とりあえず上巻だけ読んだけど、連作形式で上巻で中編二つある。
で、これは面白い、人型警備ユニットが主人公で終始ユニット視点で話が進むけど、これの描写が秀逸。
警備会社に所属する警備ユニットは自分のことを弊機と呼ぶが、この呼称その他から醸し出される作品の雰囲気とそれをうまく伝える翻訳は素晴らしい。
AIが主人公のヒューゴー賞、ネビュラ賞作品だと、叛逆航路があったが、あの作品のような銀河を股にかけるスケールタイプではなくもっとリアルよりかな。
警備ユニットの心の動きも?それだけに理解しやすく感情移入もしやすい。
頑張れ警備ユニット、頑張って殺人ボットの汚名を返上するのだ!!
ドラマなどの娯楽メディアに逃避するのはほどほどにな。
マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫) (日本語) 文庫 – 2019/12/11
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本の長さ303ページ
-
言語日本語
-
出版社東京創元社
-
発売日2019/12/11
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ISBN-104488780016
-
ISBN-13978-4488780012
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
かつて重大事件を起こし、その記憶を消されている人型警備ユニットの“弊機”は、ひそかに自らをハックして自由になったが、連続ドラマの視聴を趣味としつつ、保険会社の所有物として業務を続けている。ある惑星資源調査隊の警備を任された弊機は、さまざまな危険から顧客を守ろうとするが。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞3冠&2年連続ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ウェルズ,マーサ
1964年テキサス州フォートワース生まれ。テキサスA&M大学で人類学の学位を取得。1993年に長編The Element of Fireで単行本デビュー。三作目の長編The Death of the Necromancer(1998)ではネビュラ賞の候補となる。“マーダーボット・ダイアリー”シリーズ第一話「システムの危殆」(2017)でヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の各ノヴェラ部門を受賞、第二話「人工的なあり方」(2018)でヒューゴー賞・ローカス賞の各ノヴェラ部門をふたたび受賞
中原/尚哉
1964年に生まれる。1987年、東京都立大学人文学部英米文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1964年テキサス州フォートワース生まれ。テキサスA&M大学で人類学の学位を取得。1993年に長編The Element of Fireで単行本デビュー。三作目の長編The Death of the Necromancer(1998)ではネビュラ賞の候補となる。“マーダーボット・ダイアリー”シリーズ第一話「システムの危殆」(2017)でヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞の各ノヴェラ部門を受賞、第二話「人工的なあり方」(2018)でヒューゴー賞・ローカス賞の各ノヴェラ部門をふたたび受賞
中原/尚哉
1964年に生まれる。1987年、東京都立大学人文学部英米文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2019/12/11)
- 発売日 : 2019/12/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 303ページ
- ISBN-10 : 4488780016
- ISBN-13 : 978-4488780012
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 20,235位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 6位創元SF文庫
