著者は京大大学院を卒業し国立極地研究所の助教授を務めているが、良くある動物好きの変わり者ではなく、東大の総長賞や広範な学術研究の積み重ねに贈られる山埼賞の受賞者でもある生態学者。しかし大学は工学部で途中で転向したそうです。
本書では、著者の研究分野であるバイオロギングという小さな測定器を生物に付けての測量による、様々な生物の行動特性について語られています。一見、変わった存在の対象を捉えることによって、生物に普遍的な特性を見出すという、生態学と物理学の融合という新境地を描いています。実際の観測の現場での話が中心で、堅苦しい理屈の部分は少ないので楽しく読むことができます。
ペンギンが教えてくれた 物理のはなし (河出ブックス) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2014/4/14
渡辺 佑基
(著)
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本の長さ256ページ
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言語日本語
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出版社河出書房新社
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発売日2014/4/14
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ISBN-104309624707
-
ISBN-13978-4309624709
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
クジラやペンギン、アザラシなどの潜水動物や、アホウドリやウといった飛翔動物をはじめ、野生動物たちの生活は人間の目に触れず、その生態は謎に包まれたままだった。そんな観察が難しい動物たちに超小型のカメラや記録計を取り付け、データから行動や生態を調査する研究手法を「バイオ(bio=生物)+ロギング(logging=記録)」と呼ぶ。本書ではバイオロギングが明らかにした野生動物の多様でダイナミックな動きから、背景にある物理メカニズムを読み解き、その進化的な意義に迫る―。
著者について
1978年生まれ。国立極地研究所生物圏研究グループ助教。極域に生息する大型捕食動物の生態を研究。東京大学総長賞、山崎賞を受賞。科学誌『Nature』でその研究が紹介される等、世界の注目を集めている。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渡辺/佑基
1978年、岐阜県生まれ。国立極地研究所生物圏研究グループ助教。農学博士。東京大学大学院農学生命科学研究科修了。野生動物に小型の記録計を取り付ける「バイオロギング」と呼ばれる手法を用いて、魚類、海鳥、海生哺乳類の生態を研究している。2007年、東京大学総長賞受賞。2010年、南極観測隊に参加しペンギン目線のビデオ撮影に成功。研究論文は米国科学アカデミー紀要に掲載された。2011年、学術分野全般で優れた実績を積み上げた人に贈られる山崎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1978年、岐阜県生まれ。国立極地研究所生物圏研究グループ助教。農学博士。東京大学大学院農学生命科学研究科修了。野生動物に小型の記録計を取り付ける「バイオロギング」と呼ばれる手法を用いて、魚類、海鳥、海生哺乳類の生態を研究している。2007年、東京大学総長賞受賞。2010年、南極観測隊に参加しペンギン目線のビデオ撮影に成功。研究論文は米国科学アカデミー紀要に掲載された。2011年、学術分野全般で優れた実績を積み上げた人に贈られる山崎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2014/4/14)
- 発売日 : 2014/4/14
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 256ページ
- ISBN-10 : 4309624707
- ISBN-13 : 978-4309624709
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ベスト500レビュアーVINEメンバー
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バイオロギング。野生動物の体に記録機器を貼り付けて、しばらく後に回収し、動物がどこで何をしていたのかを知る方法である。この著者は生物学者で、バイオロギングを利用して動物の生態を研究しているのだ。バイオロギングによって分かってきた動物の生態と、物理学を結びつけて読ませようというのが本書の眼目である。
