技術の進歩でどこでも仕事ができて自由になれるのはこれだけ素晴らしい事だ、これまでの仕事のスタイルはもう通用しなくなってきている、云々が最初から延々続く。
そのわりに具体的にどう行動すれば良いのかという話がほとんどない。
具体的な行動例が出てきたと思えば、SNSを用いてエッジの利いた発信をしてフォロワーを増やしましょう、副収入源を複数持ちましょうといった、よく耳にするような話なのである。
この手の話をする人に共通して欠けているのが、自分自身の仕事のスタイルが成り立っているのは自分がやりたくないことを誰かに担ってもらっているという視点だ。
"iPhoneさえあれば仕事ができる"…ならばそのiPhoneはどこかでロボットが勝手に作っているのか、否、工場で組み立ててくれている人が何百何千といるお陰で、それを手にしていられるわけである。
"時間の掛かる作業や苦手な作業はアウトソースすればよい"…アウトソースされる側が自分の仕事のスタイルを真似するようになったら誰がその仕事を引き受けるのだろうか。
"LCCの発達のお陰で格安で世界を行き来出来るようになった"…言うまでもなく航空会社や空港のスタッフが支えているわけである。
自由で先進的な生き方をしているのかもしれないが、むしろ視野狭窄に陥っているのだ。
著者が言う自由な生き方はごく一部の人には可能だろう、しかしながらそれは、大多数の人による、著者の言う旧来の働き方なしには成立し得ないということを理解するべきである。
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