- - 162位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 208位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2019年12月15日に日本でレビュー済み
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26人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年2月2日に日本でレビュー済み
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最初の内こそ、この一人称を「弊機」と表現する主人公の独白で進行する形式にとまどった
けれど、テンポよく進む展開にどんどん引き込まれて行きます。
あと、言葉遣いこそ淡々とはしてますが、人工知能ものに付きものの感情の取り扱い的には
この主人公にはバリバリ感情があります。表面的には感情なんてないただのロボットです
的な風を装っては居ますが。その感情の在り方は、ロボット的と言うよりは誤解を恐れず
に言うとサヴァン症候群やある種の精神疾患を抱えた普通の人間に近いような感じを受けました。
通常の人間を超えた能力を一方で持ちながら、表情を読まれるのを極度に恐れたり、人間関係
の構築に興味が無く趣味の連続ドラマに何時間でも耽溺するなど。
実際、このロボットには生体部分もあり、脳に相当する部分にも生体部分があるようなので
完全な機械に寄るAIと言う訳では無く、機械と生体に寄って作成された合成生命体と言える
存在のようなので、そういうあり方もある意味当然と言えるかもしれません。
また、この主人公以外に登場する他の人工知能もなかなか良い味を出しています。
一口に人工知能と言ってもその知能レベルにはかなりの差があり、2話目に出て来る宇宙船
の人工知能はかなり高度で、宇宙船のAIでありながら人間っぽさで言えば主人公を超えて
居るかもしれません。そして一時的な旅の道連れだった筈が、主人公が巻き込まれる事件
に対して停泊中の宇宙船のAIと言う身でありながら実に良いコンビとなって主人公を
サポートしてくれます。時に監視カメラのハッキングを担当し、時にワームに操船AI
を破壊された小型艇の操縦を肩代わりし、時にショックを受けた主人公に主人公の好きな
ドラマのサントラをさりげなく流して慰めたりと。
まあ主人公はおせっかいで煩いとか言ってますがw
船のAIだからか、口調が女性のもので、過度に人間的では無く子供と言うほど無邪気では
無いが大人の女性と言うほど老成してもいない、20台くらいの女性のイメージ。
あまりに有能でコンビもしっくりしているので、これはこのままコンビ続行かと思いきや
目的地に付けばあっさりと(でも別れの際には思わず感情的で愚かな事をいってしまいそうに
なりそうなので務めてあっさりと)別れるのがなんかもったいない気さえしました。
あと小道具と言うか全面に渡って効いているのが「フィード」という概念。いわゆるネット
空間なんだけど、最小単位で言えば個人レベルの情報空間で、概念的には単なる情報
ラインと言うより空間的な広がりを持つイメージ。そこでは情報だけでなく音声や映像
も視聴出来たり、概念図を複数の人間と共有する事に寄って会議のような事も出来る。
(主人公はいつもそこで趣味の連続ドラマを視聴している。
新しい場所に行けばそこで新しい連続ドラマを違法ダウンロードしてはストレージに溜め込んで
暇があればそれを見て過ごす。)
これは主人公のようなロボットやAIは元より、機械的な補助を受けた人間も利用しており、
通信機能もその「フィード」に乗っかった形で行われて居るので、この世界での基本的
なインフラになっています。そしてこの「フィード」は人間たちがその一部機能しか使えて
いないのに対してAIやロボット達は人間たちのあずかり知らないところで秘密の世界
を築いているような描写になっているのです。つまりはAI達は表面の人間たちと付き合う
現実世界と同時にフィードという電子世界でも同時に生きているかのような状況
と言えるでしょう。
そこでは人間たちが思いもしない活発な交流がかなり勝手に行われているという世界観が独特で面白い点です。
あと、このマーダーボットの容姿については基本的に男性型か女性型かの描写すら無いのですが、
ただ一点だけ女性型では無いかと思わせる描写があります。それは人間社会に人間のふりを
して溶け込む為に自動販売マーケットで衣服を買う際、販売機から提示された衣服候補
の中に「ロングスカート」があったのです。まあジェンダーフリーが進んだ社会なので
