秘密結社、新発明の秘密書類、泥棒紳士、ヨーロッパ出身の妖婦…。こう聞くだけで、冒険ミステリー好きな人にはたまらないと思います。
しかし、こうした「お約束」とでもいった設定を用いながら、ありきたりのお話にしていないところが、クリスティーのクリスティーたるゆえんではないでしょうか?
読み進んでいくうちに、明かされていく真実は、私たちの予想をいい意味で裏切るもので、テンポのよさと相まって、一気に読まされます。
正直、クリスティ-ファンの方なら、犯人はすぐにピンと来るでしょうから、犯人の意外性という点では、欠ける所があるかもしれません。しかし、セブン・ダイヤルズ・クラブとその首領であるナンバー7の正体には、本当に驚かされました。
さらにこの作品を楽しく読ませているのは、ユーモアのセンスとでも言うべきものが、底に流れているからでしょう。クリスティーの冒険ミステリーの典型的主人公とも言える生き生きとした女性バンドルと、イヌのように忠実な愛すべきビルとの恋愛も含め、多彩な登場人物が物語を彩り、盛り上がてくれています。
個人的には、愛すべきぐうたら、バンドルの父であるケイタラム卿とバトル警部のファンです。
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