最初に出てくるのがハイイロミズナギドリ。ニュージーランドに住む夏鳥である。バイオロギングによれば、この鳥は南北1万キロもの長さのエリアを移動していたのだ。まずニュージーランドから東に飛んで南米の沖に行く。そこから太平洋を北西に飛んで日本近海にたどり着く。それから北東に飛び、アリューシャン列島あたりに行ったのち、ニュージーランドに戻ってくるのだ。ここまで長距離を移動するのは、ハイイロミズナギドリが夏鳥だからである。夏の気候と豊富なエサを求めて大移動するのだ。
ニシオンデンザメという、聞き慣れないサメのことが分かったりもする。このサメ、泳ぐ速度がたった時速1キロなのである。その理由は、尾びれを一回振ってまた元に戻すのに7秒もかかってしまうからである。
そこに、さらに科学的な説明が付け加えられる。尾びれの振りは筋肉の収縮運動で、もっとミクロなスケールで見れば化学反応の組み合わせに駆動された、筋肉繊維のずれなのだ。もとが化学反応なので、温度が上がれば活発になるし、下がれば停滞する。ニシオンデンザメの泳ぐ速度が遅いのは、氷点下の水温で暮らしているために筋肉の収縮速度が低下し、尾びれをゆっくりとしか振れないからなのだ・・・ざっと、こんな感じで話が進んでいく。
動物についての雑学がふんだんに盛り込まれている。科学的であると同時に、楽しい読み物にもなっている。生態学と物理学とを組み合わせ、面白く読めるように仕上げた著者の筆力には感心せざるを得ない。もっとこの著者の文章が読みたくなる、そんな上質の科学読み物である。
最初に出てくるのがハイイロミズナギドリ。ニュージーランドに住む夏鳥である。バイオロギングによれば、この鳥は南北1万キロもの長さのエリアを移動していたのだ。まずニュージーランドから東に飛んで南米の沖に行く。そこから太平洋を北西に飛んで日本近海にたどり着く。それから北東に飛び、アリューシャン列島あたりに行ったのち、ニュージーランドに戻ってくるのだ。ここまで長距離を移動するのは、ハイイロミズナギドリが夏鳥だからである。夏の気候と豊富なエサを求めて大移動するのだ。
ニシオンデンザメという、聞き慣れないサメのことが分かったりもする。このサメ、泳ぐ速度がたった時速1キロなのである。その理由は、尾びれを一回振ってまた元に戻すのに7秒もかかってしまうからである。
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動物についての雑学がふんだんに盛り込まれている。科学的であると同時に、楽しい読み物にもなっている。生態学と物理学とを組み合わせ、面白く読めるように仕上げた著者の筆力には感心せざるを得ない。もっとこの著者の文章が読みたくなる、そんな上質の科学読み物である。
2017年8月11日に日本でレビュー済み
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科目を跨いで最前線を探求していくことの楽しさと興奮がぎっしり詰まっています。細かい数値数式は抜きに、原理原則をとても解りやすくかみ砕いて説明してくれます。単純な物理法則で複雑な生態学を縦断し、推し進めていく面白さ。バイオロギング装置の進化と工夫、物理生理の壁を突き破っていく自然の面白さ、さらには研究を助けてくれた嘘のようなとんでもない幸運!
そうして生物のダイナミックな生活実態そのものに迫っていくうちに、観測基地の人々にまで観察眼が入っていく。おいしいチーズとワイン、フランスパンの食べ方に誘われて(笑)。なにを重視し、何を捨てるか、その選択と自由。「ヒトの野生」という言葉を想起するほどの解放端となっているそのおおいなる疑問は、科目を縦断するバイオロギング手法でいづれ明らかになっていくのでしょう。
実際、ウェアラブル端末を使ってGPSに心拍計や加速度計なども一体化、さらに体重計ともやりとりできる製品が海外では大流行です。医療費が高いからでしょうね。日本でも健康不安を抱えるハイテク好きの間では流行ってます。便器が尿糖尿蛋白潜血などを計測記録してくれるなど、バイオロギングは日常生活にきっちり浸透しつつあります。
そうして得た大量のデータをどう考え、どう使っていくか。その指標のマイルストーンに本書はなると思います。
「”人工”もまた、ヒトの自然」。そんな気持ちで私は読み終えました。
そうして生物のダイナミックな生活実態そのものに迫っていくうちに、観測基地の人々にまで観察眼が入っていく。おいしいチーズとワイン、フランスパンの食べ方に誘われて(笑)。なにを重視し、何を捨てるか、その選択と自由。「ヒトの野生」という言葉を想起するほどの解放端となっているそのおおいなる疑問は、科目を縦断するバイオロギング手法でいづれ明らかになっていくのでしょう。
