購入オプション
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」―(新潮選書) Kindle版
英国初の女性首相サッチャーの功績は、経済再生と冷戦勝利だけではない。その真価は、国家と個人の関係を根本的に組み替えたことにある。彼女はなぜ閉塞感に包まれていた社会の変革に成功したのか。対メディア戦略・大統領型政治・選挙戦術……良くも悪くも二十一世紀の政治指導者の原型を創り出したリーダーシップに迫る。
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2018/9/27
- ファイルサイズ5934 KB
商品の説明
著者について
1957年、兵庫県生まれ。東京大学法学部卒。1981年に外務省に入省し、総合外交政策局総務課長、在英国日本大使館公使、在米国日本大使館次席公使、北米局長、在イスラエル日本大使を経て、2018年8月からG20サミット担当大使。英国には、研修留学(オックスフォード大学)と2回の大使館勤務で、計7年間滞在。著書に『危機の指導者 チャーチル』(新潮選書)。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。
内容(「BOOK」データベースより)
英国初の女性首相サッチャーの功績は、経済再生と冷戦勝利だけではない。その真価は、ケインズ主義的なコンセンサスを破壊し、国家と個人の関係を組み替えたことにある。なぜ彼女は閉塞感に包まれていた社会を変革できたのか。対メディア戦略・大統領型政治・選挙戦術…良くも悪くも21世紀の政治指導者の「原型」を創り出したリーダーシップに迫る。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
冨田/浩司
1957年、兵庫県生まれ。東京大学法学部卒。1981年に外務省に入省し、総合外交政策局総務課長、在英国日本大使館公使、在米国日本大使館次席公使、北米局長、在イスラエル日本大使を経て、2018年8月からG20サミット担当大使(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。
1957年、兵庫県生まれ。東京大学法学部卒。1981年に外務省に入省し、総合外交政策局総務課長、在英国日本大使館公使、在米国日本大使館次席公使、北米局長、在イスラエル日本大使を経て、2018年8月からG20サミット担当大使(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。
出版社より
|
|
|
|---|---|---|
| 危機の指導者 チャーチル | マーガレット・サッチャー―政治を変えた「鉄の女」― | |
| 【新潮選書】冨田浩司 作品 | ヒットラーの攻勢の前に、絶体絶命の危機に陥った斜陽の老大国イギリス。その時、彼らが指導者に選んだのは、孤高の老政治家チャーチルだった。なぜ国民はチャーチルを支持したのか。なぜチャーチルは危機に打ち克つことができたのか。波乱万丈の生涯を鮮やかな筆致で追いながら、リーダーシップの本質に迫る力作評伝。 | 英国初の女性首相サッチャーの功績は、経済再生と冷戦勝利だけではない。その真価は、国家と個人の関係を根本的に組み替えたことにある。彼女はなぜ閉塞感に包まれていた社会の変革に成功したのか。対メディア戦略・大統領型政治・選挙戦術……良くも悪くも二十一世紀の政治指導者の原型を創り出したリーダーシップに迫る。 |
登録情報
- ASIN : B07NVB85GR
- 出版社 : 新潮社 (2018/9/27)
- 発売日 : 2018/9/27
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 5934 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 327ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 87,607位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 705位政治 (Kindleストア)
