”ボウリングー”や、”華氏911”よりもだいぶ以前に制作されたマイケル・ムーアのテレビシリーズです。テレビという媒体を通しているため、どうしてもお笑い路線に走らざるを得なかったようで、けっこういいポイント突いているのにキワモノ扱いされることも多かった作品のようです。でも外国人の私の目から見ていると、悲しいまでにアメリカ社会の陰と陽が浮き彫りになったような番組でした。
終身雇用制度などほとんど無いようなアメリカ社会では、職場の倫理観よりも、マニュアルを徹底的に仕込むことが集団の統率をはかる唯一の手段のように感じられことが多々あります。 そうすると、元々の個人主義に加えて、ここからここまでは私の領分、後は知らん。なんて態度の人も結構出てくるわけで、こういった社会で起こる企業犯罪なんか、責任の所在が明らかになるまで、法廷で見るも醜悪な泥仕合が繰り広げられます。こんな状況をお笑いで皮肉るためには、作り手側もかなりコテコテの表現をとらざるを得ません。そうすると良識派からは、これはやり過ぎだ、と言われ、単におふざけを期待している一派からは、アホらしい、と嘲られます。 こういうのって本当に難しい。
まあ、これはアメリカ社会の問題をお笑いを通して見てみよう、というスタンスで鑑賞するのが一番の作品だと思います。 現代アメリカ社会を描いた、もっと真面目なドキュメンタリーが見たい、という方には、少し古いけど同監督の処女作、”ロジャー&ミー”がおすすめですよ。