寸法 : 13.9 x 4 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 486,866位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 62位経済事情(一般)関連書籍
- - 131位国際情勢
- - 156位金融・銀行
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年4月2日に日本でレビュー済み
すでに別の方も書かれているが、各国のコロナ対策の話ではなく、コロナによって落ち込んだ経済に対し、どのような対策をしたのか、という話である。そういった意味では、副題である「パンデミック経済危機」こそ重要だろう。ただ、経済対策に関しても、中心は、アメリカとEUを含むヨーロッパ、そして中国で、それ以外への地域への言及は相対的にかなり少ない。ちなみに、『暴落』は読んでいない。
中国のコロナ対策への評価が高い。早い段階で抑え込みに成功し、世界全体の経済が減速しているなかでの中国の一人勝ちを指摘している(原著の刊行が2021年なので、現在とは多少のブレはある)。中国がいくつもの不安要因を抱えていることは間違いないだろうが、日本のメディアは基本的に海外情報がアメリカ寄り(アメリカ政府寄り)一辺倒であり、さらに中国経済の評価へのバイアスがあることを考えると、コロンビア大学の教授の指摘は、アメリカ発とはいえ興味深い。
もう一つ、印象的なのは、財政均衡派が強いEUに加え、アメリカが極めて大胆な金融政策や財政出動を行ったという指摘だ。もちろん単純な比較は難しいのだが、給付金や企業への補助金などを見てみると、日本の政策は“寒さ”がつきまとう。簡単に言えば、直接給付の多さに驚かされる。アメリカの場合は、日常レベルの福祉の貧しさの埋め合わせといった部分もあったのだろうが、とにかく規模がでかい。
日本や日本経済への言及は少ない。コロナの感染者数と死者数が欧米に比べて相対的に少ないということもあるだろうが、日本経済が世界経済のなかで占める割合の低下とは無関係ではあるまい(20年前であれば、言及の量は違っていたのではないだろうか)。アメリカやアメリカ経済も相対的に見ればその地位の低下はあきらかだが、財政出動の規模を見れば、そのインパクトはまだまだ大きい。
ただ、2022年に起きたロシアのウクライナへの侵略が世界経済に与える影響が、コロナが世界経済に与えたショックを増幅したり変形させたりすることは間違いない。戦争を予言して書かれたわけではないだろうが、末尾の言葉「まだまだ、こんなものじゃない」が良い意味でも悪い意味で象徴的だ。
中国のコロナ対策への評価が高い。早い段階で抑え込みに成功し、世界全体の経済が減速しているなかでの中国の一人勝ちを指摘している(原著の刊行が2021年なので、現在とは多少のブレはある)。中国がいくつもの不安要因を抱えていることは間違いないだろうが、日本のメディアは基本的に海外情報がアメリカ寄り(アメリカ政府寄り)一辺倒であり、さらに中国経済の評価へのバイアスがあることを考えると、コロンビア大学の教授の指摘は、アメリカ発とはいえ興味深い。
もう一つ、印象的なのは、財政均衡派が強いEUに加え、アメリカが極めて大胆な金融政策や財政出動を行ったという指摘だ。もちろん単純な比較は難しいのだが、給付金や企業への補助金などを見てみると、日本の政策は“寒さ”がつきまとう。簡単に言えば、直接給付の多さに驚かされる。アメリカの場合は、日常レベルの福祉の貧しさの埋め合わせといった部分もあったのだろうが、とにかく規模がでかい。
日本や日本経済への言及は少ない。コロナの感染者数と死者数が欧米に比べて相対的に少ないということもあるだろうが、日本経済が世界経済のなかで占める割合の低下とは無関係ではあるまい(20年前であれば、言及の量は違っていたのではないだろうか)。アメリカやアメリカ経済も相対的に見ればその地位の低下はあきらかだが、財政出動の規模を見れば、そのインパクトはまだまだ大きい。