- - 1,604位政治入門
- カスタマーレビュー:
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.2
星5つ中の4.2
21 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年10月8日に日本でレビュー済み
違反を報告する
Amazonで購入
マーガレット・サッチャーの二面性、つまり、「強い意志を持って国のために真摯に改革に取り組む姿」と「妥協しない偏狭さ」が生んだその政治の光と陰を見事に描いている。一人のリーダーが持つ個性が国内政治、外交にこれだけ大きな影響を与えたことは驚きでもある。筆者である冨田氏はサッチャーのその強烈な個性にスポットを当てており、生まれ育った地域の宗教観とも結びつけている。今求められるリーダーを考える上でサッチャーはまず研究されるべき一人であり、冨田氏のこの本が貴重な考察を提供してくれる。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
彼女への批判は多々あるが登場する以前の英国の苦境を忘れた批判が多いことを浮き彫りにしてくれた。
ベスト1000レビュアーVINEメンバー
Amazonで購入
著者自身がサッチャーにあまり好意的でないためか、ともすれば伝記であるにもかかわらず否定的とも受け取れる所もありましたが、それでも世間一般で知られる華やかさとは別に、忍耐強い我慢強いサッチャーの一面を知る事ができました。
フォークランド紛争の時は、実は軍事の素人で母親としての一面も見せ、国内外全てを敵に回しかねないような状況だったのが意外でした。また政治家としてはどちらかと言えば不遇な方なのですが、その不遇の中でも忍耐強さ我慢強さを発揮して、わずかな好機をつかみ取る事でその名を上げています。
またサッチャーの一番の功績は、サッチャリズムに代表される政治経済の大改革よりも、保守政治家として欧州各国(あるいはEC)と良好な関係を維持しつつも安易に妥協も迎合もせず、イギリスの主権と国柄を守った事だと思います。後に国民投票でEU離脱と相成りましたが、加盟について特権を取り付ける下地を作ったのは間違いなくサッチャーです。
フォークランド紛争の時は、実は軍事の素人で母親としての一面も見せ、国内外全てを敵に回しかねないような状況だったのが意外でした。また政治家としてはどちらかと言えば不遇な方なのですが、その不遇の中でも忍耐強さ我慢強さを発揮して、わずかな好機をつかみ取る事でその名を上げています。
またサッチャーの一番の功績は、サッチャリズムに代表される政治経済の大改革よりも、保守政治家として欧州各国(あるいはEC)と良好な関係を維持しつつも安易に妥協も迎合もせず、イギリスの主権と国柄を守った事だと思います。後に国民投票でEU離脱と相成りましたが、加盟について特権を取り付ける下地を作ったのは間違いなくサッチャーです。
ベスト50レビュアー
『マーガレット・サッチャー――政治を変えた「鉄の女」』(冨田浩司著、新潮選書)は、力の籠もったマーガレット・サッチャーの評伝であるが、サッチャーに肩入れすることなく、その人物と政治行動の長短を冷静かつ客観的に記述しています。
本書を読んで一番強く感じたことは、人は誰でも、一生の間に何度か訪れるチャンスを生かせるか否かによって、その後の人生が方向づけられてしまうということです。この意味で、まだ一介の平議員に過ぎなかったサッチャーが保守党首選に出馬し、大方の予想を裏切って勝利した時の、サッチャーの勇気ある決断が目を惹きます。
「彼女(サッチャー)が(党首選に出馬の)腹を固めたタイミングがいつであれ、立候補の決断が極めて勇気あるものであったことに異論はあるまい。バックベンチャー(平議員)の間の不満の高まりはあっても、(現党首の)ヒースの党内での力は依然として圧倒的なものと見られていたし、サッチャー自身は、いまだ重要閣僚ポストについたことのない『軽量級』の政治家で、しかも女性である。(夫の)デニスが彼女に『お前はヒースに殺されるぞ』と言ったのは、無理もないことである。(サッチャーの)回想録にもあるとおり、サッチャーの勇気ある決断は党と国家の将来を憂慮する強い思いに基づいたものであったが、あえて想像を逞しくすれば一定の政治的計算が働いていた可能性もある」。
