『ブラック部活動』というタイトルを見た時には「部活動が有害だから廃止すべきだ!」という主張が書かれているのだと思った。
しかし本書は「部活動には素晴らしい価値があるからこそ、どうしたら持続可能なものにできるか」という主張で一貫している。
「部活動の持続可能な運営」というのは文科省の方針に沿ったもので、この本では、そのための具体的な検討が展開されている。
検討のための情報が平易な言葉とグラフでわかりやすく整理されている。
また、課題を指摘するだけでなく、将来の展望まで具体的に記載されている点には感心した。
あえて不満な点を挙げるとすれば
「もっと先のことまで検討する必要があるのでは?」
「検討課題はもっとあるはずなのに、十分に網羅されていない」というところ。
本書は冷静な筆致で書かれており、部活動が楽しい人・苦しい人、どちらの立場の人も一読して不愉快にならないように配慮されている。
部活動に関わりのある人にとっては、有益な情報が多く詰まっている。
誰がどの立場で、いつ加害者・被害者にならないとも限らないからだ。
本書が類書と大きく異なるのは以下2点。
1.運動部だけでなく文化部も含めて部活動全体について検討している点
2.部活動の将来の展望を提示している点
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ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う 単行本 – 2017/7/31
購入を強化する
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メディア掲載レビューほか
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「部活動」の問題点を解き明かし、社会問題化への火付け役となった本書、刊行1ヶ月で3刷!
「内田氏は部活問題や組体操問題など、日本の教育現場で起きている様々な現象について疑問を投げかけ続けてきた。根拠と発信で社会は動くのだということを態度で示している実践者である。……誤解してはならない。部活そのものを否定しているのではなく、部活のブラック化を防ぎ、みんながより幸福になれる道を探ることが重要だということだ」
(荻上チキ氏評、「朝日新聞」 掲載書評より)
○NHK ニュース深読み「キツい・長い・休めない? "ブラック化"する部活動」
○東京MXTV:「田村淳の訊きたい放題 ブラック部活動から学校の問題点を考えよう! 」
○session-22 「夏休みの今こそ考えたい、ブラック部活問題! 」
○BuzzFeed Japan「『楽しいから、やめられない』ブラックすぎる部活動がなくならない理由」
○Synodos:「今、『部活がつらい』という声を出せるようになってきた――過熱する部活動から子ども・先生を救うには?」
○プレジデント・オンライン:「連載 ブラック部活動」
その他、刊行から1ヶ月で、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、ウェブ…30以上ものメディアからの取材殺到!
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内容紹介
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部活動には素晴らしい価値がある。
だからこそ、加熱しすぎている現状を改善し、本来あるべき姿へと戻さなければならない。
教員や生徒の側に立った温かさに多くの読者の共感を得る。
○顧問は自主的なサービス残業、かつ実質強制。しかも半数は競技の素人
○自主的・自発的な活動のはずなのに生徒は強制参加。「内申に響く」と囁かれることも
○練習なら学校の廊下を走っても許される? それは部活動が「グレーゾーン」だから
○データが示す部活動の活動時間・教員の負担増。先生達に頼るのはもう限界
○週3日2時間ずつでも十分! 自主的・自発的に楽しめる部活動の未来展望図とは
○過熱を避け、「生涯を通してスポーツ・文化に取り組める」ための部活動へ
多くの人が慣れ親しんできた部活動。「部活動を通した成長」「集団生活の規律の向上」「友だちとの絆、深い結びつき」など、教育的な文脈で語られ、その意義は繰り返し強調されてきた。
しかし、統計データや教師の声を繙いていくと、その裏に大きな矛盾や教員の負担が覆い隠されていることが明らかになる。
教育課程外の活動である部活動は、本来教員の業務ではない。にもかかわらず、「教師が部活顧問をするのは当然」と見なされ、強制的に割り振る学校が大半。早朝から夜まで、土日も休まず活動する部活動は多い。
また、自主的な活動である部活動への「全員加入」を強制する自治体・学校も少なくない。
「教育」「子どものため」という題目の裏で何が起きているのか。統計データや子ども・教師の声の解釈から、部活動のリアルと、部活動を取り巻く社会の構造が見えてくる。
そこから明らかになるのは、子ども・先生が疲弊しきる「ブラック部活動」が、多くの学校で行われているという事実である。このような部活動のあり方では、遠くない将来、学校が立ち行かなくなってしまう。
本書のねらいは、部活動を全廃することにはない。双方がほんとうに自発的で、過度の負担のない部活動へ向かうことが目的である。そのためには、現状をエビデンスに基づいて正しく見通し、悩み苦しむ子どもや先生の声に耳を傾けることで、あるべき部活動の姿を探っていくほかない。
教育関係者、保護者に限らず、教育・スポーツ・文化活動に興味のある人は必読の1冊。
メディア掲載レビューほか
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「部活動」の問題点を解き明かし、社会問題化への火付け役となった本書、刊行1ヶ月で3刷!