ただ、2022年に起きたロシアのウクライナへの侵略が世界経済に与える影響が、コロナが世界経済に与えたショックを増幅したり変形させたりすることは間違いない。戦争を予言して書かれたわけではないだろうが、末尾の言葉「まだまだ、こんなものじゃない」が良い意味でも悪い意味で象徴的だ。
ベスト500レビュアー
本書タイトルを見るといかにも「世界各国はどのような新型コロナ対策をとって、感染抑制にいかに成功/失敗したか」のような本に思うかもしれないが、本書はそういう本ではない。
原著タイトルは『Shutdown』で、新型コロナによる大幅な経済落ち込みと、トランプ政権という凄まじい地雷原のなかで、大幅な財政出動を行って経済の急落をどのように食い止めようとしたのか、が本書の主眼である。
感染症の拡大はほぼほぼ出来事の背景という程度の位置づけで、「経済と感染症対策をどう両立させるか」のような問題さえほとんど議論の対象となっていない。あくまでも財政出動と市場の買い支えにフォーカスが当たっており、本書は明白にリーマンショック及びギリシャ危機を描いた 暴落 の続編という位置づけとして読んだ方がいい。
そしてそのため、新型コロナは全世界に影響を及ぼしているにもかかわらず、本書でもっぱら言及されるのはアメリカとヨーロッパ、そしてその次が中国であり、それ以外の地域はときたま「ラテンアメリカ」や「アフリカ」のような括りで言及されるにすぎないという点は、本書を読む前に注意しておく必要がある。
本書のメインストーリーは、FRBによるいざというときの支えが各国の財政出動(国債発行など)を可能にしたことである。ギリシャ危機では大混乱に陥っていたECB(ヨーロッパ中央銀行)も、今回は紛糾しつつも比較的スムーズに動けた。
逆にいうとそのため、『暴落』で描かれていたような複雑な構造や深みは少なく、混沌の原因はもっぱらトランプという不確定要因と共和党による党利党略のための大幅な遅れに落ち着いてしまい、前著のようなはっとする鋭さには欠ける。
新型コロナ下の欧米経済の動きの記録としてはよくまとまっていると思う。
ただ、これだけ多くの地域に多くの影響を及ぼした新型コロナについて、極めて特定の視点からだけ深く記述している本だということは留意して読まないと、期待外れ(自分の知りたいことが全然出てない)と感じる人も多くなってしまうだろう。
やはり『暴落』の続編という位置づけとして読むのがいいのではないかと思う。
原著タイトルは『Shutdown』で、新型コロナによる大幅な経済落ち込みと、トランプ政権という凄まじい地雷原のなかで、大幅な財政出動を行って経済の急落をどのように食い止めようとしたのか、が本書の主眼である。
感染症の拡大はほぼほぼ出来事の背景という程度の位置づけで、「経済と感染症対策をどう両立させるか」のような問題さえほとんど議論の対象となっていない。あくまでも財政出動と市場の買い支えにフォーカスが当たっており、本書は明白にリーマンショック及びギリシャ危機を描いた 暴落 の続編という位置づけとして読んだ方がいい。
そしてそのため、新型コロナは全世界に影響を及ぼしているにもかかわらず、本書でもっぱら言及されるのはアメリカとヨーロッパ、そしてその次が中国であり、それ以外の地域はときたま「ラテンアメリカ」や「アフリカ」のような括りで言及されるにすぎないという点は、本書を読む前に注意しておく必要がある。
本書のメインストーリーは、FRBによるいざというときの支えが各国の財政出動(国債発行など)を可能にしたことである。ギリシャ危機では大混乱に陥っていたECB(ヨーロッパ中央銀行)も、今回は紛糾しつつも比較的スムーズに動けた。
逆にいうとそのため、『暴落』で描かれていたような複雑な構造や深みは少なく、混沌の原因はもっぱらトランプという不確定要因と共和党による党利党略のための大幅な遅れに落ち着いてしまい、前著のようなはっとする鋭さには欠ける。
新型コロナ下の欧米経済の動きの記録としてはよくまとまっていると思う。
ただ、これだけ多くの地域に多くの影響を及ぼした新型コロナについて、極めて特定の視点からだけ深く記述している本だということは留意して読まないと、期待外れ(自分の知りたいことが全然出てない)と感じる人も多くなってしまうだろう。
やはり『暴落』の続編という位置づけとして読むのがいいのではないかと思う。









