「提案の技術」というと、いかにも地味で専門的な印象を持たれるかもしれない。ところがどうして、現在のビジネスの現場で、これほど必要とされる能力はないといっても過言ではない。「提案の技術」がないゆえに、どれほど多くの「優れたプラン」が具現化されることなく消えていったことか。本書は、そうしたビジネス上の詰めの甘さを自覚し、提案を成功に導くための「技術」を明らかにしたものである。
内容(「MARC」データベースより)
論理思考力・仮説検証力・会議設計力・資料作成力。ビジネスマンが価値の高い仕事を遂行していく上で必須の4つの能力である。この基本能力を「提案」という切り口で整理し詳述。優れたプランを成功へと導くテクニックを伝授。
抜粋
●提案の技術とは何か
「提案の技術」というと、いかにも地味で専門的な印象を持たれるかもしれない。ところがどうして、現在のビジネスの現場で、これほど必要とされるスキルはないといっても過言ではない。「提案の技術」がないゆえに、どれほど多くの「優れたプラン」が具現化されることなく消えていったことか。本書は、そうしたビジネス上の”詰めの甘さ”を自覚し、提案を成功に導くための「技術」を明らかにしたものである。本書の内容は、ビジネスマンが価値の高い仕事を遂行していくうえで必須となる能力、すなわち
・論理思考力-話をつなぐスキル
・仮説検証力-疑問に答えるステップ
・会議設計力-議論をまとめるスキル
・資料作成力-紙に落とすステップ
という必須基本能力の全てを、「提案」という切り口で整理している。あえて、いま流行になっている「問題解決」「分析」「プレゼンテーション」などの切り口でまとめなかったのは、
「論理的に考え、問題解決できても、それを相手にうまく伝えられなければ意味がない」
「プレゼンテーションがうまくできても、話す中身がなければ意味がない」
という現実を痛感しているからである。「正しく考える」能力と「正しく伝える」能力は、ビジネスマンにとって不可欠であり、両輪としてバランス良く身につけなければならないのだ。
論理思考やプレゼンテーション能力を鍛えるのは、もちろん大事である。しかしそれは手段にすぎない。目的はあくまでも、それらのスキルを身につけることで、物事の理想の状態を考え出し、それを人に正しく伝えられるようになることである。その理想に向かって人が動き、変化することで、ビジネスが円滑に進むようになり、企業が、社会が、世界がよくなっていくことが重要なのだ。
●提案の技術は誰にどう役立つのか
さて、実際に本書が誰に対して、どのような局面で役立つのか、本書の特徴を整理してみよう。
1)中堅ビジネスマン
企業の内外で、提案する局面に最も多く立たされると想定されるのが、この層の方々である。この方々にはほぼ全章が役に立つと思われるが、特に役立つのは第3章の「仮説検証力」、第4章の「会議設計力」である。「仮説検証力」は相手のニーズを汲み取るスキルそのものであるから、客先その他外部との交渉や上司との打ち合わせ、更にはポイントを押さえた部下への指示出しに非常に役立つ。また「会議設計力」のスキルは使用頻度が高く、知ると知らないではその結果に大きな差が出るだろう。
2)若手ビジネスマン
上司からさまざまな作業依頼を受けつつ、自ら仕事を切り盛りしなければならないこの層の方々に特に役立つのは、第2章の「論理思考力」と、第5章の「資料作成力」である。自分の言いたいことを、理路整然と端的に周囲の人に伝えるために論理思考は欠かせないし、日々の作業をまとめアウトプットを出すためには資料作成力も不可欠である。「仮説検証力」や「会議設計力」はあるに越したことは無いが、求められる機会はそう多くないので優先度は高くない。
3)管理職層、経営者層
この層の方々は、自分が学ぶというよりは、「部下に学ばせる」という意味で使用局面が多いと考えられる。特に「何度言っても気の利いた提案をしてこない部下」に対して、いったいその提案のどこがダメなのかを体系立てて指導する際に、本書の体系は全般的に有用である。
とりわけ、第2章の「論理思考力」、第3章の「仮説検証力」は役立つだろう。そもそもきちんと言いたいことが説明出来ない部下に、どの視点が抜けているのか、どこに論理の飛躍があるのかをわからせる上で「論理思考力」は必要だ。また、こちらの意を上手く汲めない部下に対し、論点は何か、どういう示唆を欲しているのかをわからせるには、「仮説検証力」が不可欠である。
4)就職活動学生
この層の方々は、近い将来に向けて「ビジネスそのもの」のイメージを膨らませると同時に、「正しい仕事への取り組み方」を学ぶことが大事である。さらには就職活動のなかでは、自分という人間を正しく表現し、相手に伝えていく必要がある。その意味では、まさに「自分自身を提案」する力を磨かねばならない。「ストーリー」でビジネスの現場の雰囲気をつかみ、第2章の「論理思考力」で自分の考えを正しく表現出来るスキルを身につけることが重要である。
以上のように、本書は幅広い読者層の方に役立つと考えている。また、読者の方の立場が変わるたびに、また新たな内容を読みとっていただけるものと確信している。
著者について
高田貴久 株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズ 創業者 CEO
1973 年生まれ。東京大学理科I類中退、京都大学法学部卒業。1998 年に戦略系コンサルティングファームのアーサー・D・リトルに入社。製造業を中心に、全社・事業・R&Dを始めとする各種戦略立案から、業務プロセス・人事制度・組織風土改革に至るまで、幅広い経営課題の解決を手掛ける。同社で採用担当、教育研修担当を務めたのち、2002 年にマブチモーター株式会社に入社。社長付 兼 事業基盤改革推進本部 本部長補佐として、企業変革に従事。その後、ボストン・コンサルティング・グループを経て、2006 年に株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズを設立。ビジネススキルの体系化と普及を掲げ、企業の発展と個人の成長に尽力。他の著書に『問題解決』(英治出版)。個人活動では、就職活動ポータルサイト「外資コンサル.com」を運営。アカデミーヒルズ、早稲田大学エクステンションセンターでも教鞭をふるう。東京大学、京都大学、九州大学、早稲田大学などでも講演多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高田/貴久
1973年、大阪府に生まれる。東京大学理科1類中退、京都大学法学部卒業。1998年に戦略系コンサルティングファームのアーサー・D・リトルに入社。製造業を中心に、全社・事業・R&Dを始めとする各種戦略立案から、業務プロセス・人事制度・組織風土改革に至るまで、幅広い経営課題の解決を手がける。同社では、プロジェクトリーダーとして活動するかたわら、採用担当、教育研修担当なども務める。その後、2002年にマブチモーター株式会社に入社。社長付 兼 経営企画部付プロフェッショナル社員として、現在は当事者として企業変革に従事している。個人活動では、就職活動ポータルサイト「外資コンサル.com」を運営。若手マネジメント人材育成のための各種勉強会や合宿を開催。グロービス・マネジメント・スクール講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)