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ロコ! 思うままに (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2006/5/20

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

異常者により十数年間、奇怪な館に閉じ込められていた少年“ロコ”。今、たった一人の少女のために、恐怖と絶望の世界へ走り始めた!倒れてさえ、思うままに。

抜粋

 手首を切るためのナイフと,遺書に用いる筆ペンをスーパーで買って、僕は家路を急いだ。
「そうだ、死のう」と決めた途端に、心は晴れやかになった。
 死ねばもう、絶望の闇の中でもだえ苦しまなくてもすむのだ。
 そう考えると、歩調さえ軽やかになった。なぜこんな簡単な解決策を今まで思い付かなかったのか? 自分の愚かさに笑いまでこみあげてきた。
「ふふ、ははは、そうだ、死のう、死ねば楽になる。悦子と桃太に天国で会える。ふふふふ、はははははははは」
 ここ半年あまりの重圧が一気に消え失せていく、死の甘い誘惑だった。
 ついにスキップまで踏みながら三丁目商店街を急げば、道行く人々がサーッと右左によけていった。
「かわいそうに」とつぶやく主婦たちの声が聞こえた。
 これから死ぬ身には近所の評判などもうどうでもよい。「死のう、死のう。あははは」湧き上がる笑い声をおさえもせず往来の真ん中をやがて駆け出していた。
 自殺決行地と決めた自宅マンションまであとわずかであった。ところが手前にあるゲームセンターの角を曲がったところでハタと足が止まった。
 背中に子供の声を聞いたような気がしたからだ。
“助けて、ここから出して”
 確かに、そう聞こえた気がした。
 ふり返って辺りを見回すが、子供の姿などなかった。よりいっそう挙動不審な僕の様子に、主婦たちがそそくさと逃げていった。
 背後にはUFOキャッチャーの機械があるだけだった。
 ぶ細工なぬいぐるみが数体、ケースの中に積んである。その中の一体、黄色い熊のぬいぐるみと目があった。赤子ほどの大きさ、配置のずれた丸い目、口は笑ったままの形状で縫いつけられている。腹の中心に大きなデベソ。ぶ細工な上に、あわれを誘うくてり具合だ。
『今、助けを求めたのはこいつだ』
 と僕は直感した。
 そして『助けてあげなくては』とも感じた。
 妻と子の命を救ってあげることのできなかった銀河系最低のゴミ人間であるこの僕だ、それで罪の償われるはずもあるものか。だが、せめて、桃太のかわりに、わずか二歳で死んだかわいそうなあの愛しい生命のかわりに、ケースの中で助けを求めているように感じられる、この小さな存在を、救い出してあげたいと心の底から僕は思ったのだ。
「よし、まかせろ、一回で取ってやる!」
 ……アッという間に一万円すってしまった。
 そういえば以前、桃太に何か取ってやろうとした時もあまりに下手で、悦子に涙を流して笑われたなと思い出す。今も、あせればあせるほど、ぬいぐるみはいいところで、クレーンのグリップ・ハンドからこぼれ落ちてしまうのだった。
「もう少しだ、おい熊公、お前もがんばれ!」
 いつの間にか声が出ていた。自分自身を、励ましていたのかもわからない。
「あきらめるな! パパもがんばるからな!」
 ケースの中でぬいぐるみがじっと僕を見ていた。
 死ぬ直前の、病院に運ばれてきたベッド上の桃太と同じ姿勢で、小さな体が僕を見上げていた。
 そのプラスチックでできた黒い目に僕の顔が映っていた。
 歯を喰いしばり、瞳には涙があふれている。鼻水まで流れっ放しだ。
『きっとこれこそが、愛する者を亡くして鬼と化した狂人の顔というものなのだ』
 わずかに残った正気の心が自分自身にそう教えた。
「お前! どうした!? 負けるな、がんばれ、やり直すんだ! こっちへ来い、抱いてやるんだから、ぎゅっと抱きしめてやるんだから、がんばれって!」
 また熊がコロリとグリップ・ハンドから落ちた。
 もどかしさに思わずケースを拳で叩いていた。
 ゲームセンターの、パンチパーマで決めた店長が睨み付けながら近づいてくる。元ヤクザとの噂がある中年男だ。読んでいた雑誌を丸め、どうやら殴りつけるつもりのようだ。
 かまわず僕はケースを叩き続けた。妻子を亡くして以来、感情の制御すらできない。
「おいがんばれ! がんばれよ! パパだってがんばったんだ、助けてあげようと祈ったんだ、それなのにどうしてだ!? なぜ愛する者が愛する者を助けてあげられない!? なんでだ……俺たちは家族だろ……なんでパパ一人を置いて……」
 カチャリと音がした。

(『モモの愛が綿いっぱい』冒頭部分)      


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2006年10月22日に日本でレビュー済み
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2014年9月20日に日本でレビュー済み
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2012年7月19日に日本でレビュー済み
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2010年5月27日に日本でレビュー済み
2006年11月28日に日本でレビュー済み
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2006年6月26日に日本でレビュー済み
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