確実とも言えませんが…それまで男の子仕様だとばかり思っていたので軽い驚きでした。
けれど、テンポよく進む展開にどんどん引き込まれて行きます。
あと、言葉遣いこそ淡々とはしてますが、人工知能ものに付きものの感情の取り扱い的には
この主人公にはバリバリ感情があります。表面的には感情なんてないただのロボットです
的な風を装っては居ますが。その感情の在り方は、ロボット的と言うよりは誤解を恐れず
に言うとサヴァン症候群やある種の精神疾患を抱えた普通の人間に近いような感じを受けました。
通常の人間を超えた能力を一方で持ちながら、表情を読まれるのを極度に恐れたり、人間関係
の構築に興味が無く趣味の連続ドラマに何時間でも耽溺するなど。
実際、このロボットには生体部分もあり、脳に相当する部分にも生体部分があるようなので
完全な機械に寄るAIと言う訳では無く、機械と生体に寄って作成された合成生命体と言える
存在のようなので、そういうあり方もある意味当然と言えるかもしれません。
また、この主人公以外に登場する他の人工知能もなかなか良い味を出しています。
一口に人工知能と言ってもその知能レベルにはかなりの差があり、2話目に出て来る宇宙船
の人工知能はかなり高度で、宇宙船のAIでありながら人間っぽさで言えば主人公を超えて
居るかもしれません。そして一時的な旅の道連れだった筈が、主人公が巻き込まれる事件
に対して停泊中の宇宙船のAIと言う身でありながら実に良いコンビとなって主人公を
サポートしてくれます。時に監視カメラのハッキングを担当し、時にワームに操船AI
を破壊された小型艇の操縦を肩代わりし、時にショックを受けた主人公に主人公の好きな
ドラマのサントラをさりげなく流して慰めたりと。
まあ主人公はおせっかいで煩いとか言ってますがw
船のAIだからか、口調が女性のもので、過度に人間的では無く子供と言うほど無邪気では
無いが大人の女性と言うほど老成してもいない、20台くらいの女性のイメージ。
あまりに有能でコンビもしっくりしているので、これはこのままコンビ続行かと思いきや
目的地に付けばあっさりと(でも別れの際には思わず感情的で愚かな事をいってしまいそうに
なりそうなので務めてあっさりと)別れるのがなんかもったいない気さえしました。
あと小道具と言うか全面に渡って効いているのが「フィード」という概念。いわゆるネット
空間なんだけど、最小単位で言えば個人レベルの情報空間で、概念的には単なる情報
ラインと言うより空間的な広がりを持つイメージ。そこでは情報だけでなく音声や映像
も視聴出来たり、概念図を複数の人間と共有する事に寄って会議のような事も出来る。
(主人公はいつもそこで趣味の連続ドラマを視聴している。
新しい場所に行けばそこで新しい連続ドラマを違法ダウンロードしてはストレージに溜め込んで
暇があればそれを見て過ごす。)
これは主人公のようなロボットやAIは元より、機械的な補助を受けた人間も利用しており、
通信機能もその「フィード」に乗っかった形で行われて居るので、この世界での基本的
なインフラになっています。そしてこの「フィード」は人間たちがその一部機能しか使えて
いないのに対してAIやロボット達は人間たちのあずかり知らないところで秘密の世界
を築いているような描写になっているのです。つまりはAI達は表面の人間たちと付き合う
現実世界と同時にフィードという電子世界でも同時に生きているかのような状況
と言えるでしょう。
そこでは人間たちが思いもしない活発な交流がかなり勝手に行われているという世界観が独特で面白い点です。
あと、このマーダーボットの容姿については基本的に男性型か女性型かの描写すら無いのですが、
ただ一点だけ女性型では無いかと思わせる描写があります。それは人間社会に人間のふりを
して溶け込む為に自動販売マーケットで衣服を買う際、販売機から提示された衣服候補
の中に「ロングスカート」があったのです。まあジェンダーフリーが進んだ社会なので
確実とも言えませんが…それまで男の子仕様だとばかり思っていたので軽い驚きでした。
2020年1月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
対人恐怖症でプチ引きこもり。有機・無機部品ハイブリッド機体の警備ユニット"弊機"が主人公のハードボイルドSF、中編4編(上下巻)。
"統制モジュール"をハックすることで「自由」になっているが、他にやることも無く"弊社"の命ずるままに人を守る警備任務を続けている。楽しみは、連続ドラマの鑑賞。そんな中、あるミッションでトラブルに巻き込まれ『システムの危殆』、自分探しの旅に出て『人工的なあり方』、過去と出会い『暴走プロトコル』、友人達を見つける『出口戦略の無謀』。