「内田氏は部活問題や組体操問題など、日本の教育現場で起きている様々な現象について疑問を投げかけ続けてきた。根拠と発信で社会は動くのだということを態度で示している実践者である。……誤解してはならない。部活そのものを否定しているのではなく、部活のブラック化を防ぎ、みんながより幸福になれる道を探ることが重要だということだ」
(荻上チキ氏評、「朝日新聞」 掲載書評より)
○NHK ニュース深読み「キツい・長い・休めない? "ブラック化"する部活動」
○東京MXTV:「田村淳の訊きたい放題 ブラック部活動から学校の問題点を考えよう! 」
○session-22 「夏休みの今こそ考えたい、ブラック部活問題! 」
○BuzzFeed Japan「『楽しいから、やめられない』ブラックすぎる部活動がなくならない理由」
○Synodos:「今、『部活がつらい』という声を出せるようになってきた――過熱する部活動から子ども・先生を救うには?」
○プレジデント・オンライン:「連載 ブラック部活動」
その他、刊行から1ヶ月で、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、ウェブ…30以上ものメディアからの取材殺到!
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内容紹介
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部活動には素晴らしい価値がある。
だからこそ、加熱しすぎている現状を改善し、本来あるべき姿へと戻さなければならない。
教員や生徒の側に立った温かさに多くの読者の共感を得る。
○顧問は自主的なサービス残業、かつ実質強制。しかも半数は競技の素人
○自主的・自発的な活動のはずなのに生徒は強制参加。「内申に響く」と囁かれることも
○練習なら学校の廊下を走っても許される? それは部活動が「グレーゾーン」だから
○データが示す部活動の活動時間・教員の負担増。先生達に頼るのはもう限界
○週3日2時間ずつでも十分! 自主的・自発的に楽しめる部活動の未来展望図とは
○過熱を避け、「生涯を通してスポーツ・文化に取り組める」ための部活動へ
多くの人が慣れ親しんできた部活動。「部活動を通した成長」「集団生活の規律の向上」「友だちとの絆、深い結びつき」など、教育的な文脈で語られ、その意義は繰り返し強調されてきた。
しかし、統計データや教師の声を繙いていくと、その裏に大きな矛盾や教員の負担が覆い隠されていることが明らかになる。
教育課程外の活動である部活動は、本来教員の業務ではない。にもかかわらず、「教師が部活顧問をするのは当然」と見なされ、強制的に割り振る学校が大半。早朝から夜まで、土日も休まず活動する部活動は多い。
また、自主的な活動である部活動への「全員加入」を強制する自治体・学校も少なくない。
「教育」「子どものため」という題目の裏で何が起きているのか。統計データや子ども・教師の声の解釈から、部活動のリアルと、部活動を取り巻く社会の構造が見えてくる。
そこから明らかになるのは、子ども・先生が疲弊しきる「ブラック部活動」が、多くの学校で行われているという事実である。このような部活動のあり方では、遠くない将来、学校が立ち行かなくなってしまう。
本書のねらいは、部活動を全廃することにはない。双方がほんとうに自発的で、過度の負担のない部活動へ向かうことが目的である。そのためには、現状をエビデンスに基づいて正しく見通し、悩み苦しむ子どもや先生の声に耳を傾けることで、あるべき部活動の姿を探っていくほかない。
教育関係者、保護者に限らず、教育・スポーツ・文化活動に興味のある人は必読の1冊。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋館出版社
- 発売日2017/7/31
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104491033331
- ISBN-13978-4491033334
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商品の説明
出版社からのコメント
部活動問題を世に広く問い、一大議論を巻き起こしている著者が、数年間のエビデンス分析から部活動に潜む矛盾と社会構造を鋭く示す。
