昔は同時上映というシステムがあった。特に地方都市では主流だったと思うが、時間のたっぷりある若者にはいい暇つぶしにもなったので、僕はわりと2本立ての興行は好きだった。ときにはお目当ての作品よりも同時上映の方が良かった、なんていうこともあった。で、高校生のころ『トップガン』を観に行ったときに併映作品として出会ったのが、本作『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(86)だった。
まいった。とても面白かった。ガンガンお金をかけなくても良い映画は作れるのだな、と感心した。個性的な女の子のシンデレラストーリーという物語はありきたりかもしれないが、でもそのありきたりをありきたりではなくするための知恵や工夫がいっぱい詰まっている。脚本を担当した人物の名は、ジョン・ヒューズ(1950 - 2009)。本作でその名前をインプットした僕は、彼のかかわった作品をその後ビデオや映画館で追っかけ続けた。
『ブレックファスト・クラブ』(85)、『フェリスはある朝突然に』(86)、『恋しくて』(87)、『結婚の条件』(88)、どれもこれも良かった。その後ジョン・ヒューズはコメディやアットホームな家族映画の路線に傾いていき、青春映画は作らなくなるが、先ほど挙げた小粒だが良質のフィルモグラフィーは、約30年の時を経ても輝きを失っていない。そしてその中でも最もポップでキュートなのが、本作『プリティ・イン・ピンク』だと思う。
主演はモリー・リングウォルド。日本でいうと大竹しのぶタイプの女優で、モッサリ感と可愛さが同居した、ちょっととらえどころのなさが魅力かもしれない。恋するお坊っちゃま役にはアンドリュー・マッカーシー。目を見張ったり、パッと笑ったり、ペロリと舌を出したりする芝居がトレードマークで、恥を承知で告白すると、当時僕もそんな仕草を真似てみたものである。そして本作で一番オイシイ男友達役を演じるのは、ジョン・クライヤー。さらに脇を固めるハリー・ディーン・スタントン、アニー・ポッツもいい味を出してる。このように理想的なキャストを得たことも、本作が成功した理由だろう。
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