翻訳専門誌に掲載された文章をまとめた一冊です。前半ではミステリ翻訳を目指す人たちに業界の概要を紹介し、後半ではアメリカのミステリ小説を実際に俎上にのせて翻訳術を指南する構成になっています。
著者はミステリ小説を中心に翻訳を続けてきた人物。刊行当時(2002年)11年ほどのキャリアがあり、翻訳者養成学校での講師も務めていました。
著者が繰り返し述べるのは、「自分の好きに訳せばよい」ということ。「これは逆にいうと、自分の好きな訳文、あるいは自分の好きな文章がないと、(翻訳は)できないということです」(106頁)
「翻訳はサーヴィス業です。人を愉しませる仕事です。そういう仕事の優劣を決める要因のひとつに、人を愉しませることをその人自身が愉しめるかどうか、ということがあるように思います」(117頁)
他の翻訳入門書と比べると、翻訳テクニックの実際がそれほど詳しく書かれているわけではなく、その点には多少の不満を感じました。ですが、上述したように、(ミステリ)翻訳の心構えには学ぶべき点があり、なおかつ、ミステリ翻訳という稼業がとても楽しそうでうらやましい仕事に見えてきました。
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ミステリ翻訳入門 アルク翻訳レッスン・シリーズ [出版翻訳] 単行本 – 2002/6/21
語学・翻訳に興味がある人から、翻訳のプロを目指している人、また翻訳者としてのレベルアップをはかる人におすすめの「アルク翻訳レッスン・シリーズ」。シリーズ第2弾は、海外ミステリ小説の翻訳技法がたのしく学べる『ミステリ翻訳入門』をお届けします。
翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法などをおもしろおかしく伝授します。課題はローレンス・ブロックをはじめとする英米の人気作家によるミステリが素材。すべてに実際に出版された訳書からの対訳例と小気味好い解説が盛り込まれています。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる、魅力たっぷりの一冊。
★海外ミステリの謎を解くカギはあなたの翻訳にかかっている!
●数々の新人を世に送り出した著名翻訳家に聞いた
Q1、翻訳家デビューのチャンスを与えたくなる新人とは?
Q2、ぜったいおまえにチャンスなんかやるもんか、と思う新人は?
●文芸書編集者に聞いた
Q3、使ってみたい新人翻訳者とはどんな人?
Q4、絶対に使いたくない新人翻訳者は?
すべての答(ミステリ)は本書を読めばわかります。
翻訳家への道を踏み出す第一歩は千差万別、翻訳家を志望する理由も十人十色。「ミステリ翻訳でもちょっと?」こんな軽い気持ちで翻訳を始めるのもいいかもしれません。さあ、あなたの翻訳体験はここから始まります。
翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法などをおもしろおかしく伝授します。課題はローレンス・ブロックをはじめとする英米の人気作家によるミステリが素材。すべてに実際に出版された訳書からの対訳例と小気味好い解説が盛り込まれています。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる、魅力たっぷりの一冊。
★海外ミステリの謎を解くカギはあなたの翻訳にかかっている!
●数々の新人を世に送り出した著名翻訳家に聞いた
Q1、翻訳家デビューのチャンスを与えたくなる新人とは?
Q2、ぜったいおまえにチャンスなんかやるもんか、と思う新人は?
●文芸書編集者に聞いた
Q3、使ってみたい新人翻訳者とはどんな人?
Q4、絶対に使いたくない新人翻訳者は?
