ヒロインが可愛く健気で素晴らしいし、主人公も善意と行動が伴っていてなかなかの好漢なのですが、どうもテーマが重い。最近はほとんど見ないが、こうしたテーマの作品は40年くらい前は小説やテレビでよく取り上げられていた。かつて戦争で南方に出征した兵士が終戦後も現地に残り、そのまま現地に土に帰り、妻と子供が残される。日本では跡継ぎ探しに躍起になって結果、現地に子供が残っていることが分かって、さあ、という筋書き。悲劇にも大団円にもなる素材ですが、基本的には悲劇の要素が強い。どこまで美化しても現地に置いてきた事実はどうしようもない。
本作はさらに時代が下ってヒロインは孫の世代。日本人とのハーフだった母は結婚しリトル・ロータスという食堂を切り盛りしていたが事故で二人ともなくなる。それを知った日本人の祖父ももはや先は長くなく、日本で生まれ育った主人公にヒロインを説得するよう依頼する。いささか勝手な話で得心がいかないが、当然ヒロインは主人公の話を断る。さて、というところで色々あって二人は同居することになる。
どうだろう、そんな簡単のもんだろうか。そんなに簡単に整理がつくだろうか。そこまでに3つも4つも山があって当然だと思うのだが。もちろん、話を進めるために主人公がひったくりにあうという事件が触媒になってはいる。しかしそれも領事館の骨折りであっさり解決している。
母子二代置いてけぼりの過去が雪解けのように消えるのは理解できない。まあ、ベトナムにも雪が降る所はあるそうですが、そんなことをつらつら思いながらやっぱりこの作品は無いなというのが結論です。
リトル・ロータス 1 (LINEコミックス) (日本語) コミック – 2018/9/28
西浦キオ
(著)
6巻中1巻: リトル・ロータス
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言語日本語
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出版社LINE Digital Frontier
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発売日2018/9/28
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ISBN-104909767150
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ISBN-13978-4909767158
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2021年2月2日に日本でレビュー済み
ベトナムでは、ベトナム戦争期に米兵と夜の女との間に混血児が生まれ、戦後米軍が引き上げて父無し子が社会問題化した。(ちなみに第二次大戦後の日本でも同じことが起こった。駐留米兵とパンパンと呼ばれるセックスワーカーの女性との間に沢山のGIベビーが生まれた。)
ベトナム戦争後、東南アジアの開発に際して数多くの日本人が駐在した訳だが、この駐在日本人も米兵と全く同じことをやらかした。まー、通貨格差があったし高度成長期でもあったから日本人は金持っててウハウハ、現地で女遊びをしまくった訳だ。悪名高い日本人のタイ等への少女買春ツアーなんかもこの頃の話である。
この漫画のじいさんは「現地の女性と恋に落ちた」とか綺麗にのたまっているが、統計的事実から推測すれば多分相手は夜の女で、ベトナムドン(解放ドンか統一ドンか知らんが)の札束でツラをはたきたい方とはたかれたい方の利害の一致から始まった関係が、そのうち情が移った結果、一言で綺麗に表現すれば「恋に落ちた」となったんだろう。帰国に際して別れたことからもそれが伺える。戦後のどさくさでと言い訳しているが、結局のところ駐在任期限定の現地妻にすぎなかった訳だ。開高健の『輝ける闇』の「私」と素娥との関係、ミュージカル『ミス・サイゴン』のクリスとキムの関係みたいな感じだろうと想像できる。勿論そういう形の愛もある。でもそれは思春期の子供が「恋」という言葉からイメージするものとは一線を画す、全くの別物である。初期の頃の『課長島耕作』を読めば、昭和の男性の女性観・恋愛観が現代とは異なることが見て取れるだろう。
