2020/9月に読んだ「その裁きは死」以来のホロヴィッツ。そして、今回は〈カササギ殺人事件〉シリーズと銘打たれた最新作、「ヨルガオ殺人事件 (上・下) "Moonflower Murders"」(アンソニー・ホロヴィッツ 創元推理文庫)を一気読みしました。「カササギ」以降、「メインテーマ」、「その裁き」と傑作パズラーを上梓し続けているホロヴィッツの新作もまた、読者の期待を決して裏切らない傑作パズラーと言っていいでしょう。
2016年。主人公はまたしても、スーザン・ライランド。編集者を辞め、ロンドンからパートナー・アンドレアスと共にクレタ島に移りホテルを経営する彼女の下へ、リッチなトレハーン夫妻が訪ねて来ます。夫妻が経営するイングランド、サフォーク州にある高級ホテル<ブランロウ・ホール>で8年前に起きた殺人事件。既に犯人は収監されていますが、夫妻の娘・セシリーがアラン・コンウェイによる<アティカス・ピント>シリーズ「愚行の代償」を読んだことで、或る事に気が付いてしまいます。そして、そのまま彼女は失踪してしまいます。"The Lady Vanished"(笑)。夫妻は、高額の報酬をチラつかせながら、「愚行の代償」の編集者だったスーザンにセシリーが何に気が付いてしまったのかを調査してほしいと依頼します。クレタ島からイングランドへ。スーザンは、コンウェイの跡を辿るように8年前の殺人事件を調べ歩くことになります。そのあたりは、<一人称私立探偵小説>のようですが、ある程度手ががりが揃った後、いよいよ彼女は自分が編集に加わった「愚行の代償」の再読に取り掛かることになります。ここから以降、そのストーリーの詳細を明かすことは控えたいと思います。メタミステリ。物語の中にダイナミックに埋め込まれた物語。そして、その埋め込まれた物語に仕掛けられた曰く言い難いもう一つの小さな物語。またしても、パズラーの持つ<森羅万象>に出会うことになりました。
サー・ケネス・ブラナー。
「まさに衝撃の一冊。――xx・チャイルド」(大いに笑った)。
「ダイヤルMを廻せ!」。
もはや、私はアティカス・ピントの姿にポアロの亡霊を見ているようで胸が詰まりました(笑)。「そうは思いませんか?わが友よ」。
ホロヴィッツは、パズラーの"よきもの"を"Re-Use"して、"Scrap-And-Build"して、常に新しい世界を"Re-Build"していますね。今回もまた、それは優れた成果として結実しています。
「文学にさまざまな種類はあるけれど、謎解きミステリほど再読の喜びが少ない形式もないだろう。」(上巻 Kindle の位置No.4009-4010)とスーザンは言ってのけますが、そんなことはありません。傑作は、再読の価値がある。二度であれ、三度であれ、読みたいだけ。(私は、そんなには読まないと思いますが(笑)。)
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ヨルガオ殺人事件 上 (創元推理文庫) ペーパーバック – 2021/9/13
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*第1位『このミステリーがすごい! 2022年版』海外編
*第1位〈週刊文春〉2021ミステリーベスト10 海外部門
*第1位『2022本格ミステリ・ベスト10』海外篇
あの『カササギ殺人事件』の続編登場!
合計16冠獲得、累計70万部突破の
ミステリ界のトップランナーによる極上の犯人当てミステリ
『カササギ殺人事件』から2年。クレタ島でホテルを経営する元編集者のわたしを、英国から裕福な夫妻が訪ねてくる。彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。その本とは名探偵アティカス・ピュント・シリーズの『愚行の代償』。それは、かつてわたしが編集したミステリだった……。巨匠クリスティへの完璧なオマージュ作品×英国のホテルで起きた殺人事件! 『カササギ殺人事件』の続編にして、至高の犯人当てミステリ!