内容(「BOOK」データベースより)
「自主的、自発的な参加」に基づく、教育課程外の制度である部活動。しかし、生徒の全員加入が強制され、土日も行うケースは珍しくない。教師も全員顧問制が敷かれ、サービス残業で従事する学校は多い。エビデンスで見る部活動のリアルとは?強制と過熱化から脱却するためには?部活動問題の第一人者、渾身の一冊!週に3日2時間!土日は禁止!「ゆとり部活動」のすすめ。
著者について
内田 良[著]
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。専門は教育社会学。日本教育社会学会理事、日本子ども安全学会理事。
スポーツ事故、組体操事故、転落事故、「体罰」、自殺、2分の1成人式などの「学校リスク」について広く情報発信している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。
運営サイトに、「学校リスク研究所」「部活動リスク研究所」がある。また、最新情報をYahoo! ニュース「リスク・リポート」で発信。
著書に『教育という病』(光文社、2015)、『柔道事故』(河出書房新社、2013)、『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、2009。日本教育社会学会奨励賞受賞)などがある。
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。専門は教育社会学。日本教育社会学会理事、日本子ども安全学会理事。
スポーツ事故、組体操事故、転落事故、「体罰」、自殺、2分の1成人式などの「学校リスク」について広く情報発信している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。
運営サイトに、「学校リスク研究所」「部活動リスク研究所」がある。また、最新情報をYahoo! ニュース「リスク・リポート」で発信。
著書に『教育という病』(光文社、2015)、『柔道事故』(河出書房新社、2013)、『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、2009。日本教育社会学会奨励賞受賞)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
内田/良
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。専門は教育社会学。日本教育社会学会理事、日本子ども安全学会理事。スポーツ事故、組み体操事故、転落事故、「体罰」、自殺、2分の1成人式などの「学校リスク」について広く情報発信し、問題の火付け役としても貢献している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。著書に『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、2009。日本教育社会学会奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。博士(教育学)。専門は教育社会学。日本教育社会学会理事、日本子ども安全学会理事。スポーツ事故、組み体操事故、転落事故、「体罰」、自殺、2分の1成人式などの「学校リスク」について広く情報発信し、問題の火付け役としても貢献している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。著書に『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、2009。日本教育社会学会奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 東洋館出版社 (2017/7/31)
- 発売日 : 2017/7/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4491033331
- ISBN-13 : 978-4491033334
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 22,660位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 74位学校教育一般関連書籍
