「サルでも描けるまんが教室」でビック・ヒットを放った、竹熊健太郎のマンガ論。
「最近の単行本は20巻、30巻があたりまえとなっているが、
物語性の増加につながっているのだろうか?」
という警告がいいです。
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手塚治虫の『ジャングル大帝』は、親子三代に渡る大河ロマンであり、
また永井豪の『デビルマン』はハルマゲドンをめぐる一大叙事詩である。
いずれも誰もが知っているストーリーマンガの大名作。
だが普及版コミックスの巻数にして、前者は三巻、後者は五巻にすぎない。
それでもあれだけの壮大なドラマが描けるのだ。
現状のマンガ界の「常識」から考えると、これは驚くべきことではないだろうか。(p.41)
長編マンガの祖と呼ぶべき手塚治虫が、
『ブッダ』(全十四巻=初刊単行本時)や『陽だまりの樹』(全十一巻)を例外として、
多くが三~四巻で「完結」させていることを、もう一度マンガ界は考えるべきではないだろうか。
(『ブラック・ジャック』は短編連作なので別格)。
手塚ほど「物語」を重視した作家もいないわけだが、構想をきちんと立ててマンガを描くためには
五巻以下が適切であることの、これはひとつの証明ではないかと思う。
私が「書き下し単行本」の復権を叫ぶひとつの理由がここにある。(pp.46-47)
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