『ランプトンは語る』関連。そこで登場した複数の絵画がどのような経過で描かれたのか?の物語。
当時もそれにまつわる関連作がいくつかあったので、改めて小学館コミックス4~5巻をおさらいしました(この頃の画は本当に美しく、いつ見てもうっとりします)。
本作は1888年、エドガーとアランは顔に傷跡のある画家アーサーに出会い、アーサーはエドガーをモデルにしてランプトンの肖像に似せた絵を描き始めます。アーサーはまだ人間のままで、キャライメージがかなり違います。個人的にはアーサーの子供時代の亡くなった友人ドミニクが愛おしい存在でした。サスペンスと情緒のある内容です。
『ポーの一族』はやはりヒストリカルが似合いますね。内容は前作『ユニコーン』と違って時代や登場人物が飛ぶことがなく、わかりやすかったです(あげくに前作は中途半端で終わったし)。
約45年前のモト先生の漫画とどこが変わったか、改めて考えてみると、人物が全体的に表情豊かで生き生きとなりました。エドガーだけ見ても、以前は常に冷静でシニカルで全てのことを悟っている耽美な雰囲気でしたが、再開後は感情を爆発させたり動揺して顔に汗を流したり…。そもそもバンパネラは食べないし薔薇のエッセンスが入ったお茶くらいしか飲まないので、汗もかかない(多分トイレへも行かない)イメージです。実際に汗をかいているわけではなくあくまでも感情の状態を表すために描かれているとしても、私には違和感があります。全体的にバタバタして躍動的になりました。
この違和感は、かつてオリジナルシリーズの 『ポーの一族』に魅せられ心と頭にしっかり植え付けられてしまった者にとってそれが基本、第一となってしまっているので、どうしようもありません。
再開後のものは別物として切り離し、新たに楽しんでいます。
今回エドガーやアランの顔は『春の夢』『ユニコーン』より幾分丁寧に描かれているように思うし、内容の雰囲気もあの頃に近いものを感じました。
さすがのモト先生、レベル違いの実力は健在です。本当に再開してもらえてうれしい…。
本作は再開後の作品群の中で一番おもしろく感じました。今後の展開を楽しみにしています。
ポーの一族 秘密の花園 (1) (フラワーコミックススペシャル) (日本語) コミック – 2020/11/10
萩尾 望都
(著)
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本の長さ191ページ
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言語日本語
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出版社小学館
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発売日2020/11/10
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ISBN-104098712083
-
ISBN-13978-4098712083
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.7
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ベスト500レビュアー
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137人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年11月13日に日本でレビュー済み
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ポーの一族は萩尾先生が20代で描かれた作品です。
20代でこの名作を描かれた事も驚きですが、現在70歳を過ぎてもなお作品に対する情熱を持たれている事は更に驚きです。
自分は小学生の時にこの作品と出会い、自分も60近くになりましたが、歳をとるとデスクワークの辛さは半端じゃありません。
70歳を過ぎても机に向かい細かく美しい絵を描き続ける事は尊敬に値します。
エディスで完結したはずのポーの一族が1冊、また1冊と増えていく事に喜びを抑えられません。
次はぜひ、メリーベルが生きている時代の話も期待しつつ、どうか萩尾先生がいつまでもお元気で長く続編が続く事を願っています。
20代でこの名作を描かれた事も驚きですが、現在70歳を過ぎてもなお作品に対する情熱を持たれている事は更に驚きです。
自分は小学生の時にこの作品と出会い、自分も60近くになりましたが、歳をとるとデスクワークの辛さは半端じゃありません。
70歳を過ぎても机に向かい細かく美しい絵を描き続ける事は尊敬に値します。
エディスで完結したはずのポーの一族が1冊、また1冊と増えていく事に喜びを抑えられません。
次はぜひ、メリーベルが生きている時代の話も期待しつつ、どうか萩尾先生がいつまでもお元気で長く続編が続く事を願っています。
2020年11月12日に日本でレビュー済み
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待ちに待った、『秘密の花園』が一冊にまとまり発刊されました!
