本書は、ベルニーニの個々の作品の芸術に関する専門的な解説ではなく、
ベルニーニの人生、ベルニーニの生きたローマの物語である。
まるで、ベルニーニ(生1598~没1680)のところへ、タイムスリップした
ような気分を味わえる。
コロナ禍なので、本書で触れる黒死病も身近に感じられるほど。
この彫像をほりきざんでいる時、ベルニーニの身に何が起こっていたのか、
本書によって知ると、この彫像が、また違って見えてくる。
作品の専門書ではないから、ベルニーニの作品の写真は少なくモノクロである。
ローマの街にあちこち散らばっているベルニーニの彫刻を、
グーグルマップ・ストリートビューで、探してみていると、
ヴァーチャルなローマ歩きから抜けられなくなってしまう。
それで、本書を読み進めることが遅くなってしまうのだ。
本書のうたい文句、
「バロック・ローマの芸術のなかで、激烈な気性を持ち、反社会的、いや犯罪的
とさえ言える行動に身を任せたのはカラヴァッジョだけではない。
読者よ、ご用心を。」
「カラヴァッジョ・だ・け・で・は・な・い。」だ。
カラヴァッジョより大人しいくらい。
むしろ、グーグルマップストリートビューで、ローマをうろうろしていると、
本書を読み進められなくなることが、私にとって用心すべきところであった。
巻末の索引は、読書中、便利であったし、原注、参考文献も丁寧でよかった。
目次は次の通りです。
序文――――初めて英語で書かれたベルニーニの伝記
謝辞
バロック・ローマにおける貨幣価値、賃金、生活費
略記
第一章 ナポリ生まれの神童
懐妊した十二歳の花嫁
この伝記の資料について記すために一息いれよう
「悪魔の棲む楽園」での幼年時代
一六〇六年、ローマへの移住
少年ベルニーニに魅せられる
「頼むから、本音を隠してくれたまえ」
成人したベルニーニ
「シピオーネ枢機卿のあそこが、欲しいものを手に入れてなぜ悪い?」
優しさと真実と
歓喜するベルニーニ
第二章 至高のインプレサリオ
美髭のウルバヌス
「彼の時代のミケランジェロ」
火は決して制御しやすいものではない
「蛮族(バルバリ)がなしえなかったことを、バルベリーニがやってのけた」
「クーポラが落ちる!」
一族の長
死との遭遇
愛人の顔を切りつけさせたベルニーニ
ベルニーニが花嫁を娶る
「偽物を本物に見せる」
イングランドにまで伝わった名声
誰がために鐘は鳴るのか、それとも鳴らないのか
第三章 ベルニーニの苦悩と恍惚
「かくも粗野で見苦しい教皇」
ベルニーニは沈み、聖テレジアは浮揚する
「力を失ったばかりでなく、自分を卑しめて」
「何か途方もないものに心を動かされない限り」
ラ・ピンパッチャが救いの神となる
臆病そうな公爵の英雄的な胸像
教皇の遺骸は腐敗するまま放置される
第四章 ベルニーニと教皇アレクサンデル七世
教皇と建築家というドリーム・チーム
「皆の噂によると、彼女は両性具有者だそうだ」
またも襲った黒死病
イエズス会の宝石
ベルニーニとボッロミーニのライバル関係の最終章
第五章 ルイ十四世の宮廷におけるローマの芸術家
国際政治の駒として翻弄されるベルニーニ
椅子駕籠に乗せられてアルプスを越える
「小さい話などしないでいただきたい!」
すすり泣くベルニーニ
「あいつは疫病に襲われるがいい!」
長く、厄介な余波
第六章 「我が名声は衰えてゆくだろう」
しばしの安堵の溜息
カサ・ベルニーニに対する投石
彫像の蔭のソドミー
「すべての方向に毒を吐く龍」
クリスティーナ女王が窮余の策に一役買う
ときおりの称賛
「あの乳房を覆え!」
「クーポラが(またもや)落ちる!」
華々しくはなく、消え入るように
訳者あとがき
参考文献
原注
索引
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ベルニーニ その人生と彼のローマ 単行本 – 2016/12/17
フランコ・マルモンド
(著),
吾妻 靖子
(翻訳)
購入を強化する
多くの優れた彫刻と建築物を生み出したベルニーニは、ローマが生んだバロック芸術の代表的な巨匠である。 ベルニーニについて書かれた本はあるが、作品を年代順に解説して時代背景を簡単に添えるにとどまり、ベルニーニそのものにはほとんど関心を払っていない。あるいは理想化され、個性を奪われたベルニーニ像を伝えようとしている。それゆえ、その作品の持つ影響力と人気にもかかわらす、人間としてのベルニーニを知る人は少ない。さらに、自己防衛に長けていたベルニーニが自分の意見や個人的な生活に関する記録を残さなかったことも、その一因である。 本書の主要な目的は、「ベルニーニその人」、つまり検閲を経ない、血と肉を備えた人間を描くことではあるが、彼の職業生活における画期的な事件や家族の歴史についてもページを割いている。