現在、インターネットで使用されるTCP/IPは標準のコンピュータネットワークプロトコルとして定着している。普段、インターネットやメールなどを使用する場合にはその仕組みをまったく意識することなく使うことができるが、ネットワークに関連する職業についた方ならその仕組みを理解する必要があるだろう。本書はTCP/IPの入門書として最もスタンダードな1冊であり、OSI参照モデルに基づいたTCP/IPの解説を中心にルーティングプロトコルやアプリケーションプロトコル、さらにIPv6や伝送媒体・サービスなどについても解説している。
入門編としてTCP/IPネットワークの概念の解説が充実しているが、さらに技術的な内容についても極力盛り込むようにしているのが特徴だ。たとえば関連するプロトコルの詳細や技術規格、チェックサムの計算についても言及するなど、内容は非常に濃い。情報量が多いため、専門にTCP/IPをしっかり学びたい方には十分な役割を果たすだろうが、入門書とはいえ予備知識なしには理解が困難であるかもしれない。まったくの予備知識のないが本書を読み進めるためには、事前に情報系の知識を習得しておくのが望ましいだろう。
シーケンスの解説やネットワークのイメージなどを含めた図解が豊富であったり、ページの左側余白に用語の解説を載せたりと、頻出する技術内容を整理だてて説明する構成になっている。巻末の付録には、インターネットでの情報ソース、クラスフルでのアドレス、TCP/IPの基礎用語集が掲載されており、初期学習に大きな力となるはずだ。
ネットワークの解説書としては非常に内容の濃い良書であるので、体系的にネットワークプロトコルを学びたい方にはぜひ一読をすすめたい。ただし、やや教科書的であることは否めない。実際にマシンを使用した動作・操作の説明が少ないので、OSの操作やネットワーク接続などの実務に利用するには他の書籍を併用することをおすすめする。(齋藤牧人)
マスタリングTCP/IP 入門編 現在のネットワークにおける中核通信プロトコルであるTCP/IPについて解説する。TCPやIPといったプロトコルの解説はもちろん,Ethernetなどの周辺情報についても豊富な図表を加えて分かりやすく紹介している。本書を読めばインターネットでの通信がどのように行われているかを理解できる。1994年に初版が上梓された同名書の改訂3版。無線LANやADSL接続サービスなどについての項目が追加されている。
(日経Linux 2002/05/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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内容(「BOOK」データベースより)
本書は、TCP/IPをわかりやすく知ってもらうための入門書である。TCP/IPというものの位置付け、発展した過程、基礎技術、TCP/IPを利用した通信サービスなどを、必要な知識に絞って解説。また、基本的な技術に焦点をあてて説明を行っている。
内容(「MARC」データベースより)
TCP/IPというものの位置づけ、発展した過程、基礎技術、TCP/IPを利用した通信サービスなどを、必要な知識に絞って解説。また、基本的な技術に焦点を当てて説明している。98年刊に次ぐ第3版。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
竹下/隆史
1965年生まれ。ネットワンシステムズ株式会社シニアエキスパート
村山/公保
1967年生まれ。倉敷芸術科学大学産業科学技術学部ソフトウエア学科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)