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不可能性の時代 (岩波新書) 新書 – 2008/4/22

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「現実から逃避」するのではなく、むしろ「現実へと逃避」する者たち―。彼らはいったい何を求めているのか。戦後の「理想の時代」から、七〇年代以降の「虚構の時代」を経て、九五年を境に迎えた特異な時代を、戦後精神史の中に位置づけ、現代社会における普遍的な連帯の可能性を理論的に探る。大澤社会学・最新の地平。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大澤/真幸
1958年長野県に生まれる。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。千葉大学文学部助教授などを経て、京都大学大学院人間・環境学研究科教授、社会学博士。専攻は比較社会学・社会システム論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


登録情報

  • 新書: 296ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2008/4/22)
  • ISBN-10: 4004311225
  • ISBN-13: 978-4004311225
  • 発売日: 2008/4/22
  • 梱包サイズ: 17.4 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9 19件のカスタマーレビュー
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トップカスタマーレビュー

形式: 新書
世には多くの納得させられる本があるが、読むことで想像力を掻き立てられる本というのは少ない。特に学術系の本はそうだが、この本は、想像力を掻き立てられる数少ない本である。
内容は、戦後の日本の時代を「理想の時代」、「虚構の時代」、「不可能性の時代」の三つに区分し、現代を「不可能性の時代」として論じるものである。理想とは現実を変えようとするもの、虚構とは現実から逃避するもの、そして現代は「現実」に向かって逃避する。しかしその現実とは、通常の現実ではなく、「現実の中の現実」、極度に暴力的であったり、激しかったりする現実へと逃避している。そう著者は論じるのである。
これだけでも充分に想像力を掻き立てられるのだが、「不可能性の時代」に至る経緯を終戦直後から解き明かしていく過程が実に面白い。特に、六〇年代から七〇年代にかけて、三つの同音異曲の小説がヒットしたことを解説する箇所は、瞠目に値する。三つの小説とは、『砂の器』、『飢餓海峡』、『人間の條件』の三作だが、この三作は、社会的成功者に「過去からの訪問者」が現れ、「過去からの訪問者」を殺害するという、同一の構造を持っている。社会的成功者達は、その成功が過去のアイデンティティーの隠蔽によって支えられている。しかし被害者達は、過去のアイデンティティーとの持続的一貫性を要求するものとして現れている。
「六〇年代の繁栄は、戦
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形式: 新書
 概して面白く読めたが その「面白さ」はあくまで著者が本書で語る「物語」の面白さであり それが本当なのかどうかについては 留保が必要ではないかと感じた。
例えば著者は「酒鬼薔薇聖斗事件」「地下鉄サリン事件」などに 時代を読み込もうとしている。
著者が読み込んだ「物語」は読んでいて説得力には満ちている。しかし一方 それらの事件が 果たして時代を代表するような出来事であったかどうかに関しては 同時代に生きた僕としては説得されなかった。
 事件にまとわりつく「記号」を分析する知性には感心しても その記号は そもそも特殊ではないかという印象が最後まで残った。
 ましてや松本清張のサスペンス小説「砂の器」を取り上げ 主人公の本浦を 「本裏」=「裏日本」と読み込んでしまう著者の「深読み」を考えてしまうと それ以外の著者の読み込みも もしかしたら同レベルに「面白く」かつ「深読み」ではないかと感じてしまうのだ。
 その上でオタクを巡って 現代を読み込む手法に関しては 「そもそもオタクがこの時代を切りとる正しい切り口なのか」という前提を押えるという手続きに欠けている気がした。
 現代の日本社会を分析するにあたり オタクという「特殊な記号」が どれほど有効なのかが僕には説得的ではなかった。
 「オタク文化を読み解くことの面白さ」は本
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投稿者 イッパツマン トップ1000レビュアー 投稿日 2010/2/5
形式: 新書
 最初に時代区分と言葉の定義がある。理想の時代(1945−60)、夢の時代(60−75)、虚構の時代(75−90)、そして不可能性の時代(90年代以降)。現代(不可能性の時代)の特徴は「アイロニカルな没入」など幾つかの用語で整理できるが、基本的にそれらのコンセプトは現代人の二律背反傾向を示している。引篭もりのオタクが趣味の合う仲間内とのコミュニケ−ションを渇望することから、政治的多文化共生主義の徹底がコミュニタリアニズム(保守的伝統主義)と結果的に同じ振る舞いを行うことまで、膨大な事例を引きながらこれらの分析フレームの有効性を証明する。結論部で語られているような、社会的ネットワーキングの推進による民主主義の徹底に望みを持とうとする点も含め、著者の整理は成程うまく行っているような気がするのだが、それでも僕は以下の点が気になった。

1)オタク論がかなり雑で我田引水だ。例えば、鉄道や切手のマニアにとって、彼らの趣味は「広域の普遍的な世界へのつながりを実感させてくれる手がかりだったのだ」(94p)と語る。「オタクの世界=閉域」というステレオタイプなイメージとオタク達が持つ(と著者の考える)「世界」への希求の二律背反を例示しようとした箇所なのだが、でも、例えば鉄道オタクひとつ取っても、電車の「音」や「分岐器」専門の人とかゴマンといる。多分、彼らは別に路線図の先に広がる世
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形式: 新書
著者の博識、博捜ぶりは驚嘆に値する。読者はたちまちのうちに、幾つものトピカルな事件や現象を想起させられる。まず若者が引き起こした幾つもの猟奇的事件が分析される。(ただし、「猟奇的」などという言葉は単純思考のそしりを免れないだろう。)無意識に働きかける東京ディズニーランドの仕掛けが紹介されるかと思えば一方では意味深長なゲームやアニメやマンガの世界が展開される。(「新世紀エヴァンゲリオン」を知っていますか?)「美少女ゲーム」が大人気らしい。(「美少年ゲーム」はなくてすむのだろうか?)これをサブカルチャーなどと貶めてはならない。その普遍性を説かれるとこれが現代カルチャーのメイン・ストリームと思わされる。ましてや未来は若者のものなのだから。(でもこの世界に無縁な若者もけっこういるような気がするのですが?)
松本清張、折口信夫、三島由紀夫、大江健三郎、村上春樹などもそれぞれ役割を振り当てられて登場する。つまり論旨の証明のためにはあらゆる道具立てが使われると勘ぐりたくなる。証明すべきこととは現代が「不可能性の時代」だということ、そして戦後ここに至る過程には「理想の時代」と「虚構の時代」があったということである。しかしお膳立てを揃えすぎれば焦点はむしろ拡散する。証明すべきことが難題であること自体が知的な努力を掻き立てている印象が拭えない。
新書版の本は大体がモノグラフである。
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