また、ベルニーニだけでなく、十七世紀のローマ人の生活に、間接的であっても影響を与えた大きな出来事や社会問題、人物についても言及している。教皇ウルバヌス八世が述べた有名な言葉「ベルニーニはローマのために作られ、ローマはベルニーニのために作られた」の通り、ベルニーニの生涯は、彼の愛したローマという都市と密接に関わっていた。したがってこの伝記は、ベルニーニという芸術家の伝記であるばかりでなく、十七世紀のローマの肖像でもある。 読者は、その人生が、スキャンダル、陰謀、そしてさまざまな人間関係のドラマに溢れた、常に愛すべきとは言えなくても、実に興味深い人物について多くを知ることができるだろう。「バロック・ローマの芸術家のなかで、激烈な気性を持ち、反社会的、いや犯罪的とさえ言える行動に身を任せたのはカラヴァッジョだけではない。読者よ、ご用心を」。
- 本の長さ529ページ
- 言語日本語
- 出版社株式会社 一灯舎
- 発売日2016/12/17
- 寸法19.4 x 13.4 x 4 cm
- ISBN-104907600445
- ISBN-13978-4907600440
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
多くの優れた彫刻と建築物を生み出したベルニーニは、ローマが生んだバロック芸術の代表的な巨匠である。ベルニーニについて書かれた本はあるが、ベルニーニそのものにはほとんど関心を払っていない。本書の主要な目的は、「ベルニーニその人」、つまり検閲を経ない、血と肉を備えた人間を描くことではあるが、彼の職業生活における画期的な事件や家族の歴史についてもページを割いている。また、ベルニーニだけでなく、十七世紀のローマ人の生活に、間接的であっても影響を与えた大きな出来事や社会問題、人物についても言及している。教皇ウルバヌス八世が述べた有名な言葉「ベルニーニはローマのために作られ、ローマはベルニーニのために作られた」の通り、ベルニーニの生涯は、彼の愛したローマという都市と密接に関わっていた。したがってこの伝記は、ベルニーニという芸術家の伝記であるばかりでなく、十七世紀のローマの肖像でもある。読者は、その人生が、スキャンダル、陰謀、そしてさまざまな人間関係のドラマに溢れた、常に愛すべきとは言えなくても、実に興味深い人物について多くを知ることができるだろう。
著者について
フランコ・モルマンドは現在,アメリカのマサチューセッツ州にあるボストンカレッジでイタリア語学科教授を務めている.カラヴァッジョやシエナの聖ベルナルディーノ,イエズス会に関する研究でも知られ,2005 年にはイタリア文化に関する研究の功績によってイタリア政府から「カヴァリエーレ」の称号を与えられた.また,末息子ドメニコによる父ベルニーニの伝記の英訳を2011 年に刊行した.
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
モルマンド,フランコ
現在、アメリカのマサチューセッツ州にあるボストンカレッジでイタリア語学科教授を務めている。カラヴァッジョやシエナの聖ベルナルディーノ、イエズス会に関する研究でも知られ、2005年にはイタリア文化に関する研究の功績によってイタリア政府から「カヴァリエーレ」の称号を与えられた
吾妻/靖子
北海道大学法学部卒業、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
現在、アメリカのマサチューセッツ州にあるボストンカレッジでイタリア語学科教授を務めている。カラヴァッジョやシエナの聖ベルナルディーノ、イエズス会に関する研究でも知られ、2005年にはイタリア文化に関する研究の功績によってイタリア政府から「カヴァリエーレ」の称号を与えられた
吾妻/靖子
北海道大学法学部卒業、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 株式会社 一灯舎; 第1版 (2016/12/17)
- 発売日 : 2016/12/17
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 529ページ
- ISBN-10 : 4907600445
- ISBN-13 : 978-4907600440
- 寸法 : 19.4 x 13.4 x 4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 474,256位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 238位建築家・様式
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2020年9月10日に日本でレビュー済み
