漫画としては満点。言うことなし。
「命がけの非戦」というテーマが重く課せられているこの漫画…。
今の所、トルフィンの主張は「ややお花畑」です。
彼の今までの経緯から、そのお花畑に至るまでの覚悟は本物であるので、そこに重みはあります。
本巻最後の彼の険しい表情にも「重さ」が現れています。
「戦わないこと」でどうやって身を守るのか。
ハーフダンは言葉も通じ、リーダーとしての厳しさも、商人としての理も人としての優しさも持ち合わせている人物でした。
法律や民会によってトルフィンを斬らなかったというハーフダン。
共依存・経済的共生によって斬られなかったと考えたトルフィン。
でも、それもこれもハーフダンさんが理性的な人間であったからこそ。
相手が 話の通じない輩・優しさを持ち合わせていない輩 であったのなら…
互いに依存関係になったとしても、「そんなことよりも武力で相手を支配下に収めれば旨味を吸い上げ放題だ」と考える人間が必ず現れます。
残念ながら非戦は素晴らしくて尊いものではありません。
流行りの言葉を使うなら「生殺与奪の権利を他人に渡す」事なのです。
他人の良識や価値観や感情に自分・家族・仲間・大切な人の命を委ねる事に他なりません。
もし非戦こそが世界を救うなら、この物語の最初でトールズは死ぬことなくトルフィンを助け、今も仲良く親子で平和な世界を作っているはずなのです。
例えば──この先トルフィンが、今度は自分自身の息子を敵に捕らわれた状況に陥ったとして、
「俺はどうなってもいいから息子は助けてくれ」と言って素直に斬り殺されるのだとしたら、物語は1歩も進まなかったことになります。
(トルフィンの高潔な覚悟を湛えた濁りのない瞳力を見て、すべての敵が理性的な人間になった、みたいな反則技は、この漫画では起こり得ないでしょう)
史実における“トルフィン”達のヴィンランド開拓は、原住民との紛争となり、失敗に終わります。
はたして、非戦を美化することはなく。実現せずとも絶望せず。
非戦による平和とは、実現し難い夢物語だが、命をかけて追い求める価値があるのだと、そんなメッセージを残す終わり方となるのでしょうか…。
それとも…?
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