個人的にはディック作品の、目の前にある現実が崩れていくかのごとく感じられるあたりが大好きです。本作「ユービック」も、読み進めていくなかで虚実が入り混じり、何が真実なのか全く分からない世界に放り込まれたかのような不安定な感覚を味わえるあたりに、たいへん読みごたえがあったと感じています。
一時期、映画「エターナルサンシャイン」を撮った監督ミシェル・ゴンドリーが映画化を計画しているという話がありましたが、続報が聞こえてこないのは寂しい限り。個人的には、デヴィット・フィンチャーが映画化しれくれると嬉しいけど…と、脳内で映像化を想像しながら、また読み返して楽しみたいものです。
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![[フィリップ・K・ディック, 浅倉 久志]のユービック](https://m.media-amazon.com/images/I/5169xBPIqmL._SY346_.jpg)
ユービック Kindle版
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言語日本語
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出版社早川書房
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発売日1978/10/18
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登録情報
- ASIN : B00B7GJ73C
- 出版社 : 早川書房 (1978/10/18)
- 発売日 : 1978/10/18
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 390 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 324ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 59,588位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- カスタマーレビュー:
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ベスト500レビュアー
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13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年3月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
電気羊とマイノリティー・リポートしか知らなくて、電気羊=ディック、と思ってたらとんでもなかった!小説として物足りない点というか少々違和感があった点は、あれ?この人が主人公なの?と途中から視点人物がズレた感があるところ。でもそのあたりから俄然おもしろくなるのでもあり。
気持ち悪い!というレビューがあって心惹かれて読み始めましたが、その意味が読んでみたらよく分かった。読んでてめまいがし始めるんです。現実感覚にヒビが入りだすんですね。小説の中の人物同様。読み手の側も。
トム・クルーズの映画のでいいので、プリコグ、という存在をなんとなく分かってから読むのをおすすめします。
いやあ、ディック、見直した!天才!
気持ち悪い!というレビューがあって心惹かれて読み始めましたが、その意味が読んでみたらよく分かった。読んでてめまいがし始めるんです。現実感覚にヒビが入りだすんですね。小説の中の人物同様。読み手の側も。
トム・クルーズの映画のでいいので、プリコグ、という存在をなんとなく分かってから読むのをおすすめします。
いやあ、ディック、見直した!天才!
2021年1月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
有名なSF作家とのことで、最初に「アンドロイド〜」を読んだのですが面白さを見出せず、この著者の作品は私には合わないのかと思っていました。
しかしこちらは本当に同じ著者なのかと疑うくらい面白くてびっくりしました。
最初は期待もせず読みはじめたので、チープでユーモアな世界観を鼻で笑っていました。
そしてそのまま読み進めていくと、どんどん現実が崩壊し陰鬱な状況になっていくので、この世界観は一見アンバランスです。
しかしそのチープさとユーモアが、崩壊する現実の不安定さと不気味さをどんどん際立たせて、何とも言えないこの作品独特の雰囲気に大きく貢献しています。
鼻で笑っていた自分が愚かで恥ずかしい…。
ありそうでなかった展開と、ぶっ飛んだ発想と、秀逸なミステリー要素が絡み合って、エンターテイメント性が非常に高いストーリーも素晴らしかった。
そして普通には終わらせない、あのラストもまた良かったです。
不活性者が無駄に多くて把握しづらいところと、翻訳が古いのか読みづらいところが残念でしたが、新訳が出たら読んでみたいと思わせてくれるくらいの傑作でした。
しかしこちらは本当に同じ著者なのかと疑うくらい面白くてびっくりしました。
最初は期待もせず読みはじめたので、チープでユーモアな世界観を鼻で笑っていました。
そしてそのまま読み進めていくと、どんどん現実が崩壊し陰鬱な状況になっていくので、この世界観は一見アンバランスです。
しかしそのチープさとユーモアが、崩壊する現実の不安定さと不気味さをどんどん際立たせて、何とも言えないこの作品独特の雰囲気に大きく貢献しています。
鼻で笑っていた自分が愚かで恥ずかしい…。
ありそうでなかった展開と、ぶっ飛んだ発想と、秀逸なミステリー要素が絡み合って、エンターテイメント性が非常に高いストーリーも素晴らしかった。
そして普通には終わらせない、あのラストもまた良かったです。
不活性者が無駄に多くて把握しづらいところと、翻訳が古いのか読みづらいところが残念でしたが、新訳が出たら読んでみたいと思わせてくれるくらいの傑作でした。
2014年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冷凍保存された「半生状態」の死者と交信することのできる世界。
物語は、超能力者集団を率いるホリス異能プロダクションと、 異能現象を中和させることのできる不活性者集団を率いるランシター合作社の対立で始まる。
ある日、 ランシター合作社の経営責任者であるグレン・ランシターのもとに、自社に潜む超能力者を一掃してくれという依頼が入る。大規模な案件であるため、グレン・ランシターは右腕のジョー・チップに不活性者を選抜を託す。そして、厳選された不活性者11人、ジョー・チップ、グレン・ランシターの一行は依頼の地「ルナ」へ旅立ち、そこで依頼主であるスタントン・ミックに出会う。
しかし、その現場からは、超能力者の存在を表す磁場が検出されない。するとその直後、スタントン・ミックと思われたその「自爆型のヒューマノイド爆弾」が炸裂。
そう、これは有能な不活性者を一掃しようとした、ホリスの罠だったのである。
この爆発でグレン・ランシターは絶命の危機にさらされるが、不活性者およびジョー・チップの懸命の逃走劇の末、冷凍保存で一命を取り留めたまま地球へと帰還することとなった。
「半生状態」になったグレン・ランシターであったが、ジョー・チップが何度も交信を試すものの、なぜか繋がることができない。ランシター合作社の経営を引き継ぐ立場にあったジョー・チップは途方に暮れることになるが、『異変』はここから始まる。
通貨価値の崩壊、すさまじい速度で進む物質の劣化、時間(あるいは時代)の退行、そして不活性者の変死...。
異変にまみれた奇妙な世界で、ジョー・チップは何を見ることになるのか。そしてタイトルでもある『ユービック』の正体とは!?