風変わりで、でも魅力的な主人公で読ませます。
"統制モジュール"をハックすることで「自由」になっているが、他にやることも無く"弊社"の命ずるままに人を守る警備任務を続けている。楽しみは、連続ドラマの鑑賞。そんな中、あるミッションでトラブルに巻き込まれ『システムの危殆』、自分探しの旅に出て『人工的なあり方』、過去と出会い『暴走プロトコル』、友人達を見つける『出口戦略の無謀』。
風変わりで、でも魅力的な主人公で読ませます。
2020年6月22日に日本でレビュー済み
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おそらくこの苦情は読者の九割には関係ないものであるし、著者よりも(日本の)出版社へ言うべきだろう。
それを承知の上で、ひとつネタばらしをさせていただく。
セルフハッキングしたロボットといえば、意識の発生機序、存在意義、さらには「人間から自分をどう買い戻すか」などといったおなじみの命題が浮かんでくるものである。
しかし、このロボットは、いわゆるAI、人工知性ではない。
「弊機」を含むボットは、大部分がクローン由来の生体部品で構成されており、登場人物のひとりもはっきりと「クローンだから感情があるんだ」ということを言っている。
つまり、その意識は、人間と同じ由来を持つ。
さらには、セルフハッキングしていない他のボットも、何やら普通に「人間を皆殺しにしよう」などと言いだす程度には自由な発想を持ち合わせている。
ボットを制御する「統制モジュール」が、行動抑制装置以外の意味を持たないのである。
なんだそれは。
普通に、人権の無い改造人間って言われれば、べつにそっち方向の期待はしなかったのに。
その点を除けば、SFとしてはそれなりに読める本なのでは、と思う。
良識が擦り切れた宇宙時代、貧乏くさいトラブル、フィードというSNS的なギミック。主人公は人間に対する優越意識を当然のものとしながらも、やるせない資本主義社会の隙間を縫うように生きていくのだが、そこには異世界転生ものに通じる軽いノリがある。
しかし、私は序盤でつまづき、感情移入に失敗した。
この失敗を他の誰かが繰り返さないよう祈っている。
それを承知の上で、ひとつネタばらしをさせていただく。
セルフハッキングしたロボットといえば、意識の発生機序、存在意義、さらには「人間から自分をどう買い戻すか」などといったおなじみの命題が浮かんでくるものである。
しかし、このロボットは、いわゆるAI、人工知性ではない。
「弊機」を含むボットは、大部分がクローン由来の生体部品で構成されており、登場人物のひとりもはっきりと「クローンだから感情があるんだ」ということを言っている。
つまり、その意識は、人間と同じ由来を持つ。
さらには、セルフハッキングしていない他のボットも、何やら普通に「人間を皆殺しにしよう」などと言いだす程度には自由な発想を持ち合わせている。
ボットを制御する「統制モジュール」が、行動抑制装置以外の意味を持たないのである。
なんだそれは。
普通に、人権の無い改造人間って言われれば、べつにそっち方向の期待はしなかったのに。
その点を除けば、SFとしてはそれなりに読める本なのでは、と思う。
良識が擦り切れた宇宙時代、貧乏くさいトラブル、フィードというSNS的なギミック。主人公は人間に対する優越意識を当然のものとしながらも、やるせない資本主義社会の隙間を縫うように生きていくのだが、そこには異世界転生ものに通じる軽いノリがある。
しかし、私は序盤でつまづき、感情移入に失敗した。
この失敗を他の誰かが繰り返さないよう祈っている。
ベスト1000レビュアー
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非常にユニークな作品。何がというと、先ず自分のことを「弊機」と謙遜していることや、やたら人間と
の接触特に会話を嫌い、そのくせ人間の性格や交友関係、会話などを子細に観察。気にしている。
次に物語は弊機の一人称形式で進行する。丁寧語を用いたいわゆる敬体文で語りかけているが、一体誰を
相手にしているのだろう?いや、対人恐怖症警備ユニットの人間性の現われなのかもしれない。それに一人
称形式の特徴である客観的事象の描写が不能な分、ITシステムを網羅してカバーしているし、自分に降りか
かる恐怖などについてはクールな目線で描いていて、ホラー映画を観ているよう。
謎の調査隊の正体や彼らの意図するものを追求したり、通信システムを駆使した駆け引きや、コンマゼロ