- - 1,254位教育学一般関連書籍
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2017年7月29日に日本でレビュー済み
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66人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年3月10日に日本でレビュー済み
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部活動をめぐるさまざまな問題点が網羅されている。
この本を読む人は学校関係者が多いだろう。教師はこの本に共感をするだろうが、教師以外の人は、この本の内容に納得する人もいれば、そうではない人もいるだろう。ブラック労働は日本に蔓延しており、「自分の方が長時間労働をしている」、「教師はまだマシだ」だ」と言う人も多いだろう。学校の中でも外でも、会社でも役所でも、どこでも無法状態が蔓延している。
学校の部活動は無法状態にある。学校に法律を持ち込むことが嫌われ、戦前からの慣習によって学校が運営されている。イジメを隠すのが当たり前で、国民にバレれば謝罪すればすむ。役所の中も無法状態にあり、戦前から公文書を国民に隠してきたのであって、法律が変わっても役所のこのやり方は変わらなかった。会社の中でも法律は排除され、不正が国民にバレるまで続くのは戦前からのこと。最近は国民にバレることが増えた。
現在の学校の部活動によって保護者や国民は利益を得ており、部活だけを問題にしてもの反発する国民が多いのではないか。教師の労働時間と保護者の利益の対立という構図では、部活動の問題の解決に国民の納得を得にくい。教師のサービス労働を無くすることが、国民全体の労働規制につながり、全国民の「幸福」につながるのでなければならない。教師が幸福になることが、教師以外の職種の幸福につながるという視点。先進国で当たり前の40時間労働制を日本でも強制すれば、教師を含めて全国民の野放しの残業がなくなる。
40時間労働制を強制すれば日本の経済を損なうと言う人がいるが、そんなことはない。ドイツ、スイス、北欧などは労働時間が短いが日本よりも生産性が高い。欧米では、教師の労働時間が短いが日本よりも生徒の学力のある国は多い。フィンランドの小学校の教師は午後2時には仕事が終わり、後は自宅で授業の研究に時間を使うようだ。日本以外の国は学校の部活がなくてもオリンピックで日本以上にメダルをとっている。日本はあらゆる面で生産性が低い。この点の舛添前東京都知事の指摘は正しい。7か国語をマスターした彼は欧米の状況に詳しかった。
日本のように野放しの残業を認めれば、10分でできることを1時間かけてするようになり、効率と生産性が悪くなるのは当たり前。日本の学校、役所、企業は非効率の塊。10分ですむ会議が、時間制限がなければ何時間でもかける。時間がタダだから。かつてインドでも時間はタダだった。残業規制がなければ、どうでもよい会議や報告書が「必要性」の名のもとに日常化する。「必要」という名のもとに無制限に行動すれば、誰でも過労死し、家庭と国家は破産する。「制限」がなければ、生物は生存できない。学校に限らず、役所や企業で労働時間の制限がなければ、無駄な管理業務が際限なく増える。
人件費を払わなくてよく、しかも、時間の制限がなければ、誰でもサービスに無限の時間をかけてもらいたいと考える。教師の労働時間の制限がなければ、保護者はいくらでも家庭内の相談を学校にも持ち込むだろう。教師が保護者からの相談を受けるとしても、午後5時を過ぎたらそれができなくなることを保護者が常識だと考える社会のシステムが必要である。午後5時を過ぎたら学校では会議ができず、校長がそれに違反すれば処分される社会(欧米はだいたいそんなイメージ)。このことは、企業でも5時になったら全員が帰宅するのが当たり前の社会を意味する(ドイツではだいたい午後3時に仕事が終わる。ドイツ閉店法により、土、日は店舗は営業禁止。子供の宿題禁止)。ヨーロッパでは社員に有給休暇を取得させない管理職は「無能」と評価され、昇進できない。
後進国では時間はタダだが、先進国では時間が価値を持ち、時間のあることが幸福の量に比例するという哲学がある。日本は「時間」の管理については、後進国である。
