内容紹介
演奏 上野星矢(フルート)、佐野隆哉(ピアノ)
録音 2011年11月16-17日、相模湖交流センター
1989年東京出身。都立芸術高校を経て東京芸術大学音楽学部入学。同大学2年時にパリ国立高等音楽院へ留学。2008年、第8回ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールでグランプリを受賞し、一気に注目を浴びます。
完璧で正確無比なテクニックを持ちながら、その技術に溺れることなく、イマネジネーション豊かな歌心溢れる音楽をきかせ、シンプルなメロディーになるほどに、その特徴が際立ちます。のびやかな音色、殊に美しい弱音表現(最高音域でも! )、多彩なビブラートや、息の長いフレーズから言葉を語るようなニュアンスまでを自在に繰り出して表現される音楽は、凛とした気品と考え抜かれた知性を感じさせます。一方で、ここぞというポイントで見せる絶妙なケレン味を武器に、良い意味での「解りやすさ」と、通好みの音楽性を高度に両立させる力を持っている点は彼の大きな特徴です。既に演奏され尽くされてきた感のある、ドップラーの「ハンガリー田園幻想曲」をかくも新鮮な感覚で聴かせるあたり並大抵のセンスではなく、既に大器の片鱗を感じさせます。
いわゆる伝統的なフルートらしさに縛られることのない彼の斬新な演奏スタイルは、日本で学んでいる間はなかなか周囲から理解されませんでした。しかし、彼の才能と信念は、ランパル・コンクール第1位はじめとして海外で高く評価されて、その実力が知られるようになり、まさにフルート界に「維新」を引き起こすような存在となりつつあります。一方で、クラシック音楽だけでなく、その延長線上にある現代音楽や、ポピュラー音楽にも分け隔てなく接し、良い曲・共感できる曲は積極的にステージで披露し聴衆の心をつかんでいます。いわゆるビジネス戦略的なクロスオーヴァー路線とは明確に一線を画す姿勢は、クラシック界に新風を吹き込むに十分の素質であるといえましょう。
デビュー盤では、あえて超名曲ばかりを集めて勝負に挑み、上野の類まれな才能を際立たせることに成功。その中に、現代の楽曲(ショッカー/ボリング)をおりまぜるほか、ボーナストラックとして、坂本龍一の「東風」、松任谷由美の「春よ来い」(上野の十八番でアンコールとして度々演奏している)を収録。
メディア掲載レビューほか
フルート奏者、上野星矢のデビュー・アルバム。ドップラーの「ハンガリー田園幻想曲」他、あえて超名曲ばかりを収録。その中に、現代(2012年時)の楽曲(ショッカー/ボリング)をおりまぜるほか、ボーナス・トラックとして、坂本龍一の「東風」を収録。 (C)RS