秒内の戦闘シーンはゾクゾクする緊迫感と迫力がある。しかも息つく暇もないノンストップ。何せ語り手の
弊機は眠る必要がありません。すごい作品が登場したものです。
(蛇足)
「フィード」や「ボット」、「ホッパー」、「アーマー」、「キュービクル」などなんの説明もルビもない
ので、インターネットでチェックしながら読書再開。なるほど一つ一つの解説は難しいものなんだと納得し
ました。
の接触特に会話を嫌い、そのくせ人間の性格や交友関係、会話などを子細に観察。気にしている。
次に物語は弊機の一人称形式で進行する。丁寧語を用いたいわゆる敬体文で語りかけているが、一体誰を
相手にしているのだろう?いや、対人恐怖症警備ユニットの人間性の現われなのかもしれない。それに一人
称形式の特徴である客観的事象の描写が不能な分、ITシステムを網羅してカバーしているし、自分に降りか
かる恐怖などについてはクールな目線で描いていて、ホラー映画を観ているよう。
謎の調査隊の正体や彼らの意図するものを追求したり、通信システムを駆使した駆け引きや、コンマゼロ
秒内の戦闘シーンはゾクゾクする緊迫感と迫力がある。しかも息つく暇もないノンストップ。何せ語り手の
弊機は眠る必要がありません。すごい作品が登場したものです。
(蛇足)
「フィード」や「ボット」、「ホッパー」、「アーマー」、「キュービクル」などなんの説明もルビもない
ので、インターネットでチェックしながら読書再開。なるほど一つ一つの解説は難しいものなんだと納得し
ました。
2020年4月5日に日本でレビュー済み
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あら、上巻は2編だ。
最初から自立稼働で自己判断で稼働していることの優位が描かれて面白い。
買い取られて警備任務に就けないことが分かると放浪の旅に出るほど自立している。
2編目で先生となるAIに遭遇して姿の変更と強化人間への偽装を教わって旅を続ける。
基本が警備ボットなので人を助けることが行動原理なのかな。
なんだか椿三十郎とか桑畑三十郎的警備ボットだな。
最初から自立稼働で自己判断で稼働していることの優位が描かれて面白い。
買い取られて警備任務に就けないことが分かると放浪の旅に出るほど自立している。
2編目で先生となるAIに遭遇して姿の変更と強化人間への偽装を教わって旅を続ける。
基本が警備ボットなので人を助けることが行動原理なのかな。
なんだか椿三十郎とか桑畑三十郎的警備ボットだな。
2021年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
セキュリティに対する弊機のハッキング能力が高過ぎるとか、そもそもAIが自我を持つことは無いといったツッコミどころはあるものの、とにかくいい!
一番の魅力は主人公の弊機ことマーダーボットのキャラクター。対戦闘警備ユニット以外はほぼ無敵という強さと、愚かだと馬鹿にする人間を自らの命を賭してまで守ろうとする優しさを併せ持つ。
それだけならSF小説の主人公によくいそうだが、この弊機、実はコミュ障でストレスを感じるとすぐに大好きな連続ドラマ鑑賞に逃避するという軟弱な一面もあり、それがコミカルさを加えこの小説を唯一無二の存在にしている。
もう一ついいのは、あえてそうしているのだと思うが弊機には性別が無い。なので読者は自由に空想を膨らませ感情移入できる。『叛逆航路』のように性の描き方で奇をてらい失敗する作品もある中、本作は見事に成功している。
ストーリーに特筆する点は無いものの、どれもマーダーボットが言うところのいいストーリーで読後感がいい。これほど次作が楽しみなSFシリーズは久しぶり。
一番の魅力は主人公の弊機ことマーダーボットのキャラクター。対戦闘警備ユニット以外はほぼ無敵という強さと、愚かだと馬鹿にする人間を自らの命を賭してまで守ろうとする優しさを併せ持つ。
それだけならSF小説の主人公によくいそうだが、この弊機、実はコミュ障でストレスを感じるとすぐに大好きな連続ドラマ鑑賞に逃避するという軟弱な一面もあり、それがコミカルさを加えこの小説を唯一無二の存在にしている。
もう一ついいのは、あえてそうしているのだと思うが弊機には性別が無い。なので読者は自由に空想を膨らませ感情移入できる。『叛逆航路』のように性の描き方で奇をてらい失敗する作品もある中、本作は見事に成功している。
ストーリーに特筆する点は無いものの、どれもマーダーボットが言うところのいいストーリーで読後感がいい。これほど次作が楽しみなSFシリーズは久しぶり。