「選挙キャンペーン中はマネタリズムといった複雑な政策論は避け、保守党の伝統的な価値――あるいは彼女が言うところの『中流階級の価値』――への回帰という単純、明快なメッセージを繰り返し発信した。・・・それ自体は特に目新しいものではなかった。しかし、ヒース体制の下で党が方向性を見失ったと感じるバックベンチャーや草の目の支持者にとっては、こうした『当たり前の価値』を取り戻すという彼女のメッセージは強い説得力を持った」。
サッチャーは党首選で勝利したものの、その党内基盤は強固ではありませんでした。「しかし、同時に、この選挙を通じサッチャーは偉大な指導者に成長するために必要ないくつかの資質を示した。一つは、圧倒的に不利な状況の中で立候補を決断した勇気である。そして、もう一つは、バックベンチャーや草の根の党員を含め、党内にどのような風が吹いているか察知し、これを自分への追い風となるよう利用していく政治的勘である。この二つの資質は彼女のその後の政治家人生においても重要な資産として機能していく」。
「フォークランド戦争はサッチャーが政権発足以来直面した最大の試練であり、この戦争に勝利することで長期政権の礎が固まった」。
サッチャリズムとは、何であったのでしょうか。「この問いかけに単純な答えはないが、筆者は、それはイデオロギーでも、政策の体系でもなく、一つの政治的態度であったと考えている。・・・サッチャリズムの下で追求された政策、具体的には財政赤字の削減、減税、国営企業の民営化、規制緩和、公共サービスにおける市場的解決の導入などは、全体として『サプライ・サイド』の経済政策と性格付けることは可能かも知れない。・・・サッチャリズムの成功の背景に彼女の強い政治信念があったことは言うまでもないが、同時に留意すべきは、彼女が本質的には政治的な計算に敏感で、慎重な政治家であったことである」。ともあれ、サッチャーによる改革努力がなければ、イギリス経済が戦後の長期的停滞を克服することは困難だったのです。
「また、国際的に見ても、サッチャーの首相在任当時から民営化や規制緩和を始めとするサッチャリズムの取り組みは国際社会の幅広い関心を集めた」。
著者は、サッチャーという人物をこう結論づけています。「いくつかの資質においてサッチャーは常に一貫し、曖昧さを示すことはなかった。そうした資質とは、政治的確信の深さ、一貫性、職務へのコミットメント、エネルギーなどであり、彼女が変革の指導者として成功した理由はこうした資質に求められる。そして、筆者が結論的に最も強調したいのは、彼女の圧倒的な真摯さである。・・・筆者が何よりも感銘を受けるのは、政治家としての知的真摯さである」。
読み終わって、現在の日本の政治家たちとのあまりの格差に溜め息が漏れてしまいました。
本書を読んで一番強く感じたことは、人は誰でも、一生の間に何度か訪れるチャンスを生かせるか否かによって、その後の人生が方向づけられてしまうということです。この意味で、まだ一介の平議員に過ぎなかったサッチャーが保守党首選に出馬し、大方の予想を裏切って勝利した時の、サッチャーの勇気ある決断が目を惹きます。
「彼女(サッチャー)が(党首選に出馬の)腹を固めたタイミングがいつであれ、立候補の決断が極めて勇気あるものであったことに異論はあるまい。バックベンチャー(平議員)の間の不満の高まりはあっても、(現党首の)ヒースの党内での力は依然として圧倒的なものと見られていたし、サッチャー自身は、いまだ重要閣僚ポストについたことのない『軽量級』の政治家で、しかも女性である。(夫の)デニスが彼女に『お前はヒースに殺されるぞ』と言ったのは、無理もないことである。(サッチャーの)回想録にもあるとおり、サッチャーの勇気ある決断は党と国家の将来を憂慮する強い思いに基づいたものであったが、あえて想像を逞しくすれば一定の政治的計算が働いていた可能性もある」。