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2017年7月13日に日本でレビュー済み
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本書は「バロックの帝王」ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598~1680)の生涯と彼の生きたローマを新しい資料に基づき詳述した伝記。
10代から教皇や有力な枢機卿に重用され、81歳で亡くなるまで8人の教皇に仕えた彼は
「美術史上稀に見る天才」として彫刻・建築に有り余る才能を発揮し、祝祭の演出から自ら脚本を書いた劇の上演まで手がけた。
対抗宗教改革時代のローマの権力争い、個性豊かな教皇たち、アッヴィーゾ(当時の新聞)、
黒死病の蔓延やガリレオの迫害に代表される自由な言論の圧殺、抑圧された女性たち、
華やかな演劇、犯罪やスキャンダルなどの記述が面白いし、
ライバルたち(代表的なのはボッロミーニ)、イエズス会、クリスティナ女王やルイ14世など
驚くようなエピソードが次々に登場する上に
逆境に置かれたときの彼が《聖テレジアの法悦》《四大河の噴水》のような
傑作を卓越した創造力と精神力で生み出す過程もなるほどと思いつつ読んだ。
カトリック教会の威光を輝かせるのに大きな功績を残した天才が
ローマ教皇庁の凋落と歩みを合わせるかのように、生涯を静かに閉じるラストには深い感慨を覚えてしまった。
図版は全部で43枚。
《アポロとダフネ》などの傑作彫刻、胸像(ボルゲーゼ枢機卿、ルイ14世など)、
青年期から老齢に至るベルニーニの7枚の肖像、有名なカリカチュア、ベルニーニ一族の墓などの写真が収められている。欲を言えば≪フランチェスコ・デステの胸像》などあまり知られていないベルニーニの彫刻の図版がもっとあれば良かったと思うし、バルダッキーノやカテドラ・ペトリ、サンピエトロ広場の列柱廊の図版もないのが残念。インターネットやほかの著書で見られるのでそちらを参照するのがお勧め。
10代から教皇や有力な枢機卿に重用され、81歳で亡くなるまで8人の教皇に仕えた彼は
「美術史上稀に見る天才」として彫刻・建築に有り余る才能を発揮し、祝祭の演出から自ら脚本を書いた劇の上演まで手がけた。
対抗宗教改革時代のローマの権力争い、個性豊かな教皇たち、アッヴィーゾ(当時の新聞)、
黒死病の蔓延やガリレオの迫害に代表される自由な言論の圧殺、抑圧された女性たち、
華やかな演劇、犯罪やスキャンダルなどの記述が面白いし、
ライバルたち(代表的なのはボッロミーニ)、イエズス会、クリスティナ女王やルイ14世など
驚くようなエピソードが次々に登場する上に
逆境に置かれたときの彼が《聖テレジアの法悦》《四大河の噴水》のような
傑作を卓越した創造力と精神力で生み出す過程もなるほどと思いつつ読んだ。
カトリック教会の威光を輝かせるのに大きな功績を残した天才が
ローマ教皇庁の凋落と歩みを合わせるかのように、生涯を静かに閉じるラストには深い感慨を覚えてしまった。
図版は全部で43枚。
《アポロとダフネ》などの傑作彫刻、胸像(ボルゲーゼ枢機卿、ルイ14世など)、
青年期から老齢に至るベルニーニの7枚の肖像、有名なカリカチュア、ベルニーニ一族の墓などの写真が収められている。欲を言えば≪フランチェスコ・デステの胸像》などあまり知られていないベルニーニの彫刻の図版がもっとあれば良かったと思うし、バルダッキーノやカテドラ・ペトリ、サンピエトロ広場の列柱廊の図版もないのが残念。インターネットやほかの著書で見られるのでそちらを参照するのがお勧め。
2017年5月21日に日本でレビュー済み
日本語で読めるベルニーニの書籍は石鍋真澄氏の著作しかありませんでした。
が、この本で漸く他の方の視線からベルニーニを知ることができます。
外国の方が書いただけあって、ベルニーニのスキャンダルな箇所(石鍋氏の著作にももちろん書いてあったけど)がが詳しくかいてあり、電車の中で読んでいて思わず驚き、著作を落としてしまったほど。(各自その箇所は探してください)
ベルニーニの歴史はローマ教皇庁の歴史。
ベルニーニに興味がなくてもバチカンの歴史に興味がある人は必読書。
が、この本で漸く他の方の視線からベルニーニを知ることができます。
外国の方が書いただけあって、ベルニーニのスキャンダルな箇所(石鍋氏の著作にももちろん書いてあったけど)がが詳しくかいてあり、電車の中で読んでいて思わず驚き、著作を落としてしまったほど。(各自その箇所は探してください)
ベルニーニの歴史はローマ教皇庁の歴史。
ベルニーニに興味がなくてもバチカンの歴史に興味がある人は必読書。


