短編集 「螢・納屋を焼く・その他の短編 」 の中にある 『めくらやなぎと眠る女』 の改訂版で、先行する作品にくらべて主旨・主題が先鋭化されている。
「僕」、 25歳は、都会から田舎に、一時的に帰る (逃避なのですが) ことになり、そこで、ひょんなことから中学生の従弟の心因性難聴の診断・治療のために病院に付き添うことになる。不思議なバスに乗り、山の上にある病院で従弟の検査を待っているとき、この小説の主人公である、「僕」 は高校2年生の時、友人とふたり、友人の運転する 125CC のバイクに乗り、胸骨の矯正手術で入院していた友人のガールフレンドの見舞いに行った際の “苦い思い出” に、計らずも、直面することになってしまう。
一つは、彼らの (若さ故の思慮のなさ、あるいは、愛情の量の少なさ故の) 気遣いのなさから、見舞いに持っていったチョコレートを台無しにしてしまったこと、・・・もっと悪いことは、病院から帰り道、僕が運転するバイクで事故を起こしてしまい―――たぶん―――友人を亡くしてしまったことである。
僕と友達は、病院で友達のガールフレンドが書いている詩 (掌小説のようなもの) の粗筋を聴きます。そこには、まるで悪意の化身であるかのような 「めくらやなぎ」 と、めくらやなぎの花粉を蜂によって耳から入れられ、肉を喰われ 「皮膚だけにされ死んだ女」 がでてきます。 そのときには、僕と友達は、その詩の内包する影のような意味には気がつかなかったのでしょう。
しかし、時期は分かりませんが、「僕」 は気付きます。友達のガールフレンドの詩にでてくる 「めくらやなぎ」 と 「眠る女」 とは、結局のところ、 「僕たち」 と 「彼女」 、そのものであったことを・・・・・。
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