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商品の説明

内容紹介

山本晋は国際交流基金の奨学金で、一九六九年にレバノンのベイルート・アメリカン大学の文化人類学講座の聴講生になり、古代からこの地で生き延びてきた原始キリスト教徒の生態を研究していた。このため、ベイルートでの交友関係は、大学関係者に偏り、ベイルートで生活する日本人の友人の数は限られていた。
 この日、山本は限られた日本人の友人である藤崎次郎を誘い、レバノンの原始キリスト教徒の隠れ里として有名なレバノン山系中の山里バスキンタへ向かった。目的は日本での山本の出身大学付属民俗学博物館の依頼で、レバノン、シリアなどレバント地方の伝統的生活用具を収集することである。
 二人が乗った小型バスはレバノン山の山並みの中を走っていた。乗客が示す二人に対する態度は、必ずしも好意的なものではなかった。そんな中、バスはレバノン山南麓にひっそりと佇む白銀の寒村バスキンタへ着いた。
 先ず二人は昼食をする店を探したが、この寒村にはそれらしい店などはなかった。代わりに見つけた処は倉庫のような建物の中で男たちが集まっている陰鬱な空間だった。この場所へ入った二人は、敵意に満ちた空間の中で、そそくさと昼食を終えて、この空間を逃げ出した。ここでの二人は、古代からこの地に隠れ住んできた村人たちのよそ者に対する強い警戒心を見せつけられたのだ。
 戸外に出て、受け入れられそうな家を探したが、各戸とも玄関を閉めて、二人を受け入れる様子は見当たらなかった。そんな中で、近代的な佇まいをした一軒の家に行き当たりそこを訪ねたところ、気品のある婦人が現れ、二人を招き入れてくれた。家の中では、毅然とした態度の長身の老人が長いすに腰掛けていた。昔ベイルートの大学で教鞭を執っていたというこの元教授は山本たちの訪問目的に理解を示すとともに、村人たちの排他的な態度について陳謝した後、その遠因となるレバノンの山岳民族の歴史を説明してくれた。
 その内容は、太古フェニキアの人々がバアール神を信仰していた頃、旧約聖書を聖典とする南の隣国との軋轢と相剋の歴史から始まり、七世紀の中葉、この土地に現存する原始キリスト教マロン派の祖先であるアンティオキア教会がビザンチン教会から異端宣告を受けた事件の背景の説明におよんだ。またこの頃に勃興したイスラム教との軋轢の結果、欧州から侵入してきた十字軍との混淆が進み、現代レバノンのマロン派がかたちつくられたことなどを語った。そして、話は現代のレバノン紛争の近因となっているレバノンの近代史におよんだ。こうして、老教授の話を聞き終わった山本たちはこの山里の住民のよそ者に対する警戒心の源を知ることになった。山本は、このマロン派キリスト教徒の村の伝統的生活用品のわずかをこの家で調達して、ベイルートへ帰った。
 山本はアルバイトをして、ベイルートでの生計を立てていた。その一つに、この地へ進出した日本企業の現地雇員に対する日本語教育の需要があった。その一環として、山本は日本企業の東京電器のレバノン事務所の所長秘書のマドレーヌに日本語を教えていた。教え初めて二年が経った頃、マドレーヌの日本語はめきめきと上達していた。これは、マドレーヌと山本がお互いに好意を持っていることの表れだった。そんな中で、マドレーヌの誕生パーティが開かれ日本人としてただ一人招かれた山本は、楽しい時間を過ごした。山本は、とくにこの地でプロトコルと呼ばれるレバノン人の外交マナーを知った。これは、十字軍以来フランスを中心とした西欧文明に由来する洗練されたものだった。そしてなににも益して山本の脳裏に焼き付いたものは、たおやかなマドレーヌの姿だった。
 こうして、山本のベイルートでの生活はアメリカン大学の講義の聴講とマドレーヌに対する日本語教育が中心になって進んでいたが、この間のベイルートの政治情勢は悪化していた。この結果市内でも各種政治グループ間の戦闘が始まり、アメリカン大学の講義も閉鎖され、さらにマドレーヌの住む街も周りのモスレムの街から攻撃を受けるようになった。こんな中で、マドレーヌとの結婚を考えるようになった山本は相応の収入を得るべく、日本企業の現地雇員の就職口を探し始めた。一方、危険にさらされたキリスト教徒の街に住むマドレーヌ一家は、フランスへの移住を考え始めていた。
 こんな情勢の中でのある日、二人は古代アルファベットが発見された遺跡ビブロスでデートした。このデートで自分の心を告白し結婚を申し込んだ山本に対し、マドレーヌはフランスへ移住する家族のことを考えて、直ちに山本のプロポーズを受け入れることはなかった。だが、マドレーヌが自分を好いてくれていることを知っている山本は、マドレーヌ一家がフランスへ移住したあとでも、なおプロポーズを続けることを決心して、日本企業の仕事先のサウジアラビアのジェッダへ去ることにした。その後も、二人の文通は続いた。
 翌一九七五年五月下旬のある夜、ジェッダの山本の下へベイルートの藤崎から国際電話がかかった。マドレーヌの家が砲撃に遭い一家が死亡したという報せだった。マドレーヌも死亡したという。
 山本は急遽ジェッダからベイルートへ飛ぶことにした。だがベイルート空港は戦闘で閉鎖されていた。山本は東地中海の島国キプロスへ飛んだ後、ベイルート北方のキリスト教徒の港町ジュ二エへ船で行き、そこからマドレーヌが住んでいた街へたどりつくことができた。マドレーヌの凶報を受けてから四日目の夜のことだった。だが、マドレーヌに逢いたいという山本の望みはかなえられなかった。マドレーヌは砲弾の直撃を受けて、死骸は原型を留めていなかったということだった。さらに葬儀も山本が到着した日の昼間におこなわれ、遺骸は埋葬された址だった。フランスのボーヌへ行っていて危うく難を逃れたマドレーヌの父親レイモンドが涙ながらに山本に語った言葉は、「こんなことになるのなら、早く君と結婚させてジェッダへやっておけばよかった」というものだった。そして、レイモンドが山本へ差し出したマドレーヌの形見は、崩壊した家の残骸の中から発見された七色に輝くローマン・グラスが収められた小箱だった。

登録情報

  • フォーマット: Kindle版
  • ファイルサイズ: 210 KB
  • 推定ページ数: 54 ページ
  • 出版社: キンドル (2013/7/25)
  • 販売: Amazon Services International, Inc.
  • 言語: 日本語
  • ASIN: B00E68EUMG
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能): 有効
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