*第1位〈週刊文春〉2021ミステリーベスト10 海外部門
*第1位『2022本格ミステリ・ベスト10』海外篇
あの『カササギ殺人事件』の続編登場!
合計16冠獲得、累計70万部突破の
ミステリ界のトップランナーによる極上の犯人当てミステリ
『カササギ殺人事件』から2年。クレタ島でホテルを経営する元編集者のわたしを、英国から裕福な夫妻が訪ねてくる。彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。その本とは名探偵アティカス・ピュント・シリーズの『愚行の代償』。それは、かつてわたしが編集したミステリだった……。巨匠クリスティへの完璧なオマージュ作品×英国のホテルで起きた殺人事件! 『カササギ殺人事件』の続編にして、至高の犯人当てミステリ!
- 本の長さ448ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2021/9/13
- 寸法10.6 x 1.8 x 14.9 cm
- ISBN-104488265111
- ISBN-13978-4488265113
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2021/9/13)
- 発売日 : 2021/9/13
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 448ページ
- ISBN-10 : 4488265111
- ISBN-13 : 978-4488265113
- 寸法 : 10.6 x 1.8 x 14.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 28,276位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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イギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品〈女王陛下の少年スパイ! アレックス〉シリーズがベストセラーに。また、人気テレビドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認のシャーロック・ホームズ・シリーズの新作長編『シャーロック・ホームズ 絹の家』などを手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』『本屋大賞〈翻訳小説部門〉』の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。さらにホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ『メインテーマは殺人』『その裁きは死』でもすべてのランキングで1位に選ばれ、3年連続で年末ミステリランキングの完全制覇を達成した。
カスタマーレビュー
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以下、できるだけネタバレないように努力してレビューを書きます。私はキンドルで読んでいます。
レビューのメインテーマは、『カササギ殺人事件』(以下『カササギ』)との比較です。
概要
〇「小説編」と「現実編」から成る点は『カササギ』と同じ。『カササギ』では「小説編」が終わってから「現実編」が始まるが、本書では「小説編」は「現実編」の間に挟み込まれている。分量的には、『カササギ』は「小説編」のほうがちょっと多く、本書は「現実編」のほうがちょっと多い。
〇共通の登場人物は、「現実編」が主人公スーザン、恋人アンドレアス、妹ケイティ、作家アラン・コンウェイ、アランの妻メリッサ、アランの同性恋人ジェイムズ、警視(正)ロック、弁護士カーンである。「小説編」は名探偵アティカス・ピュント。
〇スーザンの追う事件は、『カササギ』では自身が編集を担当したベストセラー確実の人気推理作家アランの原稿の結末の消失であり、原稿が見つからないとスーザンの編集者人生も会社の存続も危うくなってくる点で、スーザン自身に関わる事件である。一方、本書のスーザンは、アランの本を読んで失踪してしまったセシリーの行方を捜すことを、家族から高額の報酬で依頼され、クレタ島からイングランドに戻ってきた素人私立探偵である。つまり、本書は「小説編」も「現実編」も、私立探偵ものになる。
