これほど丹念に宮崎駿の全作品に論評している人が、海外の研究者だということにまず驚いています。アニメーションと日本文化を研究対象としているスーザン・ネイピア(米タフツ大学教授)による作品の解説はもとより、舞台の背景に流れている思想や文化、宮崎監督の生い立ちからくる考え方など、丁寧に論述しているので、日本人の映画やアニメ評論家の記載よりも詳しいと受け取りました。
筆者が大学で受け持っている「宮崎に関するゼミは、学部全体で最も人気の高いコースの一つとなり、常にキャンセル待ちが出ていて、それでもすべての学生に受講してもらうのは不可能な状態です。(26p)」とあるように、アメリカの若者での人気ぶりが伝わるエピソードでした。
翻訳も分かりやすく、日本語がこなれているので、翻訳文を読まされている気が全くしないのも本書の良さでしょう。
章立ての名称も上手くつけられていました。第9章「カサブランカに舞い降りる『紅の豚』」などは見事です。
また、「ドーラ(ラピュタに登場している)は、『ナウシカ』制作中に他界した母親の美子を偲んで宮崎が創造したキャラクターだと広く考えられている。(173p)」も参考になりました。この話を知らなかったものですから。
同様に『ラピュタ』の最後のイメージに対して、「春の夜の夢の浮橋とだえして 峰にわかるる横雲の空 藤原定家(180p)」を持ち出すあたり、日本文学や文化への広い理解が筆者に流れているのを知ったエピソードでした。
それ以外にも随所に筆者の知的レベルの高さに圧倒される個所が多くあり、研究者の蓄積と研究の深化ぶりをまのあたりにしました。
索引も充実していますし、原注を見ても分かるように、日本語の文献を実に数多く丹念に読んでいることが本書の深さに通じているのです。同様に、欧文でも様々な論考が出されており、宮崎駿が全世界的に研究対象になっているのが理解できました。
当方も、宮崎作品を映画館で初めて見たのは、「となりのトトロ」と「火垂るの墓」二本立てでした。1988年の上映ですから、30年以上前になりました。それ以来、宮崎作品は全作品を映画館で鑑賞してきました。勿論、ナウシカやラピュタもそれから遡って鑑賞したわけですが、良い監督の良い作品と昔に出会って良かったと本書を読んであらためて思い直しました。
この注文でお急ぎ便、お届け日時指定便を無料体験
Amazonプライム無料体験について
Amazonプライム無料体験について
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
| 非会員 | プライム会員 | |
|---|---|---|
| 通常配送 | ¥460 - ¥500* | 無料 |
| お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
| お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥3,300¥3,300 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥3,300¥3,300 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品 - 良い
¥1,778¥1,778 税込
配送料 ¥340 12月4日-5日にお届け
発送元: ブックオフ 福生店 販売者: ブックオフ 福生店
中古品 - 良い
¥1,778¥1,778 税込
配送料 ¥340 12月4日-5日にお届け
発送元: ブックオフ 福生店
販売者: ブックオフ 福生店
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ミヤザキワールド‐宮崎駿の闇と光‐ 単行本 – 2019/11/6
このページの読み込み中に問題が発生しました。もう一度試してください。
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥3,300","priceAmount":3300.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"3,300","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"OKZHYqENLPQXleiAoFNLPmLbj7XVCurU6FON%2FialW2ORLLK9eI8plv%2BN0z733MYajXI2E3Xi%2F2AE3x5NTRVTminZJ1ztn%2B8B7fLnYrDzjuEEorEJHqdH%2Fs%2BdtH4eQfljqekhvswBdSY%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥1,778","priceAmount":1778.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,778","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"OKZHYqENLPQXleiAoFNLPmLbj7XVCurUmFJrCpHN%2Bx5RqMI5HdWsvpZXwauoADMqubLqqIGMaZIe2S0m3iQZeoWbQXhpEkbhrZXnx8EgQqv12v2Erp2iFvrhsKT0Qvd7f5TkWHnxRzXdGqWmgiR0am2ybJa5W%2BCYOcbt6Jswyh8LilAu2obwvS1wVNTb02Mf","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
日本アニメ研究の第一人者による決定版「宮崎駿論」
中・韓・ロシア・アラビア語版も刊行!
