100冊以上ものティーン向けミステリー・ホラー作品を執筆して来た米国ベテラン女流作家クーニー女史が1992年に発表した塔の部屋のヴァンパイア・シリーズ第2弾です。本書は前作「ヴァンパイアの契約」のラストでヒロインが出て行って空家になった家に四人家族が引っ越して来た所から始まります。今回のヒロインは高校一年生の地味な女の子デヴニーで父母と弟のルークと暮らしています。転校して来て新しい学校に馴染めるかとても不安な彼女でしたが、美少女アリッサが優しく迎えてくれます。デヴニーは喜びますが、次第に彼女の美貌に嫉妬と羨望を覚えます。「私も美しくなりたい」やがて願いに応えて塔の部屋に潜む邪悪な存在が再び現われデヴニーに近づきます。
本書のホラーとしての良さは前半でデヴニーが自分に逆らって勝手に動く影法師に苛立ち息苦しくなる場面や、中盤で自分だけに見える‘闇の道’を意識して戦慄に襲われる場面でしょう。それは血が流れるような直接的な怖さではありませんが、得体の知れない迷宮に踏み込むような心理的・生理的な恐怖感も別な意味で効果があると思います。それから、本書を読んで感じた前作との決定的な違いは思いやりや人間らしさが随分残されている点です。まず、デヴニーは偶然にアリッサが自分を疎ましく思っている本音を立ち聞きしてしまいますが、キツイ事をいわれても根に持たず深い恨みを抱かない温厚な性格ですし、後半で人気者の座から転落した女の子を見捨てずに慰めてくれる友人がいます。そして何より家族の温かい愛がデヴニーの心を開いて邪悪に立ち向かう決意を呼び覚ますのが感動的です。けれど難をいえば、恐怖小説の面ではパワーダウンして少し呆気ない印象であるのと物語の展開が良く似たパターンですので、もし続巻があるのならば(?)悪魔の迫力倍増を含めて今後の筋立てに思い切った変化を期待したいと思います。
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ヴァンパイアの帰還 (YA! ENTERTAINMENT) 単行本(ソフトカバー) – 2008/8/9
キャロライン・B・クーニー
(著),
神戸 万知
(翻訳)
美しくなるため、私は悪の取り引きをする 転校生デヴニーは平凡な女の子。彼女の前にヴァンパイアが現れ、取り引きをすれば望みを叶えるという。彼女が望んだこと。それは「美しくなる」ことだった。
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2008/8/9
- ISBN-104062693984
- ISBN-13978-4062693981
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
塔のある家に引っ越してきたデヴニー。地味な女の子で、新しい学校になじめるかとても不安だったが、美少女アリッサがやさしく迎えてくれた。デヴニーは、よろこびながらも、彼女の美貌に嫉妬をおぼえる。そして、塔のなかから、彼女を破滅へと誘う声が響きはじめる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
クーニー,キャロライン・B.
1947年生まれ。アメリカコネチカット州で育つ。小さい頃から物語が大好きで、大学に入って本格的に執筆をはじめる。主にティーン向けのミステリ、ホラー作品を発表し、その数は100作以上にのぼる
神戸/万知
ニューヨーク州立大学卒。白百合女子大学大学院博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1947年生まれ。アメリカコネチカット州で育つ。小さい頃から物語が大好きで、大学に入って本格的に執筆をはじめる。主にティーン向けのミステリ、ホラー作品を発表し、その数は100作以上にのぼる
神戸/万知
ニューヨーク州立大学卒。白百合女子大学大学院博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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