カトリック系の中高等学校を卒業して洗礼を受けたことから,ルターのことは歴史のうえで名前だけしか知らないできました。
ドイツに来て,宗教改革500年ということで臨時の国民の休日があったりで,興味を持ったところにAmazonで好評の本書を知り,Kindleで購入しました。
本書を読んで考えたことは,ルターはいまだにカトリック教会から破門されたままになっていますが,その教えるところは第二バチカン公会議で大幅に吸収されているということです。とくにラテン語の排斥は日本では急進的であり,日本語聖歌の新作は高田三郎の偉業は認めるものの、世代間断絶や言語間(異国人との交流)断絶を生み出すほどです。
先日,パリのノートルダム大聖堂でラテン語ミサに参加しましたが,グレゴリオ聖歌やラテン語の交唱の部分は若いときの刷り込みがあり,日本語ミサと頭のなかで統合されて多くの国から参列した人たちと共通体験を得ることができました。配布されたその日のミサに必要なことを書いたA4サイズの紙には、ミサ曲の楽譜が載っていました。それも慣用版ではなく、ネウマ譜です。
ことばの面でのルターの改革は,ドイツ語を話すけれど,他国語を話さず,多くの国の人たちと宗教的交流をする必要のなかった人たちには有効だったのだなあと思いましたが,今日の状況ではさらなる努力が必要とも実感させられました。
素敵な内容の本をありがとうございました。
マルティン・ルター――ことばに生きた改革者 (岩波新書) (日本語) 新書 – 2012/6/21
徳善 義和
(著)
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本の長さ208ページ
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言語日本語
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出版社岩波書店
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発売日2012/6/21
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ISBN-104004313724
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ISBN-13978-4004313724
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ことばの真理を追い求め、聖書を読んで読みぬく。ひとりの若き修道士の飽くなき探究心が、キリスト教の世界を根底から変え、新しい時代への扉をひらいた。マルティン・ルター。宗教改革者。聖書のことばをひたむきに見つめ、ヨーロッパに中世と近代とを画す歴史の転機をもたらした生涯を描く。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
徳善/義和
1932年東京生まれ。1954年東京大学工学部卒業。1957年日本ルーテル神学校卒業。専攻は歴史神学(宗教改革)。現在、ルーテル学院大学、ルーテル神学校名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1932年東京生まれ。1954年東京大学工学部卒業。1957年日本ルーテル神学校卒業。専攻は歴史神学(宗教改革)。現在、ルーテル学院大学、ルーテル神学校名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2012/6/21)
- 発売日 : 2012/6/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4004313724
- ISBN-13 : 978-4004313724
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 56,759位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 28位神学 (本)
- - 88位キリスト教入門
- - 93位キリスト教一般関連書籍
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2017年12月18日に日本でレビュー済み
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8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マルティン・ルターの生涯をわかりやすく辿った本書は、ルター=宗教改革という知識しか知らない私のような初心者にとって格好のルター入門書となっています。宗教改革とはどういうものだったのか、またキリスト教に対するルターの一貫した思いなどがよく理解できました。
