苦手だったミュージシャンがあるレコードをきっかけで急に好きになる場合がある。 私にとってこの盤はそんな一枚だ。 ケベックを最初に聴いたのは「ブルー・アンド・センチメンタル」だったが、 独特の溜めや鬱陶しい程の重い鳴かせ方がムード歌謡の様でどうも肌に合わず、 一度聴いたきりで棚に仕舞い込んでしまった。 それから数年、ジャケットのデザインに惹かれてこの盤を聴いたのだが、 ボッサのリズムに肩の力を抜いて飄々とスイングするケベックに驚かされた。 ケニー・バレルの(1)、クラシックからドヴォルザーク(3)とリスト(5)、 「You'd Be So Nice To Come Home」を元にしたケベックの(4)と選曲もアレンジも 魅力的で何度も繰り返し聴いてしまうハメに。 「最初にこれを聴いていれば...」とニクらしい思いをさせてくれる嬉しい発見となった。 勿論、今では前述の「ブルー~」も愛聴盤に。