たまたま彼女が出会ったピアノ、ベーゼンドルファー。その最高峰モデルとされるインペリアルを2台用いてピアニスト中嶋錠二と行った2台ピアノでの演奏から発展して制作されたアルバム。
彼女の作品自体としてベーゼンドルファーを使うのはAvec Uに続くもの。日本で2台のインペリアルを使えるショールームでのレコーディングに加えてそ盟友ともいえるベーシスト鳥越啓介氏とのDuoで異なるモデルを用いた録音。エンジニアも前作同様赤川新一氏。
かねてから「猫のジャケット」を作りたかったと強調する彼女の作品は今回、宇野亞喜良氏が彼女の曲をイメージして描いた猫の絵本としての役割もあります。CDを聴きながら、そして聞かずともその猫の絵柄から彼女の今回の作品のコンセプトが感じられるのではないでしょうか。
曲自体は以前から演奏している曲+新たに書き下ろした曲を追加した13曲。中島氏ののピアノは妹尾自身が「この人なら私の曲を」と打診して依頼しているだけあり、とはいっても彼女の全くの忠実なCOPYというわけではなく、その世界を忠実に表現しているといった感じ。二人の妹尾美里というよりは、彼女の譜面を中島氏なりの解釈で演奏しているとでも言えばよいでしょうか。ちょっと不思議な感じがします。
個人的におススメなのは13曲目に収録されている"Toma"。どこか献奏のようなそんな雰囲気がある1曲です。