教会から追われる身となり、ワルトブルグ城にかくまわれたルターはそこの居室で聖書の翻訳に取り組みます。その居室の写真が掲載されていました。孤独の空間の中で、民衆に理解しやすい聖書作りに懸命になるルターの姿が写真から浮かび上がってくるようでした。
聖書の言葉に忠実に信仰し、伝承することを生涯を通して追い求めたルター。まさに聖書と共に生きた宗教者だったことがよくわかりました。
教会から追われる身となり、ワルトブルグ城にかくまわれたルターはそこの居室で聖書の翻訳に取り組みます。その居室の写真が掲載されていました。孤独の空間の中で、民衆に理解しやすい聖書作りに懸命になるルターの姿が写真から浮かび上がってくるようでした。
聖書の言葉に忠実に信仰し、伝承することを生涯を通して追い求めたルター。まさに聖書と共に生きた宗教者だったことがよくわかりました。
2012年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マルティン・ルターといえば宗教改革を始めた人という歴史認識しかない人には格好の入門書になると思う。
これほど、ルターという人物にほれ込んで良い面も悪い面も書いた本は他に見当たらないだろう。
本人の息遣いが聞こえてきそうな文章を描きだした筆者の熱意は素晴らしい。
ただ、やはり基本的にルーテル派のキリスト教徒という最もルターに敬意を払っている立ち位置の人が書いた本だけに、やはりほれ込み過ぎているというか、美点は明確に書かれるが、欠点は触れ方が弱く、ルターの提題に対してローマ・カトリックからの反論だけでなくプロテスタント内でも異論が噴出して収集がつかなくなった事実については、ほとんど触れられていない。
結果としてローマ・カトリックでいうところの聖人伝に若干の弱さも含めて書いたような雰囲気は否めない。
宗教改革が最終的にルターが思った方向に進まなかったことは厳然たる事実であり、農民戦争でのルターの判断の誤りが起こした事態は、本書では軽く触れられているが、現実の歴史では、当時の時代環境を考えればありえないぐらいの大虐殺になってしまった。
宗教改革運動は民衆運動に発展したからこそ、多数の民衆を巻き込んだ血みどろの紛争になってしまったのである。
特にキリスト教徒でもない研究者が書いたら歴史的にはもっと厳密だがルターへの共感は薄れる本に仕上がったと思う。
それでも、新書サイズで面白く読めるルター入門の本としては一押しといってよい。
思い入れの強さの故に読んで面白いが、若干歴史認識を甘くしてしまっている点を考慮して星4つとする。
これほど、ルターという人物にほれ込んで良い面も悪い面も書いた本は他に見当たらないだろう。
本人の息遣いが聞こえてきそうな文章を描きだした筆者の熱意は素晴らしい。
ただ、やはり基本的にルーテル派のキリスト教徒という最もルターに敬意を払っている立ち位置の人が書いた本だけに、やはりほれ込み過ぎているというか、美点は明確に書かれるが、欠点は触れ方が弱く、ルターの提題に対してローマ・カトリックからの反論だけでなくプロテスタント内でも異論が噴出して収集がつかなくなった事実については、ほとんど触れられていない。
結果としてローマ・カトリックでいうところの聖人伝に若干の弱さも含めて書いたような雰囲気は否めない。
宗教改革が最終的にルターが思った方向に進まなかったことは厳然たる事実であり、農民戦争でのルターの判断の誤りが起こした事態は、本書では軽く触れられているが、現実の歴史では、当時の時代環境を考えればありえないぐらいの大虐殺になってしまった。
宗教改革運動は民衆運動に発展したからこそ、多数の民衆を巻き込んだ血みどろの紛争になってしまったのである。
特にキリスト教徒でもない研究者が書いたら歴史的にはもっと厳密だがルターへの共感は薄れる本に仕上がったと思う。
それでも、新書サイズで面白く読めるルター入門の本としては一押しといってよい。
思い入れの強さの故に読んで面白いが、若干歴史認識を甘くしてしまっている点を考慮して星4つとする。
2016年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
来年は、ルターが宗教改革を起こしてから500年目ということで、一信徒である私も、
ルターやプロテスタントについて少しずつ考えてみようと、まず手に取ったのがこの本だった。
ルターの生い立ちや、宗教改革の始まりについての考察が簡潔に記されてあった。
ルターは当初、大きな教会変革を起こそうなどとは考えておらなかったようだ。
改革というより、民衆を誤った教えによる「偽の救い」から、
聖書が語るキリストの十字架による「真の救い」へ導かねば、
とのルターの熱い思いが、その原点であったと語られていた。
つまりは、人々の魂を支える聖書の言葉による「信仰の再形成」だった。(P122)
しかし、それを、追い求めていけば、神の下には、教皇さえも一人の罪人に過ぎないという、
当時のカトリック教会の権威を崩しかねない教えとなるのだった。
そして、聖書のみを掲げるプロテスタント教会が誕生したのだった。
徳善氏は、当時のカトリックには、
「自分自身をチェックするシステム」がなかったと言われている(P57)。
では、今のプロテスタント教会に、
そのようなチェック機能というものが、果たしてあるのだろうか?
