~■ニッポン放送株買収事件。それは、「スキーム(しくみ)資本主義」時代の夜明け。
和解で一段落したかにも見えますが、ごくごく普通の家族の会話として「M&A」「ホワイトナイト」「ポイズンピル」などの企業買収に関することばがやりとりされるようになった、ライブドアによるニッポン放送株買収。儲かる「しくみ」を作った人間が成功する世界。そこ~~を支配するのは「ルール」。私たちは、確かに時代の曲がり角を曲がったようです。
■表舞台に出てきた、堀江をはじめとする団塊ジュニア世代経営者。彼らの行動原理(しくみ)は、それまでの世代と全く違う。
堀江貴文社長はどういう人間で、彼の行動原理はどこから出ているのか? 一見とっぴに見える言動に振り回され、堀江ひとりの性格と思われがち~~ですが、実は、彼の世代の一般的な生き方だということが、著者によるIT業界経営者への豊富な取材であぶり出されました。彼らは、固定された見方、地位を避け、ひたすら「技」をみがき、論理にかなっていればどんなことでもやる。カリスマ、ワンマンはおらず、面白そうなことがあるとすぐ集まり、ことが終わればすぐ離散する……。団塊ジュニア世代の共通体~~験である「経済敗戦」から導き出されてきた生き方、連携のしかたを、堀江社長と「2ちゃんねる」管理人であるひろゆきの対比を軸に、独自の観点から公平・客観的に描き出しています。
資本市場主義社会へと大きく舵を切った日本経済の主力となる業種が、ファイナンス・IT関連企業へと転換しており、「ルール重視、フェアネス重視」の市場での中心的な担~~い手として表舞台に躍り出てきた彼らの行動原理は、日本社会を相当変えていくものと思われます。
■もちろん「800億調達MSCBスキーム」にはじまる、ニッポン放送株買収のしくみも詳説。
一方、本書ではどのような「しくみ」でニッポン放送株買収の800億が調達できたのか、MSCB(修正条項付き新株予約権付き転換社債)による資金調達のしくみを、~~懇切丁寧に解説。一読すれば理解することができます。そのほか、日本の企業社会の大きな転換、資本市場の本格的稼働など、堀江たちの活躍する舞台がどう作られたか、はたまた、堀江をはじめとするIT企業が民放テレビの牙城を飲み込むことができる可能性はあるのか、この問題を客観的、総合的に分析しており、決定版といえる内容です。~
ホリエモン革命=スキーム資本主義。日本経済の「新しいルール」となるか?堀江貴文をはじめ孫正義、村上世彰など、新世代経営者たちが「どんなしくみで動くか」を徹底検証!「次の一手」はどうなる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐々木/俊尚
1961年兵庫県生まれ。早稲田大政経学部中退後、毎日新聞社に入社し、東京本社社会部で警視庁捜査一課などを担当。1999年に退社し、「月刊アスキー」編集部などを経て2003年からフリージャーナリストとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)