Kindleで読めることになった円朝全集。いうまでもないがKindleでは、フォントサイズが希望通りのサイズに動かせるので、ルビがはっきり読める。
本書には、ふんだんにルビがふってあり、このルビこそが、本書の大きな、いや偉大な存在価値なのだと力説したい。
その理由は、漢字で書かれただけでは、今現在の読み方で読み流してしまうところを、ルビのおかげで、当時の喋り方が、そのまま伝わってくるのである。
ルビをたどって読んでゆくと、ため息の出るような口調が生き生きと甦り、おかげで息遣いまでもを受け取ることができるのだ。凄い魅力!
たとえば、と例を挙げだしたらそれこそ日が暮れてしまう。いいから見てやってください。これが江戸っ子だ。
なぜ、言文一致体の近代文学に影響を及ぼすことができたのか。それは物書きたちが寄席に通ったからではない。読んだからだ。なぜ読めたのか。それは円朝の喋りを記録することができたからだ。
一言一句あやまたずに記録できたのは、ちょうどこのころに速記術が生まれて発達したからである。
それまでは講演も座談会も記録できなかった。速記のおかげで国会の演説も、高座の円朝さんも、文字として残すことができるようになったのだ。
物書きたちはこれを読んで、そして魅力を感じた。言文一致の部分だけを学んだのではない、円朝を読むとはっきり分かるが、地の文に当たるおしゃべりの部分と、ガラッと変えて一つの場面を設定して会話する部分とが交互に現れる。こうした組み立て方までも、影響というよりも真似したのではないか。要するに日本文学の宝と言える貴重なものです。
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