私は東南アジアのとある地域の研究者ですが、この概説書は画期的です。まずもって「この本のねらい」と「終章」が画期的でしょう。
他の地域と同様、ミャンマー(ビルマ)史が民族を単位として語られ始めたのは植民地時代以降のことではないかと思います。
それ以降、民族単位のビルマ前近代史観・歴史記述が当たり前であったにもかかわらず、独立以後の歴史記述はその足元のエスニックな状況が過小評価されている、記述対象になっていないと感じていました。
とくにビルマ近現代史研究は遅れているようです。その「民族」と「国民」を脱構築し、その大きな見取り図を提示している本格的な研究は現れていないと思います。
研究書レベルでもまだなされていないことを一足飛びに概説書でしてしまった、というのが正直な感想です。
また、大所帯でおのおのに性質の異なる分担執筆者を束ねて、これだけの大著に纏め上げた編者の力量は敬意に値します。たんに「束ねた」だけではなく、他者とのかかわりの中で育んでいく研究の実践、ということを感じました。
各執筆者の記述傾向の違いをあえて読者に晒して提示し、それをもってして、民族や歴史記述のもつ政治性を意識させる、そういった意味での「深い入門書」になりえています。
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ミャンマー概説 単行本 – 2011/4/28
伊東 利勝
(編集)
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ミャンマーの政治・外交・経済に加えて、連邦を構成する主要8民族固有の歴史・政治・経済・社会・文化について、日本とミャンマーのそれぞれの専門研究者が共同執筆しました。写真・地図・図版も豊富。研究者のみならず、ミャンマーに興味を持つすべての人におすすめします。
- 本の長さ731ページ
- 言語日本語
- 出版社めこん
- 発売日2011/4/28
- 寸法15 x 4.9 x 21.5 cm
- ISBN-104839602409
- ISBN-13978-4839602406
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商品の説明
著者について
ミャンマー国立大学・教授.専攻:文化人類学
神田外語大学国際言語学科・教授.専攻:前近代ミャンマー史
ミャンマー国立大学・准教授.専攻:文化人類学
元ミャンマー国立大学・准教授.専攻:シャン史.シャン言語史
ミャンマー国立大学・准教授.文化人類学専攻
神田外語大学国際言語学科・教授.専攻:前近代ミャンマー史
ミャンマー国立大学・准教授.専攻:文化人類学
元ミャンマー国立大学・准教授.専攻:シャン史.シャン言語史
ミャンマー国立大学・准教授.文化人類学専攻
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊東/利勝
愛知大学文学部・教授、専攻:東南アジア経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
愛知大学文学部・教授、専攻:東南アジア経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : めこん (2011/4/28)
- 発売日 : 2011/4/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 731ページ
- ISBN-10 : 4839602409
- ISBN-13 : 978-4839602406
- 寸法 : 15 x 4.9 x 21.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 983,613位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 712位アジア・アフリカの地理・地域研究
- - 38,977位社会学概論
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2011年12月16日に日本でレビュー済み
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16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年10月31日に日本でレビュー済み
ミャンマーには135もの民族がいる。アウンサン・スーチーさんの党が80%の得票率で圧勝した選挙では、なんと250以上の政党が参画した。ビルマというのは英語だから使わないのではなく、話し言葉で使うバマー、書き言葉で使うミャンマーと分けている。第二次世界大戦後、経済はインド人、華僑に独占されていた。そこで軍制。(そこまでは書いていないが、その軍制が共産主義を標榜したからこそ、経済の国有化ができたと思います。そして民政へ。)135もの民族がいるので、初めの章と最後の章にはさまれたモン、カチン、シャン等の世界の叙述については、それが民族の全部ではないと知ってから読むべきだなぁと感じてます。これだけでも、これからミャンマーに行く私には大した知識です。しかも、第一章で、お知り合いのミャンマー人のつぶやきとして、「軍がいないとまとまらないというのは確かだ」というような発言。必ずしも賛成はされていませんが、なんとなく分かります。なんとなくですが。
民主化でミャンマーに欧米諸国、日本の企業が押し寄せています。中国はずーっと民主化については何もいわず付き合ってきたそうですが。ミャンマーに行く人たちは読んだほうがいいのではと考えさせられます。この本には書いていませんが、スーチーさんのお父さんであるアウンサン将軍と日本の特務機関である南機関、そしてインドにいたイギリスのマウント・バッテン卿との関係、1983年に起こった全韓国大統領を狙った北朝鮮によるアウンサン廟でのラングーン爆破事件、これらは調べれば分かりますので調べたほうがいいとも思います。
日本では、外国に行ったら「政治の話はするな」がワンパターンの官民あげての制約ですが、政治と文化はこの本が書いているように、表裏一体です。現地の人と話していて何も答えられないのでは、バカにされることは目に見えています。でも、気遣いは必要で、また大変です。
最近、ミャンマーで麻薬王が逮捕され、中国人船員達10数人を殺害したとも伝えられています。ヤンゴンのホテルでは爆発事件も発生していると新聞報道があります。そういうことも考えずに、ミャンマーには行けないのでは。
学術書ですと、上から目線ですが、そうではありません。事実と著者の意見は別にしています。テレビの報道や知ったかぶりの解説者の話より、ずっと参考になりました。
民主化でミャンマーに欧米諸国、日本の企業が押し寄せています。中国はずーっと民主化については何もいわず付き合ってきたそうですが。ミャンマーに行く人たちは読んだほうがいいのではと考えさせられます。この本には書いていませんが、スーチーさんのお父さんであるアウンサン将軍と日本の特務機関である南機関、そしてインドにいたイギリスのマウント・バッテン卿との関係、1983年に起こった全韓国大統領を狙った北朝鮮によるアウンサン廟でのラングーン爆破事件、これらは調べれば分かりますので調べたほうがいいとも思います。
日本では、外国に行ったら「政治の話はするな」がワンパターンの官民あげての制約ですが、政治と文化はこの本が書いているように、表裏一体です。現地の人と話していて何も答えられないのでは、バカにされることは目に見えています。でも、気遣いは必要で、また大変です。
最近、ミャンマーで麻薬王が逮捕され、中国人船員達10数人を殺害したとも伝えられています。ヤンゴンのホテルでは爆発事件も発生していると新聞報道があります。そういうことも考えずに、ミャンマーには行けないのでは。
学術書ですと、上から目線ですが、そうではありません。事実と著者の意見は別にしています。テレビの報道や知ったかぶりの解説者の話より、ずっと参考になりました。
2011年5月6日に日本でレビュー済み
枕になりそうな分厚い本だが、中身もすごい。ビルマ人だけではなく、カレンやチン、カチン、シャンなどミャンマー連邦を構成している諸民族の歴史や文化などの記述にも同等のスペースを割いているのが画期的だ。考えてみればミャンマーはビルマ人だけの国ではないのだから当然といえば当然だが、なかなかできるものではない。このような視点から本気で「ミャンマー概説」を作った編者や執筆者に脱帽。章によっては儀礼や占い、文字などにやたらと詳しすぎるところもあるが、好きな人には良いかもしれない。地図や写真もいい。ミャンマーは、いやアジアは、広い。まだまだ知らないことが多いと実感させられる。(ミャンマー好き男)