この本を読む人は学校関係者が多いだろう。教師はこの本に共感をするだろうが、教師以外の人は、この本の内容に納得する人もいれば、そうではない人もいるだろう。ブラック労働は日本に蔓延しており、「自分の方が長時間労働をしている」、「教師はまだマシだ」だ」と言う人も多いだろう。学校の中でも外でも、会社でも役所でも、どこでも無法状態が蔓延している。
学校の部活動は無法状態にある。学校に法律を持ち込むことが嫌われ、戦前からの慣習によって学校が運営されている。イジメを隠すのが当たり前で、国民にバレれば謝罪すればすむ。役所の中も無法状態にあり、戦前から公文書を国民に隠してきたのであって、法律が変わっても役所のこのやり方は変わらなかった。会社の中でも法律は排除され、不正が国民にバレるまで続くのは戦前からのこと。最近は国民にバレることが増えた。
現在の学校の部活動によって保護者や国民は利益を得ており、部活だけを問題にしてもの反発する国民が多いのではないか。教師の労働時間と保護者の利益の対立という構図では、部活動の問題の解決に国民の納得を得にくい。教師のサービス労働を無くすることが、国民全体の労働規制につながり、全国民の「幸福」につながるのでなければならない。教師が幸福になることが、教師以外の職種の幸福につながるという視点。先進国で当たり前の40時間労働制を日本でも強制すれば、教師を含めて全国民の野放しの残業がなくなる。
40時間労働制を強制すれば日本の経済を損なうと言う人がいるが、そんなことはない。ドイツ、スイス、北欧などは労働時間が短いが日本よりも生産性が高い。欧米では、教師の労働時間が短いが日本よりも生徒の学力のある国は多い。フィンランドの小学校の教師は午後2時には仕事が終わり、後は自宅で授業の研究に時間を使うようだ。日本以外の国は学校の部活がなくてもオリンピックで日本以上にメダルをとっている。日本はあらゆる面で生産性が低い。この点の舛添前東京都知事の指摘は正しい。7か国語をマスターした彼は欧米の状況に詳しかった。
日本のように野放しの残業を認めれば、10分でできることを1時間かけてするようになり、効率と生産性が悪くなるのは当たり前。日本の学校、役所、企業は非効率の塊。10分ですむ会議が、時間制限がなければ何時間でもかける。時間がタダだから。かつてインドでも時間はタダだった。残業規制がなければ、どうでもよい会議や報告書が「必要性」の名のもとに日常化する。「必要」という名のもとに無制限に行動すれば、誰でも過労死し、家庭と国家は破産する。「制限」がなければ、生物は生存できない。学校に限らず、役所や企業で労働時間の制限がなければ、無駄な管理業務が際限なく増える。
人件費を払わなくてよく、しかも、時間の制限がなければ、誰でもサービスに無限の時間をかけてもらいたいと考える。教師の労働時間の制限がなければ、保護者はいくらでも家庭内の相談を学校にも持ち込むだろう。教師が保護者からの相談を受けるとしても、午後5時を過ぎたらそれができなくなることを保護者が常識だと考える社会のシステムが必要である。午後5時を過ぎたら学校では会議ができず、校長がそれに違反すれば処分される社会(欧米はだいたいそんなイメージ)。このことは、企業でも5時になったら全員が帰宅するのが当たり前の社会を意味する(ドイツではだいたい午後3時に仕事が終わる。ドイツ閉店法により、土、日は店舗は営業禁止。子供の宿題禁止)。ヨーロッパでは社員に有給休暇を取得させない管理職は「無能」と評価され、昇進できない。
後進国では時間はタダだが、先進国では時間が価値を持ち、時間のあることが幸福の量に比例するという哲学がある。日本は「時間」の管理については、後進国である。
2017年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多くの日本人が「中学生になったら部活に取り組むもの」と思い込まされてきた。そして「教師は顧問として部活を担当するものだ」と思い込んできた。何より、まず私たちが「部活動とはそもそも何か」を知らないことに気づくべきなのだ。教育課程外であること・生徒は部活に参加しなくてもよいこと・教師は部活顧問をしなくてもよいことについて。内田氏は教育学的知見と教師・保護者・生徒の声をもとに学校教育のリスクに警鐘を鳴らし続けている。そして、この行き過ぎた部活動の問題は今はじまったことではないことに気づかされる。さらに、生徒は部員同士の、教師は教師同士の同調圧力に巻き込まれていく。一部の教師・生徒・保護者による過熱は、楽しいからこそハマることにも気づかされる。部活動をめぐる問題に本気で向き合うことができた良書であった。
