石牟礼道子さんの懇望を受けて、色川大吉先生が「不知火海総合学術調査団」を結成されたのは、1976年春。以来、10年の長きにわたり、各界の第一人者ともいうべき研究者たちが不定期で水俣を訪れ、その実態を各方面から調査していった。色川先生は民衆史の掘り起こしをメインとされ、地元の古老や語り部を何度となく訪問、聞き取りを行い、それらの調査結果を大学の紀要や学会誌などに発表した。それらのうち、いまでは入手困難な論考を集成したものが本書である。40年以上の月日を経ても古びない情熱を帯びた論考に、混沌とした21世紀の地平から学ぶべき点は非常に多い。
不知火海民衆史、ここに有終。画期的共同研究『水俣の啓示』収載の「不知火海民衆史序説」の元となった、不知火海沿岸での古老たちへの聞き書きを集成。渚の語らいがよみがえる聞き書き篇。各論的位置づけ。
著者について
1925年(大正14年)千葉県生まれ。歴史家。東京大学文学部卒業。東京経済大学名誉教授。「民衆史」の開拓、「自分史」の提唱などで注目を集め、水俣病事件調査や市民運動にもかかわる。 主な著書に『明治精神史』『ある昭和史―自分史の試み』(中央公論社)、『困民党と自由党』(揺籃社)、『北村透谷』(東京大学出版)、『廃墟に立つ』『カチューシャの青春』(小学館)、『若者が主役だったころ―わが六〇年代』『昭和へのレクイエム―自分史最終篇』(岩波書店)、『色川大吉著作集』全5巻(筑摩書房)、『東北の再発見』(河出書房新社)、『戦後七〇年史』(講談社)、『あの人ともういちど―色川大吉対談集』『五日市憲法草案とその起草者たち』(日本経済評論社)、『イーハトーヴの森で考える―歴史家から見た宮沢賢治』(河出書房)ほか多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
色川/大吉
1925年(大正14年)千葉県生まれ。歴史家。東京大学文学部卒業。東京経済大学名誉教授。「民衆史」の開拓、「自分史」の提唱などで注目を集め、水俣病事件調査や市民運動にもかかわる。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)