「選挙キャンペーン中はマネタリズムといった複雑な政策論は避け、保守党の伝統的な価値――あるいは彼女が言うところの『中流階級の価値』――への回帰という単純、明快なメッセージを繰り返し発信した。・・・それ自体は特に目新しいものではなかった。しかし、ヒース体制の下で党が方向性を見失ったと感じるバックベンチャーや草の目の支持者にとっては、こうした『当たり前の価値』を取り戻すという彼女のメッセージは強い説得力を持った」。
サッチャーは党首選で勝利したものの、その党内基盤は強固ではありませんでした。「しかし、同時に、この選挙を通じサッチャーは偉大な指導者に成長するために必要ないくつかの資質を示した。一つは、圧倒的に不利な状況の中で立候補を決断した勇気である。そして、もう一つは、バックベンチャーや草の根の党員を含め、党内にどのような風が吹いているか察知し、これを自分への追い風となるよう利用していく政治的勘である。この二つの資質は彼女のその後の政治家人生においても重要な資産として機能していく」。
「フォークランド戦争はサッチャーが政権発足以来直面した最大の試練であり、この戦争に勝利することで長期政権の礎が固まった」。
サッチャリズムとは、何であったのでしょうか。「この問いかけに単純な答えはないが、筆者は、それはイデオロギーでも、政策の体系でもなく、一つの政治的態度であったと考えている。・・・サッチャリズムの下で追求された政策、具体的には財政赤字の削減、減税、国営企業の民営化、規制緩和、公共サービスにおける市場的解決の導入などは、全体として『サプライ・サイド』の経済政策と性格付けることは可能かも知れない。・・・サッチャリズムの成功の背景に彼女の強い政治信念があったことは言うまでもないが、同時に留意すべきは、彼女が本質的には政治的な計算に敏感で、慎重な政治家であったことである」。ともあれ、サッチャーによる改革努力がなければ、イギリス経済が戦後の長期的停滞を克服することは困難だったのです。
「また、国際的に見ても、サッチャーの首相在任当時から民営化や規制緩和を始めとするサッチャリズムの取り組みは国際社会の幅広い関心を集めた」。
著者は、サッチャーという人物をこう結論づけています。「いくつかの資質においてサッチャーは常に一貫し、曖昧さを示すことはなかった。そうした資質とは、政治的確信の深さ、一貫性、職務へのコミットメント、エネルギーなどであり、彼女が変革の指導者として成功した理由はこうした資質に求められる。そして、筆者が結論的に最も強調したいのは、彼女の圧倒的な真摯さである。・・・筆者が何よりも感銘を受けるのは、政治家としての知的真摯さである」。
読み終わって、現在の日本の政治家たちとのあまりの格差に溜め息が漏れてしまいました。
2018年10月7日に日本でレビュー済み
現職の外務省官僚によるマーガレット・サッチャー元英国首相の評伝です。
まず驚くのは、評者の勉強不足ですが、イギリスは社会主義国かと思えるほどに国営企業が多かったことです。《電気、ガス、水道、通信、鉄道といった公共サービスはもとより、鉄鋼、造船、自動車、航空機、エネルギーといった主要産業、果ては旅行代理店(トマス・クック)まで》が国営企業であったんですね。
加えて、揺りかごから墓場までといわれた高福祉政策。これじゃ、親方日の丸ならぬ親方ユニオンジャック、自立自活よりも国におんぶに抱っこ、そして閉塞感のどん詰まりとなっても不思議ではありません。
つぎに驚くのは、サッチャー氏の超人的な働きぶりです。《前日深夜二時に就寝、朝六時半に起床すると、外務省による状況報告や公電に目を通す。八時半に医者の診察を受けた後、九時半からは戦時会議に出席する。次いでBBCのラジオ番組でインタビューを受けた後、キャリントン前外相夫妻とのカクテルに臨み、昼はジンバブエのムガベ首相のためのランチを主催する。そして午後には下院で欧州諸共同体の農業政策に関するステートメントを行った後、院内で枢密顧問官たる野党党首にフォークランド情勢に関するブリーフィングをおこなうえ。その後いったん首相官邸に戻るが、午後七時には再度議会に戻り、投票に参加する。それが終わると、訪英中のロバート・マルドゥーン・ニュージーランド首相との会談、歓迎夕食会をこなし、その後五時間かけて翌日の議会質疑の勉強を行う。そして、これらの日程の合間をぬって、デ・クエヤル国連事務総長との電話会談も行なっている。》 一九八二年五月十九日、フォークランド戦争真っ只中の時です。御歳五六歳。