『ユニコーン』は1963年のロンドンが舞台でしたが、『秘密の花園』は時をさかのぼって1888年9月のレスター郊外(イングランド中部の都市)、アーサー・トマス・クエントン卿とエドガーが出会った頃の話です。ランプトンを描いている間エドガーたちと深く関わっていた筈なのに、何故か今まで詳しく描かれず謎でした(望都先生の中で大切に温めていたのかも)。『ランプトンは語る』の中で、1889年の8月頃に亡くなったと描かれているアーサーが2016年にエドガーの後見人のような存在で登場している事を考えると、いずれポーの一族に迎え入れる事になるのでしょうね。
『秘密の花園』は、昔からポーの一族の持つ妖しく美しくも儚い世界観はそのままに、エドガーの感情をより細かに描いている気がします。眠りにつくアランを守らなくてはならない焦りや、一族の事を知らないが故に自分の身に災難が降りかかったりとエドガーにとってはかつて無いほどの苦難の時に、偶然出会ったアーサーですが一緒に過ごす内に信頼関係を築いていく過程が丁寧に描かれていました。子供の姿のままのエドガーにとってアランとはまた違った意味で無くてはならない存在になっていくのでしょう。私はシルバーも結構好きなんですけどね。シルバーってイイ人だと思うんだけど、良かれと思って言ってる事がエドガーのカンにさわり邪険にされて可哀想な人。今後の活躍に期待したいです。
秘密の花園が終る頃には、『ポーの一族』のパズルのピースがまた一つピタリと気持ちよくハマるんだろうな…って考えると続きが楽しみです。アランの復活も!『春の夢』以降の作品を、蛇足のように言う人もいますが何故なのか不思議です。こんなに面白いのに!
巻末の短編『月曜日はキライ』は秀逸ですよ。わずか4Pにぐっと凝縮された深い内容です。短編はアラン主人公のが好き。
『ユニコーン』は1963年のロンドンが舞台でしたが、『秘密の花園』は時をさかのぼって1888年9月のレスター郊外(イングランド中部の都市)、アーサー・トマス・クエントン卿とエドガーが出会った頃の話です。ランプトンを描いている間エドガーたちと深く関わっていた筈なのに、何故か今まで詳しく描かれず謎でした(望都先生の中で大切に温めていたのかも)。『ランプトンは語る』の中で、1889年の8月頃に亡くなったと描かれているアーサーが2016年にエドガーの後見人のような存在で登場している事を考えると、いずれポーの一族に迎え入れる事になるのでしょうね。
『秘密の花園』は、昔からポーの一族の持つ妖しく美しくも儚い世界観はそのままに、エドガーの感情をより細かに描いている気がします。眠りにつくアランを守らなくてはならない焦りや、一族の事を知らないが故に自分の身に災難が降りかかったりとエドガーにとってはかつて無いほどの苦難の時に、偶然出会ったアーサーですが一緒に過ごす内に信頼関係を築いていく過程が丁寧に描かれていました。子供の姿のままのエドガーにとってアランとはまた違った意味で無くてはならない存在になっていくのでしょう。私はシルバーも結構好きなんですけどね。シルバーってイイ人だと思うんだけど、良かれと思って言ってる事がエドガーのカンにさわり邪険にされて可哀想な人。今後の活躍に期待したいです。
秘密の花園が終る頃には、『ポーの一族』のパズルのピースがまた一つピタリと気持ちよくハマるんだろうな…って考えると続きが楽しみです。アランの復活も!『春の夢』以降の作品を、蛇足のように言う人もいますが何故なのか不思議です。こんなに面白いのに!