30世紀の有毒の森、神々が疲れを癒す湯屋、赤毛のさかなの女の子、ふわふわの森の精――これらに共通する要素とは“?アニメ・クイーン”の異名をとる米タフツ大学教授が、アニメーション作家・宮崎駿(1941‐)が手がけた『ルパン三世カリオストロの城』(1979)から『風立ちぬ』(2013)まで11の長編映画と、コミック版『風の谷のナウシカ』(1982~94)を徹底解剖。その人生と芸術との知られざる関わりを解き明かす。映像作品はもとより、膨大な日本語・欧文文献を8年がかりで渉猟、宮崎監督本人とスタジオジブリ関係者への直接インタビュー、大学で教える宮崎駿ゼミでの知見も踏まえ、「闇と光」がせめぎ合う「ミヤザキワールド」の魅力に迫る。日本版オリジナルの序文を収録。
中・韓・ロシア・アラビア語版も刊行!
30世紀の有毒の森、神々が疲れを癒す湯屋、赤毛のさかなの女の子、ふわふわの森の精――これらに共通する要素とは“?アニメ・クイーン”の異名をとる米タフツ大学教授が、アニメーション作家・宮崎駿(1941‐)が手がけた『ルパン三世カリオストロの城』(1979)から『風立ちぬ』(2013)まで11の長編映画と、コミック版『風の谷のナウシカ』(1982~94)を徹底解剖。その人生と芸術との知られざる関わりを解き明かす。映像作品はもとより、膨大な日本語・欧文文献を8年がかりで渉猟、宮崎監督本人とスタジオジブリ関係者への直接インタビュー、大学で教える宮崎駿ゼミでの知見も踏まえ、「闇と光」がせめぎ合う「ミヤザキワールド」の魅力に迫る。日本版オリジナルの序文を収録。
- 本の長さ432ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2019/11/6
- 寸法13.9 x 3 x 19.4 cm
- ISBN-104152098929
- ISBN-13978-4152098924
よく一緒に購入されている商品

対象商品: ミヤザキワールド‐宮崎駿の闇と光‐
¥3,300¥3,300
最短で12月4日 水曜日のお届け予定です
残り10点(入荷予定あり)
¥781¥781
最短で12月3日 火曜日のお届け予定です
在庫あり。
総額: $00$00
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
商品の説明
出版社からのコメント
私たちは今、複雑で時に抑圧的な方向に向かう時代に生きています。地球上のどこを見ても、人々は外部との間に壁を作ろうとしているように思えますが、宮崎の芸術にはそうした壁を打ち破る力があります。ナウシカの言葉を借りれば、宮崎の作品は「闇の中のまたたく光」にほかならないのです。(中略)本書が監督の芸術世界にいくらかでも「光」を当てる役に立つことを願ってやみません。その芸術性は、今後も何世代にもわたって私たちをくびきから解き放ち、刺激と勇気を与え続けてくれるはずだからです。
(「日本の読者へ――ミヤザキワールドの闇と光」より)
(「日本の読者へ――ミヤザキワールドの闇と光」より)
著者について
米タフツ大学修辞学・日本研究コース教授。1955年生まれ。84年にハーバード大学にて博士号取得(三島由紀夫と大江健三郎研究)。84~85年テキサス大学助教授、85~86年プリンストン大学助教授、テキサス大学三菱日本学科教授をへて現職。専門はアニメーションと日本文化。著書『現代日本のアニメ――「AKIRA」から「千と千尋の神隠し」まで』で、第27回日本児童文学学会特別賞を受賞(2003年)。
■訳者略歴 仲 達志(なか・たつし)
翻訳家。主な訳書にピリング『日本‐喪失と再起の物語』『幻想の経済成長』、マーフィー『日本‐呪縛の構図』、ハリス『セガ vs. 任天堂』(以上早川書房刊)、ホーマンズ『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』ほか。
■訳者略歴 仲 達志(なか・たつし)
翻訳家。主な訳書にピリング『日本‐喪失と再起の物語』『幻想の経済成長』、マーフィー『日本‐呪縛の構図』、ハリス『セガ vs. 任天堂』(以上早川書房刊)、ホーマンズ『犬が私たちをパートナーに選んだわけ』ほか。
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2019/11/6)
- 発売日 : 2019/11/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 432ページ
- ISBN-10 : 4152098929
- ISBN-13 : 978-4152098924
- 寸法 : 13.9 x 3 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 140,228位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 62位アーティスト評伝
- - 403位映画の本(総合)
- - 852位漫画・アニメ・BL(イラスト集・オフィシャルブック)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと見つけたり、似たような著者を調べたり、おすすめの本を読んだりできます。