フィリップ・K・ディックの真髄である「境界のあいまいさ」が、これでもかとばかりに描写された作品です。「生と死の境界」「現実と仮想の境界」「退行と進行の境界」「虚構と事実の境界」...。私たちの実生活においても、一体どれだけのモノを『実体』として受け止めているのだろうか、と考えさせられる内容でした。目の前のモノを『実体』として手にしたいとき、私たちにも『ユービック』が必要になるのかもしれません。
物語は、超能力者集団を率いるホリス異能プロダクションと、 異能現象を中和させることのできる不活性者集団を率いるランシター合作社の対立で始まる。
ある日、 ランシター合作社の経営責任者であるグレン・ランシターのもとに、自社に潜む超能力者を一掃してくれという依頼が入る。大規模な案件であるため、グレン・ランシターは右腕のジョー・チップに不活性者を選抜を託す。そして、厳選された不活性者11人、ジョー・チップ、グレン・ランシターの一行は依頼の地「ルナ」へ旅立ち、そこで依頼主であるスタントン・ミックに出会う。
しかし、その現場からは、超能力者の存在を表す磁場が検出されない。するとその直後、スタントン・ミックと思われたその「自爆型のヒューマノイド爆弾」が炸裂。
そう、これは有能な不活性者を一掃しようとした、ホリスの罠だったのである。
この爆発でグレン・ランシターは絶命の危機にさらされるが、不活性者およびジョー・チップの懸命の逃走劇の末、冷凍保存で一命を取り留めたまま地球へと帰還することとなった。
「半生状態」になったグレン・ランシターであったが、ジョー・チップが何度も交信を試すものの、なぜか繋がることができない。ランシター合作社の経営を引き継ぐ立場にあったジョー・チップは途方に暮れることになるが、『異変』はここから始まる。
通貨価値の崩壊、すさまじい速度で進む物質の劣化、時間(あるいは時代)の退行、そして不活性者の変死...。
異変にまみれた奇妙な世界で、ジョー・チップは何を見ることになるのか。そしてタイトルでもある『ユービック』の正体とは!?
フィリップ・K・ディックの真髄である「境界のあいまいさ」が、これでもかとばかりに描写された作品です。「生と死の境界」「現実と仮想の境界」「退行と進行の境界」「虚構と事実の境界」...。私たちの実生活においても、一体どれだけのモノを『実体』として受け止めているのだろうか、と考えさせられる内容でした。目の前のモノを『実体』として手にしたいとき、私たちにも『ユービック』が必要になるのかもしれません。
2015年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ブラックユーモアの効いた、また同時にポップな印象すら感じる傑作だと思う。
物語は滑稽ですらあるけれど、ディック特有の安っぽいSF的道具立てと世界観が素晴らしく、そしてそれ以上に物語そのものが抜群に面白い。
ほとんど漫画的なまでに描かれる超能力者たちをとりまく金や出世や嫉妬の悩みに満ちたチープな未来世界や、日常に侵入し始めた不可解な物理法則が作り出す時間や老化現象の奇怪さ、そして「ユービック」を売り込むための滑稽なほどの出来の悪いコマーシャルやコピー。
「火星のタイムスリップ」やこの「ユービック」はいろんな意味で、ディックのブラックなユーモア感覚が存分に楽しめる遊園地のような作品だと思う。
最近、英語の原作も読んで気がついたが、浅倉久志さんの翻訳は平易で読みやすく素晴らしいものの、さすがに1970年代の翻訳ということもあって、少し不必要に訳しすぎていたり不自然な部分も見受けられないわけではない(今の時代ならカタカナで通じてしまうような)。作中の時間逆行の部分ではその古臭さがハマっていい味を出しているのだが、同時にSFらしいスタイリッシュさを消している部分もあって、新しい翻訳で読んでみたい気もする。
物語は滑稽ですらあるけれど、ディック特有の安っぽいSF的道具立てと世界観が素晴らしく、そしてそれ以上に物語そのものが抜群に面白い。
ほとんど漫画的なまでに描かれる超能力者たちをとりまく金や出世や嫉妬の悩みに満ちたチープな未来世界や、日常に侵入し始めた不可解な物理法則が作り出す時間や老化現象の奇怪さ、そして「ユービック」を売り込むための滑稽なほどの出来の悪いコマーシャルやコピー。
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最近、英語の原作も読んで気がついたが、浅倉久志さんの翻訳は平易で読みやすく素晴らしいものの、さすがに1970年代の翻訳ということもあって、少し不必要に訳しすぎていたり不自然な部分も見受けられないわけではない(今の時代ならカタカナで通じてしまうような)。作中の時間逆行の部分ではその古臭さがハマっていい味を出しているのだが、同時にSFらしいスタイリッシュさを消している部分もあって、新しい翻訳で読んでみたい気もする。