巻末の短編『月曜日はキライ』は秀逸ですよ。わずか4Pにぐっと凝縮された深い内容です。短編はアラン主人公のが好き。
2020年11月13日に日本でレビュー済み
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Kindleで出たので、即買って読んでみた。今回はアーサー卿との出会いから始まる、1888年イギリスはレスターでのお話。ポーの一族続編も3作目となり、絵柄も少し落ち着いた(慣れた?)のかも知れない。ストーリーはインハウスで展開するので、余り突飛でドラマチックでなく、緩やかな時間が進む。今回のカットの最大のお気に入りは、「レスター警察の者です」と表に来た時の、エドガーの影絵のような小窓の前に傾ける表情がグッと来た。まるで昔のコマ割りの再来彷彿とさせて実に宜しい。今回の影の主役は実はアランなのだが、始終冬眠中なので存在自体も影絵のよう。これも伏線になっている。少しずつだが叙事詩的、タペストリー的な「ポー空間」が幾らか戻って来たのかも知れない。次作にも希望と期待が少し出来た。
尚、今回のは自分としては★4つプラスだが、相変わらずエドガーが頬に汗タラ表現が出てくるので、★一個減点。バンパネラは汗タラしません。(多分)
尚、今回のは自分としては★4つプラスだが、相変わらずエドガーが頬に汗タラ表現が出てくるので、★一個減点。バンパネラは汗タラしません。(多分)
2020年11月14日に日本でレビュー済み
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既刊の小学館コミックスの第4巻の間を埋める快作です。
ランプトンシリーズの顛末、5巻の最後にちらっと出てきた現代に生きるクェントン卿の
秘密が明かされるこの『秘密の花園』シリーズはワクワクします。
この先、アランは蘇るのか?エドガーはどうなるのか?と云うハラハラとともに
萩尾さんだからなーこれからどう持っていくかわからないなーという心配も込めながら楽しみにしています。
主人公たちの顔が違うとか線が硬い云々批判もわからなくはないのですが
手塚治虫さんの作品でも昔の作品の欠損の補足をその当時の画風で埋めなければならず、
どんなに真似しても同じようには見えません。作家には今の作風があるので
今の時点でその補足を書こうとすればそのようになるのは仕方のないことだと思います。
描き続けようと思われた萩尾望都さんの勇気に感謝しつつ今後の展開をワクワクして待っています。
ランプトンシリーズの顛末、5巻の最後にちらっと出てきた現代に生きるクェントン卿の
秘密が明かされるこの『秘密の花園』シリーズはワクワクします。
この先、アランは蘇るのか?エドガーはどうなるのか?と云うハラハラとともに
萩尾さんだからなーこれからどう持っていくかわからないなーという心配も込めながら楽しみにしています。
主人公たちの顔が違うとか線が硬い云々批判もわからなくはないのですが
手塚治虫さんの作品でも昔の作品の欠損の補足をその当時の画風で埋めなければならず、
どんなに真似しても同じようには見えません。作家には今の作風があるので
今の時点でその補足を書こうとすればそのようになるのは仕方のないことだと思います。
描き続けようと思われた萩尾望都さんの勇気に感謝しつつ今後の展開をワクワクして待っています。
ベスト500レビュアーVINEメンバー
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ただの「少年」ではない、智謀策略を巡らすエドガーの在りようが、
従来のロマンチックで繊細な描線でファンを魅了した、ゴシックファンタジーの趣とは異なる。
バンパネラの本領を発揮しながら、自分自身のことについても一族についても知らない。
いわばアイデンティティが揺らぐ存在として描かれているにもかかわらず、
アランを守るために行動し、結果的に「狩り」をする姿が幾たびも描かれ、
何とも言えぬ雰囲気を醸し出す。
表紙も様々なものと闘うエドガーを象徴しており、
旧シリーズの夢見るような美しい雰囲気とは異なる迫力を感じる。
また舞台化をアピールする帯が付いており、11月27日まで読者先行予約のお知らせが付いている。
従来のロマンチックで繊細な描線でファンを魅了した、ゴシックファンタジーの趣とは異なる。
バンパネラの本領を発揮しながら、自分自身のことについても一族についても知らない。
いわばアイデンティティが揺らぐ存在として描かれているにもかかわらず、
アランを守るために行動し、結果的に「狩り」をする姿が幾たびも描かれ、
何とも言えぬ雰囲気を醸し出す。
表紙も様々なものと闘うエドガーを象徴しており、
旧シリーズの夢見るような美しい雰囲気とは異なる迫力を感じる。
また舞台化をアピールする帯が付いており、11月27日まで読者先行予約のお知らせが付いている。