すべての答(ミステリ)は本書を読めばわかります。
翻訳家への道を踏み出す第一歩は千差万別、翻訳家を志望する理由も十人十色。「ミステリ翻訳でもちょっと?」こんな軽い気持ちで翻訳を始めるのもいいかもしれません。さあ、あなたの翻訳体験はここから始まります。
- 本の長さ187ページ
- 言語日本語
- 出版社アルク
- 発売日2002/6/21
- ISBN-10475740610X
- ISBN-13978-4757406100
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商品の説明
著者からのコメント
著者 田口俊樹
翻訳を始めて25年になりますが、その間、一度も飽きたことがありません。でも、これは私だけのことではなく、私のまわりの同業者もみな同じことを言います。
ということは、たまたま飽きっぽくない人ばかりが集まったのか、それとも翻訳そのものにそれほど人を飽きさせないものがあるのか、あるいはその両方、ということになりますが、私は飽きっぽさにかけては、自慢じゃないが人後に落ちない。ということは、やっぱり翻訳にそれだけ魅力があるということになるんじゃないでしょうか。
そういう翻訳の魅力を少しでも伝えたくて書いたのが本書です。それから、これはちょっと口はばったいけれど、翻訳の指南書というとどうしても、翻訳かくあるべし、という論調のものが多い中、翻訳は自由だ! ということも言いたくて書きました。
本書を読んで、翻訳に対する興味を深める読者がひとりでも多くいたら、著者としてそれにまさる喜びはありません。
翻訳を始めて25年になりますが、その間、一度も飽きたことがありません。でも、これは私だけのことではなく、私のまわりの同業者もみな同じことを言います。
ということは、たまたま飽きっぽくない人ばかりが集まったのか、それとも翻訳そのものにそれほど人を飽きさせないものがあるのか、あるいはその両方、ということになりますが、私は飽きっぽさにかけては、自慢じゃないが人後に落ちない。ということは、やっぱり翻訳にそれだけ魅力があるということになるんじゃないでしょうか。
そういう翻訳の魅力を少しでも伝えたくて書いたのが本書です。それから、これはちょっと口はばったいけれど、翻訳の指南書というとどうしても、翻訳かくあるべし、という論調のものが多い中、翻訳は自由だ! ということも言いたくて書きました。
本書を読んで、翻訳に対する興味を深める読者がひとりでも多くいたら、著者としてそれにまさる喜びはありません。
出版社からのコメント
アルク「翻訳レッスン・シリーズ」編集担当者
本書では、田口俊樹氏の翻訳書を読んだことがある人なら心底から、また訳書を読んだことがない人でも、この翻訳家の翻訳がなぜこれほど巧くて読みやすいのか、またどうすればこう巧くなれるのか、ということがわかります。翻訳というと、なんだかこむずかしものという印象をお持ちかもしれませんが、翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法をおもしろおかしく伝授しています。翻訳講義はローレンス・ブロックをはじめとする英米人気作家のミステリを題材に、実際の訳書からの対訳例と小気味好い解説を盛り込みました。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる魅力たっぷりの1冊です。語学・翻訳に興味がある人から、翻訳のプロを目指している人、また翻訳者としてのレベルアップをはかりたい人におすすめの「アルク翻訳レッスン・シリーズ」第2巻!
本書では、田口俊樹氏の翻訳書を読んだことがある人なら心底から、また訳書を読んだことがない人でも、この翻訳家の翻訳がなぜこれほど巧くて読みやすいのか、またどうすればこう巧くなれるのか、ということがわかります。翻訳というと、なんだかこむずかしものという印象をお持ちかもしれませんが、翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法をおもしろおかしく伝授しています。翻訳講義はローレンス・ブロックをはじめとする英米人気作家のミステリを題材に、実際の訳書からの対訳例と小気味好い解説を盛り込みました。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる魅力たっぷりの1冊です。語学・翻訳に興味がある人から、翻訳のプロを目指している人、また翻訳者としてのレベルアップをはかりたい人におすすめの「アルク翻訳レッスン・シリーズ」第2巻!
内容(「BOOK」データベースより)
本書は翻訳学習のスタート地点にいる人のために、実践的な翻訳の技法を紹介するものである。Introductionでは、出版翻訳に対する心がまえを中心として、出版翻訳、特にミステリ翻訳の概要、特徴、必要なツール、プロとして仕事をするうえでの心がまえを述べ、さらに翻訳者の実際を垣間見ることのできる「訳者あとがき」について紹介。第1章では、既刊の著名な作品を題材にした演習を行う。第2章は、長篇作品を課題に、ストーリーをさらに読み込みながらの翻訳レッスン、第3章では、新作の短篇を全篇翻訳することに挑戦する。
内容(「MARC」データベースより)
翻訳学習のスタート地点にいる人のために、実践的な翻訳の技法を紹介。ミステリ翻訳の概要、必要なツール、プロとして必要な心がまえを述べた上で、既刊の作品を題材に実践的な翻訳レッスンを行う。
レビュー
アルク「翻訳レッスン・シリーズ」編集担当者
本書では、田口俊樹氏の翻訳書を読んだことがある人なら心底から、また訳書を読んだことがない人でも、この翻訳家の翻訳がなぜこれほど巧くて読みやすいのか、またどうすればこう巧くなれるのか、ということがわかります。翻訳というと、なんだかこむずかしものという印象をお持ちかもしれませんが、翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法をおもしろおかしく伝授しています。翻訳講義はローレンス・ブロックをはじめとする英米人気作家のミステリを題材に、実際の訳書からの対訳例と小気味好い解説を盛り込みました。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる魅力たっぷりの1冊です。語学・翻訳に興味がある人から、翻訳のプロを目指している人、また翻訳者としてのレベルアップをはかりたい人におすすめの「アルク翻訳レッスン・シリーズ」第2巻!