何がこうまでサッチャー氏を駆りたてたのか。著者はそれを使命感とおっしゃる。《このように、サッチャリズムにイデオロギーや政策体系としての一貫性を見出すのは難しいとしても、彼女の強い指導力とカリスマのおかげで政権全体に一種の使命感が醸成されたことも事実である。その使命感がサッチャリズムの実相であるとすれば、それは政治的態度と呼ぶことが適切と思えるのだ。》
そしてこうつけ加えます。《この関連で興味深いのは、イギリス現代政治の研究家、シャーリー・レットウィンが提案したサッチャリズムの定義で、彼女はその本質は「強壮な徳性 vigorous virtues」の復活であるとする。「強壮な徳性」とは、過去においてイギリスを偉大な国家に発展させる原動力となった国民性であり、具体的には「高潔さ、自己充足、独立心、冒険心、忠誠心、活力」などを指す。この見方は筆者が指摘する政権の使命感の内容を考える上で示唆に富む。》
ここが著者の核となるメッセージであろうと思います。ただ、「強壮な徳性」の復活とは難しい言いようです。評者流に噛みくだいて言えば、イギリス版「日本を取り戻す」なんであろうと推察します。
まず驚くのは、評者の勉強不足ですが、イギリスは社会主義国かと思えるほどに国営企業が多かったことです。《電気、ガス、水道、通信、鉄道といった公共サービスはもとより、鉄鋼、造船、自動車、航空機、エネルギーといった主要産業、果ては旅行代理店(トマス・クック)まで》が国営企業であったんですね。
加えて、揺りかごから墓場までといわれた高福祉政策。これじゃ、親方日の丸ならぬ親方ユニオンジャック、自立自活よりも国におんぶに抱っこ、そして閉塞感のどん詰まりとなっても不思議ではありません。
つぎに驚くのは、サッチャー氏の超人的な働きぶりです。《前日深夜二時に就寝、朝六時半に起床すると、外務省による状況報告や公電に目を通す。八時半に医者の診察を受けた後、九時半からは戦時会議に出席する。次いでBBCのラジオ番組でインタビューを受けた後、キャリントン前外相夫妻とのカクテルに臨み、昼はジンバブエのムガベ首相のためのランチを主催する。そして午後には下院で欧州諸共同体の農業政策に関するステートメントを行った後、院内で枢密顧問官たる野党党首にフォークランド情勢に関するブリーフィングをおこなうえ。その後いったん首相官邸に戻るが、午後七時には再度議会に戻り、投票に参加する。それが終わると、訪英中のロバート・マルドゥーン・ニュージーランド首相との会談、歓迎夕食会をこなし、その後五時間かけて翌日の議会質疑の勉強を行う。そして、これらの日程の合間をぬって、デ・クエヤル国連事務総長との電話会談も行なっている。》 一九八二年五月十九日、フォークランド戦争真っ只中の時です。御歳五六歳。
何がこうまでサッチャー氏を駆りたてたのか。著者はそれを使命感とおっしゃる。《このように、サッチャリズムにイデオロギーや政策体系としての一貫性を見出すのは難しいとしても、彼女の強い指導力とカリスマのおかげで政権全体に一種の使命感が醸成されたことも事実である。その使命感がサッチャリズムの実相であるとすれば、それは政治的態度と呼ぶことが適切と思えるのだ。》
そしてこうつけ加えます。《この関連で興味深いのは、イギリス現代政治の研究家、シャーリー・レットウィンが提案したサッチャリズムの定義で、彼女はその本質は「強壮な徳性 vigorous virtues」の復活であるとする。「強壮な徳性」とは、過去においてイギリスを偉大な国家に発展させる原動力となった国民性であり、具体的には「高潔さ、自己充足、独立心、冒険心、忠誠心、活力」などを指す。この見方は筆者が指摘する政権の使命感の内容を考える上で示唆に富む。》
ここが著者の核となるメッセージであろうと思います。ただ、「強壮な徳性」の復活とは難しい言いようです。評者流に噛みくだいて言えば、イギリス版「日本を取り戻す」なんであろうと推察します。
VINEメンバー
