コンピュータプログラミングを行ったことのある人なら誰もが身に覚えのある「落とし穴」「苦悩」をいかにしてあらかじめ回避するか、また実際に開発中のプログラムがあれば、いかにして泥沼状態から脱出して、クールなプログラムに仕上げるか、そのヒントと実践に満ちた書である。
本書は、全プログラマーの座右の書となるべき本である。C、C++、JAVAで記述された実例集は大いに役立つし、また本書で学ぶ「作法」は、C、C++、JAVA言語に限らず有用である。
第1章の「スタイル」からして、「関数マクロはなるべく使うな」「悪いコードにコメントをつけるな、書き直せ」など、もっともな指摘とTipsが登場し、うれしくなる。第4章「インターフェース」は他者向けプログラミングで商売する人には必読。それが顧客をつかむことになるからだ。第5章「デバッグ」第6章「テスト」は多くのプログラマーにとっての福音だ。ドラッグ状態から正常な生活に早急に戻る処方箋と考えていい。第8章の「移植性」に関しては、ここで述べられている「理想」にまで配慮できるプロがどれくらいいるのだろうか?と思うほどの内容である。
ベンダープログラムに限らず、移植性の壁に立ち往生する哀れな犠牲者から時間を奪わないためにも、ここに記されたジェントルな姿勢は極めて有益だ。全編にわたりコンピュータプログラミング発祥の地であるアメリカのプロの伝統と良心を見る。
巻末のルール集は、プログラミングをする人すべてがコピーして机上に備えておきたいエッセンスに満ちている。本格的プログラミングを始める大学生必読の書といっても言い過ぎではない。(澤田哲生)
カーニハンとパイクによるプログラミング解説書の決定版!プログラミングをする際に出会うさまざまな問題について、実例コードを示して実践的にアドバイス。C/C++/Java等で記述された現実のコードも多数掲載。
内容(「MARC」データベースより)
アルゴリズムやデータ構造から設計、デバッグ、テスト、性能改善の話題にいたるまで、さまざまな言語を使ってコンピュータプログラミングについて実例コードを示して実践的に解説する。
著者について
Brian W. Kernighan: Lucent Technologies社ベル研究所の計算機科学研究センターに所属。Addison-Wesley社のProfessional Computingシリーズの顧問を務める。
Rob Pike: Lucent Technologies社ベル研究所の計算機科学研究センターに所属。オペレーティングシステムPlan9とInfernoの開発で設計/実装リーダーを務めた。研究の中心テーマはソフトウェアをもっと簡単に書けるようにするためのソフトウェア。
福崎俊博(ふくざき としひろ): 1958年1月生まれ、早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1970年代後半よりコンピュータに興味を持ち、独学でアセンブラ、Pascal、Cによるプログラミングに手を染める。1985年頃よりフリーランスのライター/翻訳者として活動。興味のある分野はオペレーティングシステム、言語、Unixツール。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
カーニハン,ブライアン W.
Lucent Technologies社ベル研究所の計算機科学研究センターに所属。Addison-Wesley社のProfessional Computingシリーズの顧問を務める。Dennis Ritchieとの共著に『プログミング言語C』がある
パイク,ロブ
Lucent Technologies社ベル研究所の計算機科学研究センターに所属。オペレーティングシステムPlan9とInfernoの開発で設計・実装リーダーを務めた。研究の中心テーマはソフトウェアをもっと簡単に書けるようにするためのソフトウェア(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)