〇起きる事件は、「カササギ」の「小説編」は死亡事件1件と殺人事件1件、「現実編」は原稿消失事件1件と死亡事件1件、本書の「小説編」は殺人事件1件と死亡事件1件、「現実編」は殺人事件1件とその8年後の失踪事件1件である。つまり、各2件ずつ事件が起きる。
私的感想
〇『カササギ』では、「現実編」での大トリック、「小説編」での大動機が輝いていた。本書の「小説編」は大トリック、大動機はないものの、中技小技を組み合わせて、面白いミステリーになっている。
〇本書の「現代編」の趣向は、8年前の高級ホテル宿泊客殺人事件の真犯人を見抜いていた作家アランがモデル小説風に書いた「小説編」と、関連人物の8年後の事情聴取(なかなかしつこい)から、スーザンが真相を突き止め、最後は関連人物を集め、真相を披露する。定石通りといえば定石通りだが、そこに至るまでは、あまり定石通りではない。
〇個人的には、『カササギ』には及ばないが、全編楽しく読め、十分傑作であると思う。ただ、『カササギ』に比べると、癖が強い(マニアック?)感があり、「カササギ」ほどの広い愛読者は期待できないかもしれない。年末のベストテン類がどうなるか、大変興味深い。
〇個人的感想としては、本書には、フェミニズム的家族批判が取り入れられているように思う。スーザンとアンドレアスはロンドンの別居時代は、何でも話せる恋人同士であったのに、スーザンがクレタ島のアンドレアスのホテルの共同経営者になってからは、仕事のしてあまりの忙しさに、まともな会話のできない事実婚状態になってしまう。スーザンは私立探偵の依頼を受け、脱出のようにクレタ島からイングランドに出るが、動き回って目にしたのは、いくつかの家族の実質的崩壊であった。そして・・。
〇ロマンティックラブ解析、ロマンティックでないラブ解析も大変興味深い。
レビューのメインテーマは、『カササギ殺人事件』(以下『カササギ』)との比較です。
概要
〇「小説編」と「現実編」から成る点は『カササギ』と同じ。『カササギ』では「小説編」が終わってから「現実編」が始まるが、本書では「小説編」は「現実編」の間に挟み込まれている。分量的には、『カササギ』は「小説編」のほうがちょっと多く、本書は「現実編」のほうがちょっと多い。
〇共通の登場人物は、「現実編」が主人公スーザン、恋人アンドレアス、妹ケイティ、作家アラン・コンウェイ、アランの妻メリッサ、アランの同性恋人ジェイムズ、警視(正)ロック、弁護士カーンである。「小説編」は名探偵アティカス・ピュント。
〇スーザンの追う事件は、『カササギ』では自身が編集を担当したベストセラー確実の人気推理作家アランの原稿の結末の消失であり、原稿が見つからないとスーザンの編集者人生も会社の存続も危うくなってくる点で、スーザン自身に関わる事件である。一方、本書のスーザンは、アランの本を読んで失踪してしまったセシリーの行方を捜すことを、家族から高額の報酬で依頼され、クレタ島からイングランドに戻ってきた素人私立探偵である。つまり、本書は「小説編」も「現実編」も、私立探偵ものになる。
〇起きる事件は、「カササギ」の「小説編」は死亡事件1件と殺人事件1件、「現実編」は原稿消失事件1件と死亡事件1件、本書の「小説編」は殺人事件1件と死亡事件1件、「現実編」は殺人事件1件とその8年後の失踪事件1件である。つまり、各2件ずつ事件が起きる。
私的感想
〇『カササギ』では、「現実編」での大トリック、「小説編」での大動機が輝いていた。本書の「小説編」は大トリック、大動機はないものの、中技小技を組み合わせて、面白いミステリーになっている。
〇本書の「現代編」の趣向は、8年前の高級ホテル宿泊客殺人事件の真犯人を見抜いていた作家アランがモデル小説風に書いた「小説編」と、関連人物の8年後の事情聴取(なかなかしつこい)から、スーザンが真相を突き止め、最後は関連人物を集め、真相を披露する。定石通りといえば定石通りだが、そこに至るまでは、あまり定石通りではない。
〇個人的には、『カササギ』には及ばないが、全編楽しく読め、十分傑作であると思う。ただ、『カササギ』に比べると、癖が強い(マニアック?)感があり、「カササギ」ほどの広い愛読者は期待できないかもしれない。年末のベストテン類がどうなるか、大変興味深い。
〇個人的感想としては、本書には、フェミニズム的家族批判が取り入れられているように思う。スーザンとアンドレアスはロンドンの別居時代は、何でも話せる恋人同士であったのに、スーザンがクレタ島のアンドレアスのホテルの共同経営者になってからは、仕事のしてあまりの忙しさに、まともな会話のできない事実婚状態になってしまう。スーザンは私立探偵の依頼を受け、脱出のようにクレタ島からイングランドに出るが、動き回って目にしたのは、いくつかの家族の実質的崩壊であった。そして・・。