--出版社からのコメント
本書では、田口俊樹氏の翻訳書を読んだことがある人なら心底から、また訳書を読んだことがない人でも、この翻訳家の翻訳がなぜこれほど巧くて読みやすいのか、またどうすればこう巧くなれるのか、ということがわかります。翻訳というと、なんだかこむずかしものという印象をお持ちかもしれませんが、翻訳ミステリでは当代切っての人気翻訳家が、翻訳に対する心がまえや翻訳に必要なツール、文芸翻訳の技法をおもしろおかしく伝授しています。翻訳講義はローレンス・ブロックをはじめとする英米人気作家のミステリを題材に、実際の訳書からの対訳例と小気味好い解説を盛り込みました。翻訳の真のたのしさとむずかしさをじかに味わうことができる魅力たっぷりの1冊です。語学・翻訳に興味がある人から、翻訳のプロを目指している人、また翻訳者としてのレベルアップをはかりたい人におすすめの「アルク翻訳レッスン・シリーズ」第2巻!
--出版社からのコメント
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田口/俊樹
1950年、奈良市生まれ。早稲田大学第一文学部英文科卒業。英米文学翻訳家。大学卒業後は都内の中堅出版社に就職。書籍編集や系列の児童劇団でシナリオ執筆といった諸々の仕事を経験するが将来を案じ、都立高校の英語教師となる。その頃、英語力を磨くためなどの理由から翻訳を始め、以後兼業すること11年。訳書が20冊を超えた37歳の時、高校教師を辞め、翻訳家業一筋に。ローレンス・ブロック作の「アル中探偵マット・スカダー」、NYの「泥棒バーニイ・ローデンバー」両シリーズ、ル・カレ『パナマの仕立て屋』など、現在までに手がけた訳書は約150点。海外作家の原文の旨みを平明な日本語で写し出す軽妙な翻訳が持ち味。贅肉がそぎ落とされ熟練の域に達した翻訳は、最近の話題カルトミステリ、ボストン・テラン作『神は銃弾』でも実証されている。ミステリからノンフィクションまで幅広いジャンルの文芸翻訳を手がける傍ら、早稲田大学、フェロー・アカデミーの講師を務め、その穏和な人柄と肩の張らない身のこなしで生徒からの人望も厚い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1950年、奈良市生まれ。早稲田大学第一文学部英文科卒業。英米文学翻訳家。大学卒業後は都内の中堅出版社に就職。書籍編集や系列の児童劇団でシナリオ執筆といった諸々の仕事を経験するが将来を案じ、都立高校の英語教師となる。その頃、英語力を磨くためなどの理由から翻訳を始め、以後兼業すること11年。訳書が20冊を超えた37歳の時、高校教師を辞め、翻訳家業一筋に。ローレンス・ブロック作の「アル中探偵マット・スカダー」、NYの「泥棒バーニイ・ローデンバー」両シリーズ、ル・カレ『パナマの仕立て屋』など、現在までに手がけた訳書は約150点。海外作家の原文の旨みを平明な日本語で写し出す軽妙な翻訳が持ち味。贅肉がそぎ落とされ熟練の域に達した翻訳は、最近の話題カルトミステリ、ボストン・テラン作『神は銃弾』でも実証されている。ミステリからノンフィクションまで幅広いジャンルの文芸翻訳を手がける傍ら、早稲田大学、フェロー・アカデミーの講師を務め、その穏和な人柄と肩の張らない身のこなしで生徒からの人望も厚い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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殿堂入りNo1レビュアーベスト500レビュアーVINEメンバー
役に立った
2002年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『ミステリ翻訳入門』を読んで
読み終えて、近ごろ面白い本を読んだという印象をもった。正直に言うと、入門書としてはいささか歯ごたえがありすぎて、うまく消化できそうもないところもあったけれど、ミステリに限らず、多少とも翻訳に興味をもっている人間にとって、本書は必読の一書と言っても過言ではない。
