原著は2005年の発刊、翻訳は2007年、私は読んでいなかったが、今回ギリシャ危機、PIIGS問題でユーロ誕生以来最大の試練に直面しているユーロ問題を考えるために読んでみた。著者のティートマイヤー博士はドイツ大蔵省次官、連邦銀行総裁などを務め、ユーロ設立に至る膨大な政策過程が時系列で整理されている。
ひとことでいうと、財政赤字の許容は各国GDPの3%まで、政府債務はGDP比率で60%までと合意された財政規律の収斂とその持続性の可否は、ユーロ設立前からさんざんに議論され、懸念された最大の問題だった。そして、そのルールは2003年にそうそうに放棄され、現在、懸念された問題が現実のものとなっているのだ。
ユーロはこの問題をどう克服するのだろうか?金融政策の統一と財政政策の分離と言う矛盾を克服するために最終的に欧州連邦に向かうのだろうか?
それを考えるベースとなる。
内容的な不満を言うと、公式の場で表明された政策論議と世論動向をベースにした説明で終始しており、裏事情などをもうちょっと語って欲しいなという気持ちには答えてくれていない。「裏事情などない。全て公にして議論してきたんだ」と言わんばかりである。ドイツ人って「カタブツ」なんだろうか。
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