〇ロマンティックラブ解析、ロマンティックでないラブ解析も大変興味深い。
ベスト500レビュアー
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上巻を読んだ時点での感想。「カササギ殺人事件」で編集者としての犠牲者(?)となったスーザンを一人称のヒロインとした「カササギ殺人事件」の続編。スーザンはエーゲ海のクレタ島の小さなホテルの共同経営者となっているという設定。イギリスのサフォークで高級ホテル<ブランロウ・ホール>を経営している老夫妻がスーザンを訪ねて来るのが発端で、8年前に<ブランロウ・ホール>で起こった殺人事件の犯人ステファン(収監中)が冤罪だと老夫妻の娘のセシリーが主張している事、スーザンの担当作家だったアラン(この辺は「カササギ」を読んでいないと分らない)がその事件を模したモノを自身の作品「愚行の代償」として発表していて、「愚行の代償」中に事件の真相が書かれている"らしい"事、そして、セシリーが失踪した事が綴られる。勢い、スーザンはイギリスへと戻る訳だが、「カササギ(世評に反して私は評価していない)」よりも「メインテーマは殺人」(傑作)の香りが漂っている印象を受けた。
クリスティ風の上巻(作中作)と現実世界を描いた下巻とでキッパリ区別が付いていた「カササギ」とは異なり、本作では初めからスーザンが捜査に乗り出すという創りとなっている。そのため、スーザンが<ブランロウ・ホール>やフランクの関係者を捜査する姿がメール・書簡形式を含めてかなり衒学的・私的に描かれる。この中では事件の被害者のフランクとアラン(ここでも登場)が共にゲイだった事、フランク殺害に強い動機を持っていた妹夫妻の存在、老夫妻の夫ローレンスとセシリーの姉リサ(セシリーと険悪の仲)とでステファンに対する評価が食い違っている点(リサはステファンと寝ていたかも知れない)が特に気になるが、他の関係者の秘密めいた態度も書き込まれていて、決定打は不明。
そして、ラストで「愚行の代償」が披歴される。"読者への挑戦状"と言って良い。遊び心に富んでいて様々な示唆を含んでいるが、途中で打ち切られ、下巻へのお楽しみという構成。「メインテーマは殺人」(傑作)の香りが漂っていて、下巻への興味を喚起する魅力ある上巻だと思った。
クリスティ風の上巻(作中作)と現実世界を描いた下巻とでキッパリ区別が付いていた「カササギ」とは異なり、本作では初めからスーザンが捜査に乗り出すという創りとなっている。そのため、スーザンが<ブランロウ・ホール>やフランクの関係者を捜査する姿がメール・書簡形式を含めてかなり衒学的・私的に描かれる。この中では事件の被害者のフランクとアラン(ここでも登場)が共にゲイだった事、フランク殺害に強い動機を持っていた妹夫妻の存在、老夫妻の夫ローレンスとセシリーの姉リサ(セシリーと険悪の仲)とでステファンに対する評価が食い違っている点(リサはステファンと寝ていたかも知れない)が特に気になるが、他の関係者の秘密めいた態度も書き込まれていて、決定打は不明。
そして、ラストで「愚行の代償」が披歴される。"読者への挑戦状"と言って良い。遊び心に富んでいて様々な示唆を含んでいるが、途中で打ち切られ、下巻へのお楽しみという構成。「メインテーマは殺人」(傑作)の香りが漂っていて、下巻への興味を喚起する魅力ある上巻だと思った。
2021年10月1日に日本でレビュー済み
前作「カササギ殺人事件」のラストでパートナーのアンドレアスと共にギリシャのクレタ島に旅立った主人公スーザン。新天地で始めたホテル経営ですが、クレーマー対応や日々の雑務に追われて心身共に疲弊し、内心ではギリシャに来たことを後悔し始めていました。そんな時、イギリスから裕福そうな夫妻がスーザンを訪ねてきます。スーザンが編集者時代に担当したアラン・コンウェイの小説「愚行の代償」の中に、夫妻の経営するホテルで起きた殺人事件の真相が書かれているというのです。しかもその事を指摘した夫妻の娘セシリーは行方不明になっていました。スーザンは夫妻の提示した報酬1万ポンドに惹かれて、独りイギリスに飛び立ち調査を開始します…探偵でも知己でもない一般人のスーザンに調査依頼が来ることに少し違和感がありましたが、スーザンに感情移入できたので楽しく読み進めることができました。中盤に「愚行の代償」が始まりますが、その物語世界にも没入できました。犯人を見つけようと、本筋のストーリーの登場人物と愚行の代償の登場人物の対照表をノートに書きだしたりもしましたが、作中に親切に書いてありました。アランによって各所にほのめかされているあの言葉は、日本人には残念ながら見つけにくいのではないでしょうか?
