"不思議なことに、自分のクッキーに入っていた占いの言葉を、いまもそれが手のなかにあるように僕ははっきり思い出すことができる。そこにはこう書いてあった。『太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である』と。"1989年発刊の本書は名訳と共に、失われる痛み。そして青春の終わりを教えてくれます。
個人的には、学生の時に"村上春樹に何か似てるな"と読んで、何十年ぶりの再読となるわけですが。今回感じたのは主に2点。アメリカ文学の主人公の一つのパターン"とにかく逃げる"を踏襲している本書はどこかサリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に似てるな。という印象と、おそらく日本一の翻訳者ではないかと思われる東大名誉教授でもある柴田元幸の【見事に読みやすい翻訳の素晴らしさ】でした。
また、今回の再読で、主人公の若者というよりは自分が彼が出会う老人や中年教授といった人物の生き方の方に関心を寄せるようになっていたのにふと気づき、ああ年を重ねるって素晴らしいな。【人生って退屈で複雑で奇妙で】だからこそ楽しいな。そんなことをあらためて感じさせてくれました。確かに深い余韻が残る絶品小説ですね。これは。
青春と家族を巡る物語が好き、村上春樹が好きな誰かに。また翻訳の素晴らしさを実感したい誰かにもオススメ。
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第164回芥川賞・直木賞 受賞作決定
芥川賞は宇佐見りん『推し、燃ゆ』。直木賞は西條奈加『心淋し川』。
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