お父さんと先生が協力すると、中学校でどんな授業ができるのだろうか? 第一線で働くビジネスマンの著者が提案したのは、ハンバーガーや家づくりから政治・経済を考える、「よのなか」科の授業。その授業記録をまとめたのが本著だ。
たとえば、「1個のハンバーガーから世界が見える」という授業では、生徒たちが地図を見ながら、ハンバーガー店の出店場所を決めるシミュレーションゲームから入っていく。実際の地図を見ながら、駅や団地、学校などの立地条件を話し合い、どこに出店すれば儲かるかを考える。さらに、ハンバーガーの原材料費から利益や貿易を学び、円高・円安を学ぶ授業では、最大手のハンバーガー企業から仕入れ担当者を招き、具体的な話を聞く。
子どもたちにとって身近な教材をもとに、社会の仕組みを解き明かしていく「よのなか」科の授業。「何のために勉強するのかわからない」という子どもたちの声が多いなか、一つの答えを提示しているのではないか。「学校で教える人は教師だけ」というこれまでの教育に、大きな風穴を空けた試みだといえよう。
本著は、授業の流れをそのまま再現した構成になっている。授業で使用したワークシートも掲載。教師の具体的な発問や生徒たちのナマの意見が忠実に再現されているので、読者も実際に授業に参加している気分になる。
余談ではあるが、経済が苦手な人にとっては、ちょっとした参考書にもなりそうだ。(町場キリコ)
内容(「MARC」データベースより)
「一個のハンバーガーから世界が見える」「『ゴム』と地球とあなたの関係から政治と世界を学ぶ」…一人のお父さんが本気で学校に関わっていくと、ここまで学校は変わる。お父さんと先生でつくる新しい学びの誕生。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
藤原/和博
1955年生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。93年からロンドン大学ビジネススクール客員研究員。94年から95年パリ駐在。96年より同社フェロー。“シミュレーション”や“ロールプレイング”などのゲーム手法を大胆に採り入れた総合的な学習『よのなか』科の提唱者。評論家としてではなく、実社会での豊富な経験を持つ3児の父として小中学校の教育改革に関わり、実践を通して子供たちとともに学んだ事実だけをドキュメントする語り口で、公立私立を問わず小中学校の校長・教頭や先生、母親からビジネスマンまで幅広い支持を得ている。東京都杉並区行政評価検討委員並びに教育委員会アドバイザー、区立永福小学校評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)