2022年1月14日に日本でレビュー済み
グランジェや、北欧ミステリを読んだ時には味わえない「ミステリとはかくあるべし」が存分に味わえます。
早い展開で読者を急かせる事無く、ゆっくりとリラックスした気分で読む事が出来ます。
アンソニー・ホロヴィッツは、上巻207ページに「何故人はミステリを読むのか」を主人公の口を借りて語っています。そう。其処に書かれている事こそ、「ミステリ」の存在価値なのです。
元々ミステリとは、鉄道の発達に伴い「旅のお供」として列車の中で楽しめる様に「駅売り」をしたのが起源なのです。
そして、英国人が「午後のお茶」をゆっくりと楽しむ様に、ミステリとは本来「楽しい気晴らし」である筈なのです。
処が最近の「ミステリ」は「猟奇的」なモノが多く、展開が早いので、読者は急かされる様に「一気読み」してしまいます。
そしてその様な「読者」は「一気読み」=「傑作ミステリ」と信じて疑いません。
出版界(編集者)も、其れが分って居るので、「次はどんな風に読者を驚かせようか」ばかりに気を取られ、「ミステリの本質」「王道」を踏み外して居るのでは無いでしょうか?
作中ミステリは、表紙の絵、登場人物一覧、扉絵、目次まで手抜かり無く用意されています。
此の一点を観ただけでも、アンソニー・ホロヴィッツは「只者では無い」事が分ると思います。
以上、「上巻」に就いてのレビューでした。
早い展開で読者を急かせる事無く、ゆっくりとリラックスした気分で読む事が出来ます。
アンソニー・ホロヴィッツは、上巻207ページに「何故人はミステリを読むのか」を主人公の口を借りて語っています。そう。其処に書かれている事こそ、「ミステリ」の存在価値なのです。
元々ミステリとは、鉄道の発達に伴い「旅のお供」として列車の中で楽しめる様に「駅売り」をしたのが起源なのです。
そして、英国人が「午後のお茶」をゆっくりと楽しむ様に、ミステリとは本来「楽しい気晴らし」である筈なのです。
処が最近の「ミステリ」は「猟奇的」なモノが多く、展開が早いので、読者は急かされる様に「一気読み」してしまいます。
そしてその様な「読者」は「一気読み」=「傑作ミステリ」と信じて疑いません。
出版界(編集者)も、其れが分って居るので、「次はどんな風に読者を驚かせようか」ばかりに気を取られ、「ミステリの本質」「王道」を踏み外して居るのでは無いでしょうか?
作中ミステリは、表紙の絵、登場人物一覧、扉絵、目次まで手抜かり無く用意されています。
此の一点を観ただけでも、アンソニー・ホロヴィッツは「只者では無い」事が分ると思います。
以上、「上巻」に就いてのレビューでした。