スキームでの代数幾何を勉強する準備としてこの本で
ホモロジー代数を勉強しました。
前半は、主に環上の加群についてのホモロジー代数。
無味乾燥といえばそうなのだけれど、ホモロジー代数
の基礎なので、我慢して読むべし。
後半は、圏と関手、層、スペクトル系列。代数幾何で
必須の概念です。特に層については、代数幾何の教科書
では必要最低限の解説しかなされないところを、きっちり
説明してくれています。アーベル圏、層、導来関手、
スペクトル系列のところは代数幾何を勉強する人にとっては
マストなところ。
ホモロジーベースではなく、コホモロジーベースで概ね
記述されているところなども、代数幾何、数論の人には
うれしいところ。が、位相幾何の人とかホモロジー重視
の人には、デュアルの議論に置き換えて考える必要がある
ので、すこし面倒かもしれない(が、そのほうが自分の
頭で翻訳する作業をすることになるので、身につくのかも
しれない)
(ちなみに、河田さんは数論が専門の方。数論はコホモロジー
重視。群係数のコホモロジー、ガロアコホモロジーってやつ
です。)
あえて欠点をいうと、アーベル圏に関する議論(証明)を
「アーベル圏に関する命題の証明は、(若干の条件付で)
加群の場合の証明に帰着することができるという」という
原理(ただしくは、定理。この本では証明されていない)
に暗に頼って、省略していること。ただ、大きな欠点というこ
とではなくて、ホモロジー代数の命題の証明を追うのにあまり
時間をかけるのも無意味で、その時間があれば、その応用
(代数幾何なり、数論なり、位相幾何なりの(コ)ホモロジ
ーとか)に労力を注ぐべきというのは、正しいと思うので、
まあこれでいいのかも。
導来圏とかの解説も欲しかったところですが、入門の粋
をこえるので、これも仕方が無いでしょう。
非常に良書なので、復刊が望まれるところです。
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