カスタマーレビュー
星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
26グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ61%39%0%0%0%61%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ61%39%0%0%0%39%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ61%39%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ61%39%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ61%39%0%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年2月21日に日本でレビュー済み
NHKBS[世界サブカルチャー史]で熱くセーラームーンを語っていた著者の本を読んでみた。海外の人が日本の作品をどう論じるのか。日本人視点の好き嫌いや思い入れよりニュートラルな評論を期待。
やはり映画毎に膨大な量の文章が存在するのを読み解き、著者がしっくりくる文章を丁寧に熱心にリスペクトして構成している作品愛に溢れてる。
個人的にはいろいろ背負ってる健気なヒロイン像や「紅の豚」でモテモテの豚顔のオッサンが飛行機の美しさを語るのが宮崎さんの人生が生々しく反映されてるようでだんだん苦手になって、以降の映画を観てなかった。著者はむしろそこを楽しんでいる。
宮崎監督が人生を投影して創ったそれぞれの映画の映像の圧倒的美しさの文章での描写が、映画を観て確認したくなった。
やはり映画毎に膨大な量の文章が存在するのを読み解き、著者がしっくりくる文章を丁寧に熱心にリスペクトして構成している作品愛に溢れてる。
個人的にはいろいろ背負ってる健気なヒロイン像や「紅の豚」でモテモテの豚顔のオッサンが飛行機の美しさを語るのが宮崎さんの人生が生々しく反映されてるようでだんだん苦手になって、以降の映画を観てなかった。著者はむしろそこを楽しんでいる。
宮崎監督が人生を投影して創ったそれぞれの映画の映像の圧倒的美しさの文章での描写が、映画を観て確認したくなった。
2020年1月23日に日本でレビュー済み
概して異文化から見た方が客観的に分析できることが多いが、本作品は正にその典型例、素晴らしい。
筆者は、宮崎の人生を丹念に追い、幼少時代の(脚色された)記憶から、結核の母親との関係、その時の国内・世界状況がどのように筆者に、影響を与えたか、宮崎が生み出したこれまでの作品・世界観を、邦文・英文問わず、多数の文献を引用しながら解説している。
こんなに夢中になって本を読んだことがあっただろうか、それくらい一心不乱に読んだ。
もちろん、日本人からすると、解釈がちょっと違うなという文脈はあったものの、自分が大学生で筆者のゼミを受けたい、そしてその内容を議論したい(英語で)、とまで思った。
人生と芸術の繋がりを探る試みは、伝記であればありがちだが、自分が読んだ中では初めてであり、まだ宮崎が存命なうちに、そして最後の作品とも言える作品を作成中の今、その試みを筆者と共に考察できてよかった。
強いてあげれば、漫画版ナウシカの原点とも言える「シュナの旅」への言及がなかったこと、原発事故を予言したとも言える、そして、「我々は血を吐きながら、繰り返し繰り返し、その朝を越えて飛ぶ鳥だ」を言い換えたとも言える、「On Your Mark」も解説すべきであったと思う。
これは筆者に直接伝えたいくらいである。
筆者は、宮崎の人生を丹念に追い、幼少時代の(脚色された)記憶から、結核の母親との関係、その時の国内・世界状況がどのように筆者に、影響を与えたか、宮崎が生み出したこれまでの作品・世界観を、邦文・英文問わず、多数の文献を引用しながら解説している。
こんなに夢中になって本を読んだことがあっただろうか、それくらい一心不乱に読んだ。
もちろん、日本人からすると、解釈がちょっと違うなという文脈はあったものの、自分が大学生で筆者のゼミを受けたい、そしてその内容を議論したい(英語で)、とまで思った。
人生と芸術の繋がりを探る試みは、伝記であればありがちだが、自分が読んだ中では初めてであり、まだ宮崎が存命なうちに、そして最後の作品とも言える作品を作成中の今、その試みを筆者と共に考察できてよかった。
強いてあげれば、漫画版ナウシカの原点とも言える「シュナの旅」への言及がなかったこと、原発事故を予言したとも言える、そして、「我々は血を吐きながら、繰り返し繰り返し、その朝を越えて飛ぶ鳥だ」を言い換えたとも言える、「On Your Mark」も解説すべきであったと思う。
これは筆者に直接伝えたいくらいである。
2020年1月6日に日本でレビュー済み
読んでいるうちに著者の熱量に打たれて、いくつかの宮崎作品をDVDで見返しました。特に「トトロ」や「魔女の宅急便」はずいぶん印象が変わり、背景のあれこれを感じ取れるようになりました。漫画版『ナウシカ』にも再トライします。ライトなファンからコアなマニアまでオススメです。