で、この漫画の主人公は良くも悪くも短絡的でバカだから、そういう時代背景とかじいさんの後ろめたい筈の過去とかも知らずあっけらかんと現地に行き、わざわざ内定を出してくれた企業の迷惑も考えず電話一本でドタキャンして現地で生活するじいさんの孫娘と暮らそうとする。しかも、「彼女の本当の家族になって『あげたい』」、「この国で一緒に暮らして彼女を『助けてあげられないか』」。常に上から目線で、悪気が無さそうなのがまた手に負えない。(もはやギリギリ残っていると言ってもいい)経済格差から来る無自覚な見下しが入っているのは、おいおい、お前のじいさんと同じことやってるぞ、とつっこみたくなる。想像力が足りなさすぎで孫娘の方が一回怒るのも当然である。
しかし孫娘の方もそのまま怒って突っぱねていればいいものを、主人公の料理が美味しいというだけでほだされてさらっと軽く流されてしまう。後に残ったのは15歳という絶妙にアウトな年齢の可愛い従妹と、異国情緒あふれるカフェの一つ屋根の下で暮らす、美味しい楽しいダイスキなキラキラ新生活であった、ちゃんちゃん。
こういうのを未来志向というのであろうか。まあそれでも良いけどさ。
なんかそのうち二人の間に「あら、子供が出来ちゃったわ」となりそうである。
そして歴史は繰り返す。
ベトナム戦争後、東南アジアの開発に際して数多くの日本人が駐在した訳だが、この駐在日本人も米兵と全く同じことをやらかした。まー、通貨格差があったし高度成長期でもあったから日本人は金持っててウハウハ、現地で女遊びをしまくった訳だ。悪名高い日本人のタイ等への少女買春ツアーなんかもこの頃の話である。
この漫画のじいさんは「現地の女性と恋に落ちた」とか綺麗にのたまっているが、統計的事実から推測すれば多分相手は夜の女で、ベトナムドン(解放ドンか統一ドンか知らんが)の札束でツラをはたきたい方とはたかれたい方の利害の一致から始まった関係が、そのうち情が移った結果、一言で綺麗に表現すれば「恋に落ちた」となったんだろう。帰国に際して別れたことからもそれが伺える。戦後のどさくさでと言い訳しているが、結局のところ駐在任期限定の現地妻にすぎなかった訳だ。開高健の『輝ける闇』の「私」と素娥との関係、ミュージカル『ミス・サイゴン』のクリスとキムの関係みたいな感じだろうと想像できる。勿論そういう形の愛もある。でもそれは思春期の子供が「恋」という言葉からイメージするものとは一線を画す、全くの別物である。初期の頃の『課長島耕作』を読めば、昭和の男性の女性観・恋愛観が現代とは異なることが見て取れるだろう。
で、この漫画の主人公は良くも悪くも短絡的でバカだから、そういう時代背景とかじいさんの後ろめたい筈の過去とかも知らずあっけらかんと現地に行き、わざわざ内定を出してくれた企業の迷惑も考えず電話一本でドタキャンして現地で生活するじいさんの孫娘と暮らそうとする。しかも、「彼女の本当の家族になって『あげたい』」、「この国で一緒に暮らして彼女を『助けてあげられないか』」。常に上から目線で、悪気が無さそうなのがまた手に負えない。(もはやギリギリ残っていると言ってもいい)経済格差から来る無自覚な見下しが入っているのは、おいおい、お前のじいさんと同じことやってるぞ、とつっこみたくなる。想像力が足りなさすぎで孫娘の方が一回怒るのも当然である。
しかし孫娘の方もそのまま怒って突っぱねていればいいものを、主人公の料理が美味しいというだけでほだされてさらっと軽く流されてしまう。後に残ったのは15歳という絶妙にアウトな年齢の可愛い従妹と、異国情緒あふれるカフェの一つ屋根の下で暮らす、美味しい楽しいダイスキなキラキラ新生活であった、ちゃんちゃん。
こういうのを未来志向というのであろうか。まあそれでも良いけどさ。
なんかそのうち二人の間に「あら、子供が出来ちゃったわ」となりそうである。
そして歴史は繰り返す。