「鉄の女」サッチャーを硬質の文章でとらえた評伝。政治と外交を知る現役官僚(公使・大使経験者)の著作。仕事の傍ら執筆したというが、ため息がでるような本だ。もちろん、ため息は、感嘆してのことで、呆れてではない。政治とは何か、外交とは何か、リーダーシップとは何か考えさせられる。そんな小難しい質問を提起するまでもなく、ただ単に政治家の評伝としてオモシロイ。ムカシは、政治家の粒(つぶ)が大きかったなあと感じることしきり。
「序にかえて」から少し抜粋してみる。〈端的に言えば、サッチャーが目指したことは、戦後コンセンサスの下で形成された国家と個人の間の境界線を引き直し、個人の自由を再び国民の営みの中核に据え直すことであった。彼女はそのことを、かつて聖地エルサレムを奪還するために十字軍が示したのと同様の宗教的確信をもって追及し続けた。そして、個人の自由へのコミットメントは、彼女を冷戦の勝利に向けた闘いにも駆り立て、戦後外交史に大きな足跡を残すことを可能とした。 / 政治指導者としてのサッチャーの凄さは、個人の自由を追求するイデオローグとしての側面と、卓越した行政手腕を持つ実業家としての側面を兼ね備えていたことであり、後者の能力はフォークランド戦争の指導や数々の外交交渉において遺憾なく発揮された。しかしながら、彼女が歴史に名を刻むのは、疑いなく政治の変革者としてである。 / 政治は通常の場合、資源配分の技術である。しかし、時として政治は単なる技術に留まらず、資源配分のあり方そのものを変える必要性に直面する。その時、指導者は国家と個人の関係という核心的な問題に正面から立ち向かわなければならない。
(中略)
サッチャーは人間としての器においてチャーチルには遠く及ばない。しかし、国家と国民の関係を律するという政治の本質的な使命において、彼女が成し遂げたことの高みはーー「良きにつけ、悪しきにつけ」という注釈付きであったとしてもーーチャーチルを確実に凌駕する。 / (チャールズ・)ムーアは、サッチャーがその性別、信念、人格のために国際的にも他のすべての指導者の尺度となる一つの原型となったとした上で、彼女のリーダーシップは一部の指導者にとっては教訓とすべき寓話、他の指導者にとっては道標となると指摘する。/ 政治が大きな変革期を迎える中、この道標が示す方向を吟味することの意味は大きい。本書がその試みにささやかな貢献をなすとすれば幸いである。
「序にかえて」から少し抜粋してみる。〈端的に言えば、サッチャーが目指したことは、戦後コンセンサスの下で形成された国家と個人の間の境界線を引き直し、個人の自由を再び国民の営みの中核に据え直すことであった。彼女はそのことを、かつて聖地エルサレムを奪還するために十字軍が示したのと同様の宗教的確信をもって追及し続けた。そして、個人の自由へのコミットメントは、彼女を冷戦の勝利に向けた闘いにも駆り立て、戦後外交史に大きな足跡を残すことを可能とした。 / 政治指導者としてのサッチャーの凄さは、個人の自由を追求するイデオローグとしての側面と、卓越した行政手腕を持つ実業家としての側面を兼ね備えていたことであり、後者の能力はフォークランド戦争の指導や数々の外交交渉において遺憾なく発揮された。しかしながら、彼女が歴史に名を刻むのは、疑いなく政治の変革者としてである。 / 政治は通常の場合、資源配分の技術である。しかし、時として政治は単なる技術に留まらず、資源配分のあり方そのものを変える必要性に直面する。その時、指導者は国家と個人の関係という核心的な問題に正面から立ち向かわなければならない。
(中略)
サッチャーは人間としての器においてチャーチルには遠く及ばない。しかし、国家と国民の関係を律するという政治の本質的な使命において、彼女が成し遂げたことの高みはーー「良きにつけ、悪しきにつけ」という注釈付きであったとしてもーーチャーチルを確実に凌駕する。 / (チャールズ・)ムーアは、サッチャーがその性別、信念、人格のために国際的にも他のすべての指導者の尺度となる一つの原型となったとした上で、彼女のリーダーシップは一部の指導者にとっては教訓とすべき寓話、他の指導者にとっては道標となると指摘する。/ 政治が大きな変革期を迎える中、この道標が示す方向を吟味することの意味は大きい。本書がその試みにささやかな貢献をなすとすれば幸いである。