構成にも工夫がこらされている。著者が最初に述べているアドヴァイスにしたがって、まがりなりにも試訳をしながら読みすすめ、その後のコメントを読むと、随所に目からウロコが落ちるような指摘がある。ふと気がつけば机のまわりはウロコだらけ---と言うのはちと大げさすぎるにしても。
それぞれの章の合間に配された「ほんやく万感」が、これまた読んで楽しい小エッセイになっていて、いろいろと参考にもなる。
ともあれ、当分の間は本書を座右に置き、参考書よろしく読み返しながら、勉強を続けたいと思った。
(翻訳歴二年 S・H)
読み終えて、近ごろ面白い本を読んだという印象をもった。正直に言うと、入門書としてはいささか歯ごたえがありすぎて、うまく消化できそうもないところもあったけれど、ミステリに限らず、多少とも翻訳に興味をもっている人間にとって、本書は必読の一書と言っても過言ではない。
構成にも工夫がこらされている。著者が最初に述べているアドヴァイスにしたがって、まがりなりにも試訳をしながら読みすすめ、その後のコメントを読むと、随所に目からウロコが落ちるような指摘がある。ふと気がつけば机のまわりはウロコだらけ---と言うのはちと大げさすぎるにしても。
それぞれの章の合間に配された「ほんやく万感」が、これまた読んで楽しい小エッセイになっていて、いろいろと参考にもなる。
ともあれ、当分の間は本書を座右に置き、参考書よろしく読み返しながら、勉強を続けたいと思った。
(翻訳歴二年 S・H)
2002年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は,売れっ子翻訳家の田口俊樹氏。殺し屋ケラー・シリーズに代表されるハードボイルド・ミステリー作家ローレンス・ブロックなどの名訳で知られる。主として,気の利いた例文を元に,翻訳のポイントを解説するという参考書形式になっている。それに加え,翻訳のプロとしての氏の日常を垣間見ることのできる,軽妙なエッセイの数々も掲載されていて,読み物としても楽しめる。ミステリに焦点がしぼられているが,翻訳全般に興味のある全ての人にお勧め。
2002年7月16日に日本でレビュー済み
現役翻訳家の手になる翻訳指南書だが、花も実もある充実した著作である。従来の教科書的翻訳演習に終始した単なるノウハウ書ではない。著者の翻訳に対する信念や実作業上でのエピソードを織り交ぜつつ、本人の訳書から実例を引いて解説をしている。筆者の翻訳に取り組む姿勢は、真摯でありながら柔軟で、訳出の実例解説は無論見事な出来だが、その実践者としての翻訳論を読むだけでも、非常に興味深く、楽しめる内容と価値を備えている。また、翻訳小説と言えば、一般には「生硬な日本語のぎこちない小説」というイメージが強いが、筆者の訳出例に当たると、それは単なる偏見であるのが実感せられ、また、そうした既製観念を打破する訳書を次々と世に送り出している著者の揺るぎ無い実力、言葉の力を見せつけられる。特筆すべきは、「外国語の小説を日本語に翻訳するなら、その翻訳もまた、立派な日本語の小説の体を成していなければならない」という著者の確固たる信念である。最近の訳出作品で言えば、厳密に選り抜かれ研ぎ澄まされた日本語と、徹底的に感傷を排した緻密で硬質な文章が、訳文の日本語世界を文学の域まで昇華せしめている、「パナマの仕立屋」(ジョン・ル・カレ/講談社)。 悪夢の連鎖のようなイメージの輻湊する、毒気と悪罵に満ちた暴力小説を、実はその底部に流れる救済への祈りと叙情までを巧みにに訳文に掬い取り、型破りの荒々しい日本語で訳し切った、「神は銃弾」(ボストン・テラン/文春文庫)、など著者の精神を実践した訳書を見るに付け、その主張には深く首肯させられる。やはり、優秀な現役翻訳者ならではの、他に類を見ない見事な翻訳指南書である。ただ、出来れば巻末に著者が翻訳した代表的な作品だけでもよいから、読者へのレファランスとして、ご本人の手になる訳書の作品リストを入れて貰えていたなら、もう外に言う事がない。