実際、ウェアラブル端末を使ってGPSに心拍計や加速度計なども一体化、さらに体重計ともやりとりできる製品が海外では大流行です。医療費が高いからでしょうね。日本でも健康不安を抱えるハイテク好きの間では流行ってます。便器が尿糖尿蛋白潜血などを計測記録してくれるなど、バイオロギングは日常生活にきっちり浸透しつつあります。
そうして得た大量のデータをどう考え、どう使っていくか。その指標のマイルストーンに本書はなると思います。
「”人工”もまた、ヒトの自然」。そんな気持ちで私は読み終えました。
2014年8月11日に日本でレビュー済み
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いや〜、驚きました。動物たちの不思議な行動の背景には、こんな事実が存在しているなんて。ペンギンとマンボウは、同じ原理を使って泳いでいる。アホウドリはエネルギー保存の法則を活用し、地球を46日間で一周する、マグロやホホジロザメが速く泳げるのは、体温が高いから、ウェデエルアザラシは、一時間も呼吸を止められる等など、これまで全く解明されていなかった動物たちの生態が「バイオロギング」の手法で解き明かされてゆく。
バイオロギングとは、動物たちの体に、センサーやビデオカメラを取り付けて、データや画像を記録し、生態を調査する手法のこと。そしてそのデータ解析に必要不可欠なものが「物理学」。故に「バイオロギングとは生物学と物理学が、化学反応を起こして出来上がった手法」と述べてよいのです。
職業柄、生物学の専攻者と物理学の専攻者の物の考え方の相違は、よく知っています。(時には、仲さえ悪いこともあるのですから・・・。)でも、この本を読めば、「その融合こそが、人類の発展には欠かせないこと」がよくわかります。
「昨今は、理系離れが進んでいる」ということが聞かれますが、「理科が扱う世界が、どれほど面白いか」を余すことなく教えてくれる名著です。また(我々)文系の人にとっても、難しい方程式など一切出てきませんから、安心です。理科の世界をわかりやすく解説してくれます。
ぜひ手に取って読んでみてほしい本です。(特に高校生にお勧めします。学校の図書館に、ぜひ入れましょう)
バイオロギングとは、動物たちの体に、センサーやビデオカメラを取り付けて、データや画像を記録し、生態を調査する手法のこと。そしてそのデータ解析に必要不可欠なものが「物理学」。故に「バイオロギングとは生物学と物理学が、化学反応を起こして出来上がった手法」と述べてよいのです。
職業柄、生物学の専攻者と物理学の専攻者の物の考え方の相違は、よく知っています。(時には、仲さえ悪いこともあるのですから・・・。)でも、この本を読めば、「その融合こそが、人類の発展には欠かせないこと」がよくわかります。
「昨今は、理系離れが進んでいる」ということが聞かれますが、「理科が扱う世界が、どれほど面白いか」を余すことなく教えてくれる名著です。また(我々)文系の人にとっても、難しい方程式など一切出てきませんから、安心です。理科の世界をわかりやすく解説してくれます。
ぜひ手に取って読んでみてほしい本です。(特に高校生にお勧めします。学校の図書館に、ぜひ入れましょう)
2014年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
バイオロギングという、比較的新しい生物学の手法を用いた調査について、わかりやすくまとめられた一冊だと思う。
「物理の話」と銘打っているものの、いわゆる物理の教科書に出てくるような公式の類いは登場しないし、「生物の運動もある条件下では力学で説明ができる」という、生物学の補助的な役割として物理が登場している程度なので、生き物が好きで、野生の生き物をどうやって調査しているのかに興味があれば、ぜひ読んでみていただきたい。
ただ、残念なのは編集が誤字脱字のチェック程度の仕事しかしていない事。
口語ならまだしも、文章に起こした際に違和感を感じる日本語の使い方であったり、出版時点で既に多摩動物公園には居ないハチドリの話を今現在の話題のように取り上げているところにアカが入っていなかったり、編集はもっと編集としての仕事をするべきだと思った。
「物理の話」と銘打っているものの、いわゆる物理の教科書に出てくるような公式の類いは登場しないし、「生物の運動もある条件下では力学で説明ができる」という、生物学の補助的な役割として物理が登場している程度なので、生き物が好きで、野生の生き物をどうやって調査しているのかに興味があれば、ぜひ読んでみていただきたい。
ただ、残念なのは編集が誤字脱字のチェック程度の仕事しかしていない事。
口語ならまだしも、文章に起こした際に違和感を感じる日本語の使い方であったり、出版時点で既に多摩動物公園には居ないハチドリの話を今現在の話題のように取り上げているところにアカが入っていなかったり、編集はもっと編集としての仕事をするべきだと思った。