<ホメオパシーの傾聴の技法と哲学は、現代の"病むもの"すべてに、病と生の意味を問いかけている。>
本書は、「病」「痛み」といった一見ネガティブなものを、どのように受けとめてゆくべきなのかという本質的な問題に深く取り組んでいます。アロマテラピー、サイコセラピー、ボディセラピーの実践に取り組んでいる方、西洋医学の医療従事者、また心身の痛みの意味を、深く捉え返したい人にとって示唆することの多い内容ではないかと思います。スピリチュアルな一面のもつ意味も、現代の思想家や近年のホメオパスの知見を参照した優れた咀嚼がなされており、客観的な理解がえやすくなっています。
<なぜ、そのレメディーなのか ひと粒を選び出す世界観がここに...>
なぜあのレメディでなくこのレメディなのか、といったことを
自分の頭とこころで考える際に大変役立つ内容ではないかと思います。一歩踏み込んだ理解をもとめるホメオパスに。
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ホリスティック医療の源流へ
抜粋
ホメオパシーの医学哲学者たちは、心身がひとつの全体として機能することをつねに理解していた。病気はその人の無意識の感情や傾向や思い込みからくるものだが、病気の症状は、全体、すなわち心身のどの部分にも現れうる。
隠されたものや抑圧されたものは、その人の意識的人格と対立する場合が多い。したがってその人は、自分自身との葛藤をかかえ、分裂した状態になりやすい。対立する欲求や衝動によって反対の方向へ引っぱられるのだ。これが人間の病気の根源である。
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ホメオパス〔治療師〕は(患者の)内と外の両方を理解する必要がある。外面を理解するには、観察したこと、患者が話したこと、臨床的検査によって明らかになったことのすべてを明確に記録しなければならない。これは、根気よく訓練すれば難しいことではない。しかし、内面をとらえて記録するのはたぶんもっとたいへんだろう。患者は、必要なことをすべて話してくれるだろうか? 患者が心のなかで抑圧し、そのために意識に上らないことがどれぐらいあるだろう? ホメオパスの側に、おそらく自分にはなじみのない内的経験、イメージ、感情、感覚の領域を、患者とともに旅する十分な力量があるだろうか?
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
カーライオン,ジュリアン
元英国ホメオパシー協会理事。ジョン・テイモントに師事、英国でホメオパシーが復活した70年代からホメオパシーを実践、近年はミッシャ・ノーランド、ラジャン・サンカランとともに学ぶ。ハーネマンから近代までのホメオパシーの歩みと共に、古代からの伝統やトランスパーソナル心理学を包含した現代における新しいホメオパシー像を提唱
諌早/道子
1954年生まれ。長崎県出身。同志社大学文学部卒業。現代の病と治癒をテーマとした翻訳を中心に活動。ハーネマンアカデミーでホメオパシーを学ぶ
永松/昌泰
1958年生まれ。山口県出身。ハーネマンアカデミー学長。慶應義塾大学工学部卒業、コロンビア大学、パリ大学で哲学、文学、物理学専攻。家業の鉄鋼業を経営するうち、金属の変容・変態と人間の変容との類似に気づく。英国にわたり、ホメオパシーと出会う。1997年、ハーネマンアカデミー設立。日本ホメオパシー振興会主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)