本書はハーバード大学やシカゴ大学、英国の有名大学などと関わりを持った外国の研究者の7つの論文を集めた学術書である。本書の流れを見るため7つの章について記載すると、
第一章:ノルウェーの一島内教区における階級と委員会
第二章:都市の家族
第三章:小さな世界問題
第四章:弱い紐帯の強さ
第五章:コミュニティ問題
第六章:人的資本の形成における社会関係資本
第七章:社会関係資本をもたらすのは構造的隙間かネットワーク閉鎖性か から構成されている。
この本を読んで驚くのは1930年代の社会学の論文に、2000年前後のネットワークの論文を参考論文として引用している論文のあることだ。社会学も様々だが、自然科学は研究のスピードがもっと速いように感じられる。ネットワーク理論は初め社会学より問題提起され、その後数学や物理学、生物学といった自然科学の研究対象になっていった。本書の内容について私の記憶に特に残っているのは、人と人とのつながりの関係性の強い、強い紐帯によって小集団組織度の方向性が決定され、コミュニティの中で意見の集約が行われるのももちろんである。しかしネットワークの希薄な関連性の少ない弱い紐帯も、小さくまとまった集団の中に全く異なった生活スタイルを行う人の意見が入ってきて、集団の重要な方向性決定の一因を担っているという点である。社会学的関連性では常識なのかもしれないが、もう一つ考えさせられた命題に対人関係における選択の推移性がある。すなわちAさんがBさんを選び、BさんがCさんを選ぶと、確率的にAさんがCさんを選ぶことが多いそうである。またCさんがAさんを選ぶとというように逆の対人関係でもこの命題は成立する。ITや送電線、脳内神経ネットワークと全く同じ理論が社会学でも応用されようとしている。今世紀の社会学の理解にこの本はお薦めです。
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リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本 単行本 – 2006/8/1
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- ISBN-104326601949
- ISBN-13978-4326601943
- 出版社勁草書房
- 発売日2006/8/1
- 言語日本語
- 本の長さ288ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ネットワーク現象としての社会。「小さな世界」「弱い紐帯」から社会関係資本論までの必読論文を1冊に収録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
野沢/慎司
1959年、茨城県水戸市生まれ。1989年、東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。静岡大学人文学部助教授、トロント大学都市コミュニティ研究センター客員研究員を経て、明治学院大学社会学部教授。専攻は、家族社会学、社会的ネットワーク論、コミュニティ論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1959年、茨城県水戸市生まれ。1989年、東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。静岡大学人文学部助教授、トロント大学都市コミュニティ研究センター客員研究員を経て、明治学院大学社会学部教授。専攻は、家族社会学、社会的ネットワーク論、コミュニティ論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 勁草書房 (2006/8/1)
- 発売日 : 2006/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4326601949
- ISBN-13 : 978-4326601943
- Amazon 売れ筋ランキング: - 35,631位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 194位社会一般関連書籍
- - 1,213位社会学概論
- - 4,145位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
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2012年10月28日に日本でレビュー済み
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2007年11月19日に日本でレビュー済み
論文の著者を見ていただければわかると思いますが、そうそうたるメンバーです。
社会的ネットワーク論の源流である、社会人類学的なアプローチから始まり、
家族社会学へネットワークの視点を導入したボット、転職研究では避けて通れ
ないグラノベッター、「スモールワールド」実験のミルグラムへ続きます。
さらに、コールマンやバートが社会関係資本との関わりで論じています。
ネットワーク分析の入門書とともに購入することをお薦めします。実際の
研究事例を学べますし、解説もされているので研究史の流れをつかむこと
ができます。
ネットワーク分析の入門書は、手に入りやすいものとして
○安田雪,1997,『ネットワーク分析―何が行為を決定するか―』.
○森岡清志編,2004,『都市社会の人間関係』(放送大学教材).
などがあります。同じネットワーク研究でも、大きく2つの流れに分けられ
るので2つ挙げています。現在ネットワーク分析というと前者のほうが一般
的かもしれません。その他に金光淳さんの『社会ネットワーク分析の基礎
―社会的関係資本論に向けて―』もありますが、こちらは腰を据えて学ばれ
る方用になろうかと思います(研究スタンスは安田雪さんらと同じ)。
社会的ネットワーク論の源流である、社会人類学的なアプローチから始まり、
家族社会学へネットワークの視点を導入したボット、転職研究では避けて通れ
ないグラノベッター、「スモールワールド」実験のミルグラムへ続きます。
さらに、コールマンやバートが社会関係資本との関わりで論じています。
ネットワーク分析の入門書とともに購入することをお薦めします。実際の
研究事例を学べますし、解説もされているので研究史の流れをつかむこと
ができます。
ネットワーク分析の入門書は、手に入りやすいものとして
○安田雪,1997,『ネットワーク分析―何が行為を決定するか―』.
○森岡清志編,2004,『都市社会の人間関係』(放送大学教材).
などがあります。同じネットワーク研究でも、大きく2つの流れに分けられ
るので2つ挙げています。現在ネットワーク分析というと前者のほうが一般
的かもしれません。その他に金光淳さんの『社会ネットワーク分析の基礎
―社会的関係資本論に向けて―』もありますが、こちらは腰を据えて学ばれ
る方用になろうかと思います(研究スタンスは安田雪さんらと同じ)。