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
「生徒と先生の両者の苦しみに目を向けるところから、部活動の改革について丁寧に(p.10)」考える。部活動の肯定面も認めつつ、現状の問題点やその原因を分析し、将来への提言を行う。
「できる限りエビデンスをもとに(p.12)」論じる姿勢、「部活動は、①制度上『グレーゾーン』に位置している……②『自主的な活動』であり、自主的なのに強制され、自主的だから過熱している……③『評価』の対象とされた……④『居場所』の論理と『競争』の論理の両面から検討されるべき(p.13)」という4つの視座が最初に提示され、それに基づいて本書全体が構成されている。
そして著者の改革案は、「『居場所』の論理を拠り所にした部活動の『総量規制』(p.207)」、具体的には「活動日の上限を週に3日まで(p.213)」とすることと、「全国大会への不参加ならびに参加大会の精選(p.213)」となる。
不満は、著者も認める通り「高校の部活動への言及が不十分(p.252)」なこと。
「部活動に力を入れる→生徒が試合に勝つ→生徒さらには保護者からの信頼も得られる→さらに部活動に力を入れる→……こうした流れにより部活動の過熱に歯止めがかからなくなっていく(p.39)」という叙述や、それを含む節の「部活は麻薬(p.37)」というタイトルに頷かされる。それゆえ―本書を読むのは現在の部活動のあり方に疑問や批判がある教員や保護者が多いだろうが―むしろ「部活動指導大好き教員」やその予備軍である大学生、あるいは教育行政関係者に読んでもらいたい。
「できる限りエビデンスをもとに(p.12)」論じる姿勢、「部活動は、①制度上『グレーゾーン』に位置している……②『自主的な活動』であり、自主的なのに強制され、自主的だから過熱している……③『評価』の対象とされた……④『居場所』の論理と『競争』の論理の両面から検討されるべき(p.13)」という4つの視座が最初に提示され、それに基づいて本書全体が構成されている。
そして著者の改革案は、「『居場所』の論理を拠り所にした部活動の『総量規制』(p.207)」、具体的には「活動日の上限を週に3日まで(p.213)」とすることと、「全国大会への不参加ならびに参加大会の精選(p.213)」となる。
不満は、著者も認める通り「高校の部活動への言及が不十分(p.252)」なこと。
「部活動に力を入れる→生徒が試合に勝つ→生徒さらには保護者からの信頼も得られる→さらに部活動に力を入れる→……こうした流れにより部活動の過熱に歯止めがかからなくなっていく(p.39)」という叙述や、それを含む節の「部活は麻薬(p.37)」というタイトルに頷かされる。それゆえ―本書を読むのは現在の部活動のあり方に疑問や批判がある教員や保護者が多いだろうが―むしろ「部活動指導大好き教員」やその予備軍である大学生、あるいは教育行政関係者に読んでもらいたい。
2017年12月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多くの教師が過労死ラインを超えて勤務する異常な状況だが、その中でも負荷の大きい「部活動指導」にスポットを当て、改革の方向を指し示した良書。データを駆使した冷静な分析に当事者の証言を織り込み、やたらセンセーショナルになっていないのがよい。
「部活動」が、実は教育課程外のものであり、それ故に規制のない「無法地帯」であること。残業手当の代わりにわずかな「教職調整額」で実質タダ働きであること。本書で始めて知って衝撃を受けた。
改革の方向には基本的に賛成だが、「部活動改革ネットワーク」は啓蒙だけでなく、実際に苦しんでいる先生方の「駆け込み寺」としての救済機能を発展させていくべきではないだろうか。
「部活動」が、実は教育課程外のものであり、それ故に規制のない「無法地帯」であること。残業手当の代わりにわずかな「教職調整額」で実質タダ働きであること。本書で始めて知って衝撃を受けた。
改革の方向には基本的に賛成だが、「部活動改革ネットワーク」は啓蒙だけでなく、実際に苦しんでいる先生方の「駆け込み寺」としての救済機能を発展させていくべきではないだろうか。







