10年以上昔、作者が今はなきゲーメストという本で書いていた頃から独特の雰囲気と可愛いキャラ絵が好きで微妙にファンでした。
その後エロ雑誌でちまちま書いていたようですが、絵柄がこんななのでぜんぜんエロくない。
本作のエロ部分を少し多めに描写した程度のものでした。
道満清明氏の作品の見所は、シュールで不条理で不思議で切なくておもしろいようなおもしろくないところ。
エロいけどエロくない、汚いけど汚くない……可愛らしい絵柄と相まってやはり「独特」という言葉がしっくりきます。
ギャグセンスも独特のツボをついてきて思わずクスリとしてしまいます。
本作はそんな氏の良さを凝縮したような作品で、不気味で奇妙な背景ながら読みやすく仕上がっています。
ほんのりエロティック、下ネタもあるが抑え気味、おそらくはその配分がここにきてようやく黄金比となったのか、自分としては「今さらながら道満清明が売れ始めた」という印象です。
ただこの作者さん、これまで長編(長期連載作品)がほぼ皆無だったと思うので、同じ舞台・登場人物が二巻続けて出たのはこの作品が初めてなんじゃないでしょうか。
そういう意味では、『ニッケル・オデオン』の方が短編集なので「道満清明らしさ」を味わえると思います。
内容に少し触れると、他の方のレビューにもあるように二巻になって少しインパクトが落ちた部分があります。
主人公(?)タイゾーが非日常に「慣れて」いったことで読者の感覚とズレが生じ、驚きや恐怖感は薄れました。
彼岸の住人側になったタイゾーが今後どうなっていくのか、また展開上、登場人物たちがわりとあっさり退場になってしまうので、最後まで残るのは誰なのか?という楽しみもあったりなかったりします。
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