保健指導を通じて、アドラーを最も分かりやすくした本とも言えます。
アドラー心理学を扱った本はたくさんあり、専門的なものは一般人にはわかりにくく、敷居が高い。
また職場や子育てでのアドラーの実践法など、実践的な本は、内容が実践に偏りがちで、アドラーの本質が見えづらい事が多いです。
ですがこの本は、保健指導におけるアドラーの実践の事が書かれていますが、なぜそうなのか、アドラー心理学の基本がきちんと書かれているので、アドラーを深く理解しながら、かつ、なぜその様な実践方法となるか、が反復練習の様に理由も書かれているので、表面的ではなく、アドラー心理学の理解が進みます。
そして最後のまとめで、真にどう生きるか、アドラーは幸せに生きる為の心理学なのだという事がわかります。その生き方に気づけば、色々な場面で応用できる「効く本」だと思われます。
なにより著者が様々な失敗や経験や実践を通して得た、いま現時点のご自分という等身大で書かれている事が、すーっと心に入ってくるのかもしれません。愛のあふれる文体です。
イラストが例になってて、クスッと笑える様になっていたり、会話形式で分かりやすいので、解説の後に会話やイラストによって補完されており、頭にインプットされます。
保健指導でなくても、日常に役立てるヒントが満載です。
事例紹介の中の一文
「私たちができるのは勇気づけることだけなのです。相手を変えようとすることではありません」
この一文が全てに浸透する名文です。
また、前にアドラーを主題にした刑事ドラマを見た時の違和感は、課題分離の後の勇気付けの欠落だと読むうちにわかりました。
ではどうすれば良いか、のとても大切なプロセスがわかりやすく書かれています。
タイトルにあるアドラー心理学で重要な「勇気づけ」が具体的に保健指導を通して語られていますが、
これは子育て、仕事での人間関係、など色んな面で活用できるでしょう。
夫に「そのお菓子を食べる目的は?」と一度聞いてみたいです(笑)
3歳と1歳の息子たちにも、親としての支配ではなく、彼らの課題を支援する、という感覚になるだけでも、以前より子供と対しやすくなった気がします。
また、保健指導の現場においては、私たち相談者側も読めば、健康への取組とは何か、保健指導員とどの様な関係を築けるか、
そして何よりいかに自分が健康で豊かな生活が送れるか、タバコやお酒や甘い物が止めたくても止められない人は、どうして自分がそうなのか、この本を通してヒントが得られるかもしれません。
自分自身が勇気を持って、健康的な生活を送る事に向き合う勇気をもらえるでしょう。
自分が乳がんになって思うことは、癌になる原因は様々だと思いますが、生活習慣病によって可能性が高まる病気が確かにあり、そして病気になった時にいかに自分自身と勇気を持って接するか、そして、その勇気をくじかずに医療従事者が支援していくか。
この本をより多くの方達が読んで、互いに相手の事を尊重し合えたら良いなあと思いました。
見た目は明るい軽やかな体裁ですが、読了後は、じーんと暖かく感動すら覚えた一冊でした。
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