今はむしろ、プロテスタント教会の改革が必要な時なのではと、強く思わされた。
ルターの目指したものの、発展やまた逆行など、その肯定面・否定面も含め、
現在のプロテスタント教会の現状の素描などもあれば、より有り難かったと思う。
プロテスタントを考える、入門の本として、役に立った。
ルターやプロテスタントについて少しずつ考えてみようと、まず手に取ったのがこの本だった。
ルターの生い立ちや、宗教改革の始まりについての考察が簡潔に記されてあった。
ルターは当初、大きな教会変革を起こそうなどとは考えておらなかったようだ。
改革というより、民衆を誤った教えによる「偽の救い」から、
聖書が語るキリストの十字架による「真の救い」へ導かねば、
とのルターの熱い思いが、その原点であったと語られていた。
つまりは、人々の魂を支える聖書の言葉による「信仰の再形成」だった。(P122)
しかし、それを、追い求めていけば、神の下には、教皇さえも一人の罪人に過ぎないという、
当時のカトリック教会の権威を崩しかねない教えとなるのだった。
そして、聖書のみを掲げるプロテスタント教会が誕生したのだった。
徳善氏は、当時のカトリックには、
「自分自身をチェックするシステム」がなかったと言われている(P57)。
では、今のプロテスタント教会に、
そのようなチェック機能というものが、果たしてあるのだろうか?
今はむしろ、プロテスタント教会の改革が必要な時なのではと、強く思わされた。
ルターの目指したものの、発展やまた逆行など、その肯定面・否定面も含め、
現在のプロテスタント教会の現状の素描などもあれば、より有り難かったと思う。
プロテスタントを考える、入門の本として、役に立った。
VINEメンバー
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ルターの専門家である大御所神学者によるルター評伝である。聖書の「ことば」から疎外されていた民衆に対し、ドイツ語訳による聖書によって「ことばの体験」をもたらすことに成功したルター、といったような話の大枠のもと、ルターの生涯をコンパクトかつ要点を鮮明にして描き出している。記述は基本的にたんたんとしているが、ルターが開眼した「神の義」の意味について説明するところや、Reformationとは「再形成化」と訳すのが適当でルターらはそれまでのキリスト教世界を一変させた、といった議論をしているところなど、しばしば著者のキリスト者的なパッションが感じられて心動かされながらの読書ができた。180ページほどのすぐ読めてしまう新書でありながら、ルターの魅力と歴史的な意義がよくわかる良作であるといえよう。
2016年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ルターの「思想と行動」を考えるための基本書。わかりやすい言葉で書かれているので、
一気に読み進めることができた。カトリック教会の「贖宥状」批判に端を発するルターの
宗教改革への決断と勇気と情熱が、今日の私たちにも生き生きと伝わってくる。
欲を言えば、ルターの負の側面と考えられるドイツ農民戦争に対するその抑圧的態度
と、ナチスの反ユダヤ主義に利用された『ユダヤ人とそのいつわりについて』(1543年)
について、もう少し詳しく書いて欲しかった。等身大のルターを知るためには、新書版
では不可能だろうか。
一気に読み進めることができた。カトリック教会の「贖宥状」批判に端を発するルターの
宗教改革への決断と勇気と情熱が、今日の私たちにも生き生きと伝わってくる。
欲を言えば、ルターの負の側面と考えられるドイツ農民戦争に対するその抑圧的態度
と、ナチスの反ユダヤ主義に利用された『ユダヤ人とそのいつわりについて』(1543年)
について、もう少し詳しく書いて欲しかった。等身大のルターを知るためには、新書版
では不可能だろうか。